102 / 136
第一章
ある日の日常
しおりを挟む
「はぁっ!」
「――っ!」
私は剣を受け止められ、すぐに後退する。
大の大人には私の力は叶わない。
私の手札は限られている。
今は剣術のみの勝負なので、いつものアレらが使えない、だけど、それ以外なら手札は二つ。
速さと技術。
しかし、私の技術では現役の騎士の方に勝てるはずもない。
残る手札は…速さのみ。
動き回って錯乱させる。
そして、その眼で追えなくなった時、仕留める。
色んな方向に回り込み、攻撃を仕掛けては引く、それを繰り返せば、次第に騎士の方がじれてくる。
大ぶりの攻撃が来る。
私はそれを避け、そして、一気に距離を詰めて、私の剣の切っ先を相手の首元に突き付ける。
「……参った。」
「……。」
ホッと息を吐けば、その瞬間に私の体に疲労の波が押し寄せる。
「………はぁ…はぁ……ありが、とう、ございま、した。」
息を切らせながらお礼を言う。
額から流れる汗を拭い、私は軽く息を整えて周りを見渡し、次の相手を探す。
「お嬢、そろそろ休憩を入れろ。」
「いえ、まだ、やれます。」
「……。」
この隊の隊長の方に言われるが、私はまだ戦える。
今までだってぎりぎりのところで戦っていた。
今必要なのは体力、腕力、そして、経験。
「……。」
この時、私は隊長と部下とのやり取りを見落としていた。
「……分かった。」
了承の言葉なのに含みのあるニュアンスに私は思わず顔をしかめた。
そして、それを見た隊長さんはにやりと笑う。
「ああ、流石お嬢だな、そう、坊ちゃんの許可が出ればな。」
「マーラーカーイートーっ!」
「……。」
後ろを振り向かなくてもわかる、彼が激怒している事くらい、その声や後ろから感じる空気で簡単に察せられる。
「お前、何やっているんだ。」
「稽古。」
「どこがだよ、こんなにドロドロになりやがって。」
「……。」
私はさっと周りを見渡すが、残念ながら私を助けてくれるような人はここにはいなかった。
にやにや笑う者。
苦笑する者。
「時は有限です。」
「ああ、確かにな、だけど、そんなになるまでお前が頑張る必要はないだろう。」
「あります。」
「……。」
彼の言葉に流石に怒りを覚えた私は彼を睨む。
ジェダイドはまさか私が睨むと思っていなかったのか、虚を突かれた顔をする。
「……。」
「……。」
「お嬢、坊ちゃんの許可がでなかったので、今日はここまでな。」
「なっ!」
いきなり遮る隊長さんに私は思わず、声を漏らす。
「次はもっと自分の限界を理解すれば、坊ちゃんを呼ぶのだけは勘弁してやろう。」
「……。」
悔し気に唇をかむが、にやにやとした男の顔はさらに増すばかりだった。
こうして、私は騎士たちの稽古に混ぜさせてもらうのだけれども、こうして強制的に止められることもしばしばあったりするのだった。
「――っ!」
私は剣を受け止められ、すぐに後退する。
大の大人には私の力は叶わない。
私の手札は限られている。
今は剣術のみの勝負なので、いつものアレらが使えない、だけど、それ以外なら手札は二つ。
速さと技術。
しかし、私の技術では現役の騎士の方に勝てるはずもない。
残る手札は…速さのみ。
動き回って錯乱させる。
そして、その眼で追えなくなった時、仕留める。
色んな方向に回り込み、攻撃を仕掛けては引く、それを繰り返せば、次第に騎士の方がじれてくる。
大ぶりの攻撃が来る。
私はそれを避け、そして、一気に距離を詰めて、私の剣の切っ先を相手の首元に突き付ける。
「……参った。」
「……。」
ホッと息を吐けば、その瞬間に私の体に疲労の波が押し寄せる。
「………はぁ…はぁ……ありが、とう、ございま、した。」
息を切らせながらお礼を言う。
額から流れる汗を拭い、私は軽く息を整えて周りを見渡し、次の相手を探す。
「お嬢、そろそろ休憩を入れろ。」
「いえ、まだ、やれます。」
「……。」
この隊の隊長の方に言われるが、私はまだ戦える。
今までだってぎりぎりのところで戦っていた。
今必要なのは体力、腕力、そして、経験。
「……。」
この時、私は隊長と部下とのやり取りを見落としていた。
「……分かった。」
了承の言葉なのに含みのあるニュアンスに私は思わず顔をしかめた。
そして、それを見た隊長さんはにやりと笑う。
「ああ、流石お嬢だな、そう、坊ちゃんの許可が出ればな。」
「マーラーカーイートーっ!」
「……。」
後ろを振り向かなくてもわかる、彼が激怒している事くらい、その声や後ろから感じる空気で簡単に察せられる。
「お前、何やっているんだ。」
「稽古。」
「どこがだよ、こんなにドロドロになりやがって。」
「……。」
私はさっと周りを見渡すが、残念ながら私を助けてくれるような人はここにはいなかった。
にやにや笑う者。
苦笑する者。
「時は有限です。」
「ああ、確かにな、だけど、そんなになるまでお前が頑張る必要はないだろう。」
「あります。」
「……。」
彼の言葉に流石に怒りを覚えた私は彼を睨む。
ジェダイドはまさか私が睨むと思っていなかったのか、虚を突かれた顔をする。
「……。」
「……。」
「お嬢、坊ちゃんの許可がでなかったので、今日はここまでな。」
「なっ!」
いきなり遮る隊長さんに私は思わず、声を漏らす。
「次はもっと自分の限界を理解すれば、坊ちゃんを呼ぶのだけは勘弁してやろう。」
「……。」
悔し気に唇をかむが、にやにやとした男の顔はさらに増すばかりだった。
こうして、私は騎士たちの稽古に混ぜさせてもらうのだけれども、こうして強制的に止められることもしばしばあったりするのだった。
0
あなたにおすすめの小説
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
混血の私が純血主義の竜人王子の番なわけない
三国つかさ
恋愛
竜人たちが通う学園で、竜人の王子であるレクスをひと目見た瞬間から恋に落ちてしまった混血の少女エステル。好き過ぎて狂ってしまいそうだけど、分不相応なので必死に隠すことにした。一方のレクスは涼しい顔をしているが、純血なので実は番に対する感情は混血のエステルより何倍も深いのだった。
お妃さま誕生物語
すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。
小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
没落領地の転生令嬢ですが、領地を立て直していたら序列一位の騎士に婿入りされました
藤原遊
ファンタジー
魔力不足、財政難、人手不足。
逃げ場のない没落領地を託された転生令嬢は、
“立て直す”以外の選択肢を持たなかった。
領地経営、改革、そして予想外の縁。
没落から始まる再建の先で、彼女が選ぶ未来とは──。
※完結まで予約投稿しました。安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる