逆行したら別人になった

弥生 桜香

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第一章

伝える言葉

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 あの後、ジェダイドの父親が仕事に戻らないといけなくなり、解散となった。
 ジェダイドは滞ってしまっていた勉強の関連で執事の方と相談することになり、その場に残り、私はと言えばーー。

「さあ、お好きなものを食べて。」
「……。」

 ジェダイドの母と向き合いながらお茶をしていた。
 目の前には宝石にも似た輝かしい程のお菓子が並んでいた。

「わたくしのおすすめはこちらのベリーを使ったタルトよ。」
「じゃあ、それを。」
「畏まりました。」
「わたくしも。」
「畏まりました、奥様。」

 メイドは綺麗にそれを皿に移し、私とジェダイドの母の前に置く。

「下がって頂戴。」

 メイドは主に命じられ、何も思っていないのかそのまま下がる。

「あの…、いいんですか?」
「何がかしら?」
「得体の知れない私と二人でいてです。」
「あら、得体の知れないって、貴女はわたくしの姪じゃないの。」
「……。」

 私は思わず溜息を吐きたくなった。

「偽物かもしれませんよ?」
「あら、その指輪は本物よ。」
「でも、私自身はーー。」

 ジェダイドの母はニッコリと微笑み私の言葉を制す。

「本物でしょ?」
「……何で言い切れるんですか?」

 ずるいかもしれない、ジェダイドの母の疑問を私は疑問で返した、でも、彼女は機にしていないのか紅茶を飲む。

「だって、その指輪は本人が死なない限り壊れないモノ。」
「……なら、何故、死んだとされたのですか?」
「……。」

 私の言葉に彼女は表情を曇らせた。

「貴女は生まれた瞬間、その命を落とした、だから、その指輪の主になっていないとわたくしたちは判断した。」
「……。」
「……ごめんなさいね。」

 謝るジェダイドの母に私は瞬く。

「何で謝るのですか?」
「貴女はしなくてもいい苦労をしてきたわね、きっとわたくしたちじゃ予想も出来ない事もきっと。」
「……。」
「ごめんなさいね。」
「謝らないでください。」

 私はしっかりと彼女の目を見てそう言う。

「私は決してそれを不幸だと思った事はありません、そのお陰で私は力を持つ事が出来た。ここまで、ジェダイドを送る事が出来たと思います。」
「……。」
「だから、謝らないでください。」
「本当に貴女は…。」

 彼女は立ち上がり、私をギュッと抱きしめる。

「ごめんなさいね…、今まで生きていてくれてありがとう。」

 暖かな腕(かいな)は彼の温もりとよく似ていた。

「………。」

 何か言った方がいいかもしれない。
 でも、私は思いつく言葉がなかった。
 ただ、その体に手を回し、抱きしめ返す事しか出来なかった。
 私は今の私は確かに彼女の姪なのだから、それは、可笑しい事じゃない。
 だから、今私の目から流れる涙は今だけは許してほしい。

 すぐに、止めるから。

 すぐに、止めるから。

 今だけは…、許してください。
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