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第二章
35 《アルファード》
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油断をしていたのだろう。
それは唐突に姿を現した。
「ゴミムシ風情が、こんな場所までノコノコやってくるとはな。」
「魔族か。」
「……。」
突然姿を現した奴に俺たちは各々の武器を構える。
「ふっ、弱い人間が我にいどむというのか。」
「戦う前から決めつけやがって。」
「そうですね、やってみないと分からないでしょう。」
「……。」
本気で勝てると思っているのか周りの奴らの言葉に俺は少し呆れる。
この場でこの魔族とやり合えるのは俺とメイカだけだろう。
イザベラの場合、負けはしないだろうが、それでも、決定打が打てずに消耗戦に持ち込むしかないだろう。
他の奴らは論外だ。
瞬殺される。
それほどの実力差があるというのに何故この馬鹿たちは分からないのだろうか。
「いざ、勝負。」
そう言うと魔族はその太い腕を振るう。
風の力を持っているからか、風圧が凄く感じた。
だが、問題ない。
剣を振るう。
風を切り裂く。
そんな事は造作もない事だ。
「ほお、少しやれるゴミムシもいるようだな。」
「……。」
結局人間はゴミムシかよ。
「まあ、いい――っ!」
「防がれましたか…。」
いつの間にか彼女は弓を引き、矢を魔族の眉間に向けて放つが、それは魔族の手によって掴まれる。
「無理をするな。」
「援護くらいできます。」
「……そうか。」
彼女の言葉に俺は頬を少し緩ませる。
だけど、すぐに気を引き締め、腰を落とす。
「………っ。」
地面を蹴り、一気に相手の間合いに入る。
「ぬ…。」
魔族は驚いてのけぞるが、俺の剣は止まらない。
それに…。
「こっちも忘れるなよ。」
メイカも参戦しているのだ。
「行きます。」
彼女も弓矢を操り援護する。
しかし、俺たちだけだったら問題はなかったのだろうが、他の奴らが足を引っ張る。
決定打が打てず、攻撃を仕掛けようとするタイミングに味方が邪魔をする。
どうやら、メイカも同じような状態になっている。
味方の手助けによって劣勢に追いやられる。
有能な敵よりも無能な味方の方が恐ろしい、とどこかで聞いた言葉だが、本当だった。
今までは彼らでも対応できる敵だったから何も感じなかったが、今回は違った。
自分よりも強い敵。
しかも連携が取れていない。
相手もまだ余裕があるのが気がかりだ。
イザベラも攻撃できずにいる。
彼女の狙う場所にあいつらが塞がるからだろう。
その時、奴が動く。
俺は悔しい事に攻撃を仕掛けるまで気づかなかった。
奴は呆然と立ち尽くしていたあの役立たずに向かって攻撃を放った。
そして、唯一動けたイザベラが身を挺して庇った。
スッと血の気が引く。
今の彼女が来ているメイド服じゃなく、もっと着飾った姿がダブル。
ああ、守れなかった。
まただ。
「おい――。」
メイカが俺を見て焦ったような声を上げる。
許さない。
「お前は死刑だ。」
俺は剣を仕舞う。
「《騎士(リッター)》。」
《騎士(リッター)》に火を纏わせ斬りかかる。
俺は自分の力の大きさを忘れていた。
敵も強く。
大きな力と力がぶつかればどうなるかなんて普通分かるはずなのに。
完全に血が上っていた俺はその事を失念していた。
その所為で。
俺の所為で彼女が傷つくなんて。
本当に何をやっているのだろう。
ぶつかり合った力は地面に伝わり、そして、彼女の足場を崩した。
「きゃあああああああああああああああ。」
五月蠅い悲鳴が聞こえ、見れば、大切な彼女がいなくなるところだった。
「あっ…。」
手を伸ばす。
距離的に届かないのは分かっている。
なのに、俺は無意味な行動をする。
「ゴミムシが一匹片付いたか。」
「てめぇ…。」
俺は失敗した。
頭に血が上っていた。
そんなの、ただの良いわけだ。
もっと冷静に戦わないといけなかった。
クソが…。
俺はこれ以上被害を出さないためにも火を消す。
「何だ、もうガス欠か?」
「………。」
剣技だけで奴を倒すしかない。
一閃。
奴は俺の戦い方が変わったのが分かったのか、真剣な顔をする。
「怒りを押し殺して先ほどまでの乱れが消えたか。」
「……。」
「あの娘子を助けに行かなくていいのか?」
「ここであんたを放置する方が、面倒だ。」
「………そうか、だが、残念だ、時間のようだ。」
「あんた、何やっているのよ。」
妖艶な美女が姿を見せる。
魔族だ。
「何だもう呼び出しか?」
「会議が始まるわよ。」
「そうか、まあ、ちょっとした暇つぶしにはなった。」
「そう。」
そう言うと勝手な魔族たちは姿を消す。
「何だったんだ?」
誰かがそう呟く。
