39 / 122
幽霊少女サイド
月夜に惑う心
しおりを挟む
月を見る。
綺麗な月夜だった。
虫の音が聞こえ、私は目を閉じる。
人の気配もないので、まるで、自分一人になったようだった。
順調に物語のような日常が進んでいく。
ヒロインの女の子は順調にバ会長を攻略していて、多分、北斗にはアプローチしないだろう。
だって、バ会長のルートに入って、他の人に行けば下手すればバッドエンディングに向かってしまうから。
あのキャラはヒロインを溺愛する反面、束縛するキャラだった。
少しでもよそ見をすれば確実に命はないだろう。
逃げるとしたら、整形して、戸籍を変えないと逃げられないだろう。
それくらい面倒なキャラだったと思い出した。
だから、北斗ルートに行こうとするのなら、彼女はバッドエンディングに行く。
それが、今回の運動会の借り物で決定した。
あそこで、三択の中でバ会長がいて、選んだ時点で、彼女は選んだのだ。
「…それは、ヒロインとしてだけ…。」
この世界はちゃんとした現実。
だから、一日、一週間、一か月と過ぎていく。
このまま一年過ぎて私はまださ迷っているのだろうか?
自分の胸に手を当てる。
多分無理だろう。
自分が生霊だと気づいて数週間後くらいから、徐々に時間が無くなる感覚があった。
まるで、砂時計の砂のように下に落ちていく感覚。
たぶん、砂が落ち切るまでに覚悟を決めなければ、私は死んでしまう。
「……。」
自分の手のひらを見る。
覚悟は生きる覚悟。
砂が落ちるまで、ここにいるのなら、私は完全に幽霊となるか、それとも成仏するのかは分からない。
本当ならすぐにでも、生きればいいのだと思う。
だけど、怖い。
北斗ともう二度と会えないのかもしれない。
それは嫌だった。
彼の側にいたい。
死にたくない。
ある意味相反する思いが私を引き裂く。
死ぬか。
生きるか。
北斗にはこの事は話せない。
話したらきっと私に帰れというだろう。
彼は優しいから。
私の家族を心配してそう言ってくれる。
消えるな、居なくなるな、というその口からきっと、消えろ、居なくなれ、と反対言葉を言うだろう。
それだけは聞きたくなかった。
だから、どうか、私に生きる覚悟なんかいりません。
北斗が私を必要としないその瞬間まで、私は彼の側にいたいのだから。
「スピカ?どこだ?」
私を探す北斗の声に私は返事を返す。
「ここ、すぐ戻るね。」
「ああ。」
どうか、彼の口から、私を否定する言葉が永遠に来ない日が続くことを――。
綺麗な月夜だった。
虫の音が聞こえ、私は目を閉じる。
人の気配もないので、まるで、自分一人になったようだった。
順調に物語のような日常が進んでいく。
ヒロインの女の子は順調にバ会長を攻略していて、多分、北斗にはアプローチしないだろう。
だって、バ会長のルートに入って、他の人に行けば下手すればバッドエンディングに向かってしまうから。
あのキャラはヒロインを溺愛する反面、束縛するキャラだった。
少しでもよそ見をすれば確実に命はないだろう。
逃げるとしたら、整形して、戸籍を変えないと逃げられないだろう。
それくらい面倒なキャラだったと思い出した。
だから、北斗ルートに行こうとするのなら、彼女はバッドエンディングに行く。
それが、今回の運動会の借り物で決定した。
あそこで、三択の中でバ会長がいて、選んだ時点で、彼女は選んだのだ。
「…それは、ヒロインとしてだけ…。」
この世界はちゃんとした現実。
だから、一日、一週間、一か月と過ぎていく。
このまま一年過ぎて私はまださ迷っているのだろうか?
