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幽霊少女サイド

即席バンド

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 スポットライトが舞台を照らす。

「学園祭最終日っ!」
「生徒会役員による即席バンド。」
「皆、楽しんでね。」
「じゃあ、一曲目行くぜっ!」

 ドラムの人がバチを鳴らし、伴奏を皆で奏でる。

 そして、バ会長が歌う。

 私の目には北斗しか入らない。

 彼は顔を顰めながらベースを弾く。

 楽器は得意でも不得意でもないと言っていた北斗だったけど、私にしたら上手いと思う。

 全三曲、学生たちに人気の曲を奏で、歌いきる生徒会の全員は輝いていたけれども、それでも、私には遠い世界に感じた。

「……。」

 最後に北斗と目が合い、私は笑うが、その顔はどこか引きつっていた気がした。

 幸いにも、北斗からは遠くて細かい表情なんて分からないだろう、私は生徒たちの退場のアナウンスを聞きながら北斗の部屋に向かう。

 可笑しいな…。

 最後に楽しむつもりだったのに。

 私の目から涙が零れる。

 遠かった。

 あんなにも近かった北斗が遠かった。

 あれが普通なのに。

 遠かった。

 分かっているつもりだった、自分がこのままいけばあれ以上に遠い場所に私は逝く。

 そして、私が生きる事を選ぶのなら、あれくらいか、それか死よりも近い場所にはいられる。

 だけど、ズルい私は今の立ち居で、ずっと、彼の側にいたいと願ってしまった。

 浅ましい自分に嫌気がさす。

 刻々と近づく終焉の足音。

 まさか、あんな形で終わるだなんて、この時の私は思いもしなかった。
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