まるで天災が起こったような現状に俺たちはただただ、呆然として情報が追い付かなかった。
それは唐突に姿を現した。
「ゴミムシ風情が、こんな場所までノコノコやってくるとはな。」
「魔族か。」
「……。」
突然姿を現した奴に俺たちは各々の武器を構える。
「ふっ、弱い人間が我にいどむというのか。」
「戦う前から決めつけやがって。」
「そうですね、やってみないと分からないでしょう。」
「……。」
本気で勝てると思っているのか周りの奴らの言葉に俺は少し呆れる。
この場でこの魔族とやり合えるのは俺とメイカだけだろう。
イザベラの場合、負けはしないだろうが、それでも、決定打が打てずに消耗戦に持ち込むしかないだろう。
他の奴らは論外だ。
瞬殺される。
それほどの実力差があるというのに何故この馬鹿たちは分からないのだろうか。
「いざ、勝負。」
そう言うと魔族はその太い腕を振るう。
風の力を持っているからか、風圧が凄く感じた。
だが、問題ない。
剣を振るう。
風を切り裂く。
そんな事は造作もない事だ。
「ほお、少しやれるゴミムシもいるようだな。」
「……。」
結局人間はゴミムシかよ。
「まあ、いい――っ!」
「防がれましたか…。」
いつの間にか彼女は弓を引き、矢を魔族の眉間に向けて放つが、それは魔族の手によって掴まれる。
「無理をするな。」
「援護くらいできます。」
「……そうか。」
彼女の言葉に俺は頬を少し緩ませる。
だけど、すぐに気を引き締め、腰を落とす。
「………っ。」
地面を蹴り、一気に相手の間合いに入る。
「ぬ…。」
魔族は驚いてのけぞるが、俺の剣は止まらない。
それに…。
「こっちも忘れるなよ。」
メイカも参戦しているのだ。
「行きます。」
彼女も弓矢を操り援護する。
しかし、俺たちだけだったら問題はなかったのだろうが、他の奴らが足を引っ張る。
決定打が打てず、攻撃を仕掛けようとするタイミングに味方が邪魔をする。
どうやら、メイカも同じような状態になっている。
味方の手助けによって劣勢に追いやられる。
有能な敵よりも無能な味方の方が恐ろしい、とどこかで聞いた言葉だが、本当だった。
今までは彼らでも対応できる敵だったから何も感じなかったが、今回は違った。
自分よりも強い敵。
しかも連携が取れていない。
相手もまだ余裕があるのが気がかりだ。
イザベラも攻撃できずにいる。
彼女の狙う場所にあいつらが塞がるからだろう。
その時、奴が動く。
俺は悔しい事に攻撃を仕掛けるまで気づかなかった。
奴は呆然と立ち尽くしていたあの役立たずに向かって攻撃を放った。
そして、唯一動けたイザベラが身を挺して庇った。
スッと血の気が引く。
今の彼女が来ているメイド服じゃなく、もっと着飾った姿がダブル。
ああ、守れなかった。
まただ。
「おい――。」
メイカが俺を見て焦ったような声を上げる。
許さない。
「お前は死刑だ。」
俺は剣を仕舞う。
「《騎士(リッター)》。」
《騎士(リッター)》に火を纏わせ斬りかかる。
俺は自分の力の大きさを忘れていた。
敵も強く。
大きな力と力がぶつかればどうなるかなんて普通分かるはずなのに。
完全に血が上っていた俺はその事を失念していた。
その所為で。
俺の所為で彼女が傷つくなんて。
本当に何をやっているのだろう。
ぶつかり合った力は地面に伝わり、そして、彼女の足場を崩した。
「きゃあああああああああああああああ。」
五月蠅い悲鳴が聞こえ、見れば、大切な彼女がいなくなるところだった。
「あっ…。」
手を伸ばす。
距離的に届かないのは分かっている。
なのに、俺は無意味な行動をする。
「ゴミムシが一匹片付いたか。」
「てめぇ…。」
俺は失敗した。
頭に血が上っていた。
そんなの、ただの良いわけだ。
もっと冷静に戦わないといけなかった。
クソが…。
俺はこれ以上被害を出さないためにも火を消す。
「何だ、もうガス欠か?」
「………。」
剣技だけで奴を倒すしかない。
一閃。
奴は俺の戦い方が変わったのが分かったのか、真剣な顔をする。
「怒りを押し殺して先ほどまでの乱れが消えたか。」
「……。」
「あの娘子を助けに行かなくていいのか?」
「ここであんたを放置する方が、面倒だ。」
「………そうか、だが、残念だ、時間のようだ。」
「あんた、何やっているのよ。」
妖艶な美女が姿を見せる。
魔族だ。
「何だもう呼び出しか?」
「会議が始まるわよ。」
「そうか、まあ、ちょっとした暇つぶしにはなった。」
「そう。」
そう言うと勝手な魔族たちは姿を消す。
「何だったんだ?」
誰かがそう呟く。
まるで天災が起こったような現状に俺たちはただただ、呆然として情報が追い付かなかった。
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