自分の胸に手を当てる。
多分無理だろう。
自分が生霊だと気づいて数週間後くらいから、徐々に時間が無くなる感覚があった。
まるで、砂時計の砂のように下に落ちていく感覚。
たぶん、砂が落ち切るまでに覚悟を決めなければ、私は死んでしまう。
「……。」
自分の手のひらを見る。
覚悟は生きる覚悟。
砂が落ちるまで、ここにいるのなら、私は完全に幽霊となるか、それとも成仏するのかは分からない。
本当ならすぐにでも、生きればいいのだと思う。
だけど、怖い。
北斗ともう二度と会えないのかもしれない。
それは嫌だった。
彼の側にいたい。
死にたくない。
ある意味相反する思いが私を引き裂く。
死ぬか。
生きるか。
北斗にはこの事は話せない。
話したらきっと私に帰れというだろう。
彼は優しいから。
私の家族を心配してそう言ってくれる。
消えるな、居なくなるな、というその口からきっと、消えろ、居なくなれ、と反対言葉を言うだろう。
それだけは聞きたくなかった。
だから、どうか、私に生きる覚悟なんかいりません。
北斗が私を必要としないその瞬間まで、私は彼の側にいたいのだから。
「スピカ?どこだ?」
私を探す北斗の声に私は返事を返す。
「ここ、すぐ戻るね。」
「ああ。」
どうか、彼の口から、私を否定する言葉が永遠に来ない日が続くことを――。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
あの日、幼稚園児を助けたけど、歳の差があり過ぎてその子が俺の運命の人になるなんて気付くはずがない。
NOV
恋愛
俺の名前は鎌田亮二、18歳の普通の高校3年生だ。
中学1年の夏休みに俺は小さい頃から片思いをしている幼馴染や友人達と遊園地に遊びに来ていた。
しかし俺の目の前で大きなぬいぐるみを持った女の子が泣いていたので俺は迷子だと思いその子に声をかける。そして流れで俺は女の子の手を引きながら案内所まで連れて行く事になった。
助けた女の子の名前は『カナちゃん』といって、とても可愛らしい女の子だ。
無事に両親にカナちゃんを引き合わす事ができた俺は安心して友人達の所へ戻ろうとしたが、別れ間際にカナちゃんが俺の太ももに抱き着いてきた。そしてカナちゃんは大切なぬいぐるみを俺にくれたんだ。
だから俺もお返しに小学生の頃からリュックにつけている小さなペンギンのぬいぐるみを外してカナちゃんに手渡した。
この時、お互いの名前を忘れないようにぬいぐるみの呼び名を『カナちゃん』『りょうくん』と呼ぶ約束をして別れるのだった。
この時の俺はカナちゃんとはたまたま出会い、そしてたまたま助けただけで、もう二度とカナちゃんと会う事は無いだろうと思っていたんだ。だから当然、カナちゃんの事を運命の人だなんて思うはずもない。それにカナちゃんの初恋の相手が俺でずっと想ってくれていたなんて考えたことも無かった……
7歳差の恋、共に大人へと成長していく二人に奇跡は起こるのか?
NOVがおおくりする『タイムリープ&純愛作品第三弾(三部作完結編)』今ここに感動のラブストーリーが始まる。
※この作品だけを読まれても普通に面白いです。
関連小説【初恋の先生と結婚する為に幼稚園児からやり直すことになった俺】
【幼馴染の彼に好きって伝える為、幼稚園児からやり直す私】
男女比5対1の女尊男卑の世界で子供の頃、少女を助けたら「お嫁さんになりたい!」と言って来た。まさか、それが王女様だったなんて……。
楽園
恋愛
「将来、あなたのお嫁さんになりたい」
10年前、俺は魔法の力で一人の少女を救った。
……そして現在。ここは男女比5:1の女尊男卑の世界。
男は女に「選ばれる」ためだけの存在する。
俺、アルトは、前世の記憶と女でさえ持っていない無限の魔力を隠し、父と静かに暮らす「モブ」になるはずだった。
「待っていましたわ、アルト」
学園で再会したあの時の少女は、驚くべきことにリリアーナ王女だった。
どうやら彼女、あの日の「約束」を本気で果たしに来たらしい。
(俺の平穏なモブ生活が……!)
最強を隠したい男と、その秘密ごと彼を手に入れたい王女の、すれ違い学園ファンタジー!
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
社畜OLが学園系乙女ゲームの世界に転生したらモブでした。
星名柚花
恋愛
野々原悠理は高校進学に伴って一人暮らしを始めた。
引越し先のアパートで出会ったのは、見覚えのある男子高校生。
見覚えがあるといっても、それは液晶画面越しの話。
つまり彼は二次元の世界の住人であるはずだった。
ここが前世で遊んでいた学園系乙女ゲームの世界だと知り、愕然とする悠理。
しかし、ヒロインが転入してくるまであと一年ある。
その間、悠理はヒロインの代理を務めようと奮闘するけれど、乙女ゲームの世界はなかなかモブに厳しいようで…?
果たして悠理は無事攻略キャラたちと仲良くなれるのか!?
※たまにシリアスですが、基本は明るいラブコメです。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる