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第2章 人魚の伝説
つかえの正体
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あまりにも長い時間沈黙が流れた。いや、本当はそんなに時間は立っていないのかもしれないが、体感的に長く感じられたのだ。それ程気まずい空気だった。
「あのやっぱり風呂場のこと怒ってる?」
「怒るわけないじゃないですか。・・・怒るというよりまたかという感じです。ユゼリ君たちも一緒に入ってくれませんでしたから」
ユゼリの名前が出て一瞬ドキリとしたが、俺だけではないという妙な安堵感があった。じゃあ、シアは何の用で俺の部屋に来たのだろう。シアは言う決心がついたのか、口を開いた。
「ユゼリ君のことで話をしに来たんです。ロガ君、ダンジョンの時言ってましたよね”なんであんなやつの肩を持つんだよ”って」
俺は、ダンジョンでのことを思い出す。リザードキングとの闘いですっかり忘れていた、なんてことはない。決して。
「そういえば、言ったな」
「そういえばって・・・まあいいです。僕はユゼリ君に救われたんです」
「救われた?」
「ほら、この容姿で女の子に間違われることも多くて、からかわれていたんです。クラスの人から。それを救ってくれたのが、ユゼリ君でした。”お前らやめろよ、嫌がってるだろ”と言ってくれたんです。ユゼリ君は誰に対しても平等でした。ユゼリ君のおかげでクラスの輪に入ることが出来たんです」
「あいつが?」
そういえば、学校時代あいつはからかってこなかった気がしないでもない。まあ、積極的に関わってこようともしてこなかったが。ただ、それ以降のユゼリの印象と大分かけ離れている。
「ロガ君が関わるとなぜかムキになるんですよ、ユゼリ君は」
なんでだ。意味が分からない。対して関わりもしていない奴のことなんて気にも留めないはずだろ。俺はそれよりも気になることがあった。
「今日のダンジョンの件、誰が何と言おうとユゼリ君がやったとは思えないんです」
シアの言い分は分かった。それでも、俺は、ユゼリがやっていないと断言できない。そこまであいつのことを知らないからだ。それに本人もやっていないと言ってこなかった。シアの言い分だけでは、判断のしようがない。ただ、俺は最初にシアに会った時のつかえの正体が少しわかった気がした。
「シアの言い分は分かったよ。それでも、俺はまだユゼリのことを疑っている」
「そうですか」
シアは少し顔が俯き残念そうな、寂しそうな表情をしていた。俺はもう一つ気になっていたことを口にした。
「・・・ディタをダンジョンに置いて行ったのは何でだ?」
「あれは僕にも・・・ユゼリ君は何か焦ってるような様子で、ダンジョンの攻略を急ぐようになったんです。詳しい理由は僕にも分かりません。でも、そうなったのはたしかロガ君に会ってからだったと思います」
俺に会ってから?また俺かよ。
「まあ、そんな顔するなよ。それより、その俺が口出しするようなことではないのかもしれないが、ダンジョンの件、ディタには謝ったのか?」
「それは仲間に入れてもらってからすぐに。ユゼリ君の事も説明しました」
「そしたら何て?」
「”別に今は気にしてないからいいわ”と」
”今は”か。その理由を想像すると自然と笑みがこぼれた。
「それと”私がユゼリにとやかく言う資格はないもの”とも言っていました」
「どういうことだ?」
「残念ながら、僕も分かりません」
「まあ、ディタ本人が気にしてないと言っているなら、俺からは何もない」
嘘だ。シアにもユゼリにも言ってやりたいことがある。でも、それは誰かさんにも言えることなのだ。これ以上はまだ俺の口からは言えない。そう思ったのだ。これで話は終わり、だと思っていたが、なにやらまだ話はあるようで、シアが口を開いたり閉じたりを繰り返している。そして、意を決したのか口を開き、声を発する。
「その、ロガ君にも謝りたくて。あの時」
「やめてくれ」
あの時がどの時なのかわからないが、俺がシアから謝られることはないはずだ。というより謝ってほしくないと思っているのだ。
「もう、この話はやめよう、な」
「でも」
「ほら、明日はディタに連れまわされるはずだから早く寝といたほうがいいぞ」
俺は無理矢理、シアを立たせ部屋から出るように誘導する。このまま話が進んでしまうと怒鳴ってしまいそうだったから
「じゃあ、お休み」
「・・・おやすみなさい」
後味の悪い感じになってしまったが、大丈夫だろう。明日はそうディタに連れまわされる日なのだから。前のことを思い出すだけで足腰が震えてきた。
「あのやっぱり風呂場のこと怒ってる?」
「怒るわけないじゃないですか。・・・怒るというよりまたかという感じです。ユゼリ君たちも一緒に入ってくれませんでしたから」
ユゼリの名前が出て一瞬ドキリとしたが、俺だけではないという妙な安堵感があった。じゃあ、シアは何の用で俺の部屋に来たのだろう。シアは言う決心がついたのか、口を開いた。
「ユゼリ君のことで話をしに来たんです。ロガ君、ダンジョンの時言ってましたよね”なんであんなやつの肩を持つんだよ”って」
俺は、ダンジョンでのことを思い出す。リザードキングとの闘いですっかり忘れていた、なんてことはない。決して。
「そういえば、言ったな」
「そういえばって・・・まあいいです。僕はユゼリ君に救われたんです」
「救われた?」
「ほら、この容姿で女の子に間違われることも多くて、からかわれていたんです。クラスの人から。それを救ってくれたのが、ユゼリ君でした。”お前らやめろよ、嫌がってるだろ”と言ってくれたんです。ユゼリ君は誰に対しても平等でした。ユゼリ君のおかげでクラスの輪に入ることが出来たんです」
「あいつが?」
そういえば、学校時代あいつはからかってこなかった気がしないでもない。まあ、積極的に関わってこようともしてこなかったが。ただ、それ以降のユゼリの印象と大分かけ離れている。
「ロガ君が関わるとなぜかムキになるんですよ、ユゼリ君は」
なんでだ。意味が分からない。対して関わりもしていない奴のことなんて気にも留めないはずだろ。俺はそれよりも気になることがあった。
「今日のダンジョンの件、誰が何と言おうとユゼリ君がやったとは思えないんです」
シアの言い分は分かった。それでも、俺は、ユゼリがやっていないと断言できない。そこまであいつのことを知らないからだ。それに本人もやっていないと言ってこなかった。シアの言い分だけでは、判断のしようがない。ただ、俺は最初にシアに会った時のつかえの正体が少しわかった気がした。
「シアの言い分は分かったよ。それでも、俺はまだユゼリのことを疑っている」
「そうですか」
シアは少し顔が俯き残念そうな、寂しそうな表情をしていた。俺はもう一つ気になっていたことを口にした。
「・・・ディタをダンジョンに置いて行ったのは何でだ?」
「あれは僕にも・・・ユゼリ君は何か焦ってるような様子で、ダンジョンの攻略を急ぐようになったんです。詳しい理由は僕にも分かりません。でも、そうなったのはたしかロガ君に会ってからだったと思います」
俺に会ってから?また俺かよ。
「まあ、そんな顔するなよ。それより、その俺が口出しするようなことではないのかもしれないが、ダンジョンの件、ディタには謝ったのか?」
「それは仲間に入れてもらってからすぐに。ユゼリ君の事も説明しました」
「そしたら何て?」
「”別に今は気にしてないからいいわ”と」
”今は”か。その理由を想像すると自然と笑みがこぼれた。
「それと”私がユゼリにとやかく言う資格はないもの”とも言っていました」
「どういうことだ?」
「残念ながら、僕も分かりません」
「まあ、ディタ本人が気にしてないと言っているなら、俺からは何もない」
嘘だ。シアにもユゼリにも言ってやりたいことがある。でも、それは誰かさんにも言えることなのだ。これ以上はまだ俺の口からは言えない。そう思ったのだ。これで話は終わり、だと思っていたが、なにやらまだ話はあるようで、シアが口を開いたり閉じたりを繰り返している。そして、意を決したのか口を開き、声を発する。
「その、ロガ君にも謝りたくて。あの時」
「やめてくれ」
あの時がどの時なのかわからないが、俺がシアから謝られることはないはずだ。というより謝ってほしくないと思っているのだ。
「もう、この話はやめよう、な」
「でも」
「ほら、明日はディタに連れまわされるはずだから早く寝といたほうがいいぞ」
俺は無理矢理、シアを立たせ部屋から出るように誘導する。このまま話が進んでしまうと怒鳴ってしまいそうだったから
「じゃあ、お休み」
「・・・おやすみなさい」
後味の悪い感じになってしまったが、大丈夫だろう。明日はそうディタに連れまわされる日なのだから。前のことを思い出すだけで足腰が震えてきた。
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