私モブ(幽霊)だよねっ!

弥生 桜香

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幽霊少女サイド

指輪

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 北斗が連れてきてくれたのはものすごく高そうなジュエリーショップだった。

「ほ、北斗…本気でここなの?」
「ああ。」
「赤塚様ですね、お待ちしておりました。」

 明らかにこのお店の重役の人だと思われる人が出てきたので、私は目の前がくらくらしだす。

「すまないな、急に無理を言って。」
「いえ、赤塚様にご利用していただけるだなんて、わたくしどもには誉でございます。」
「……。」

 うん、私場違いだよね。

 思わず、足を引いてしまおうとした私だったが、ギュッと北斗に手を握られハッとなる。
 北斗を見れば黒目がこちらを見ている。
 逃げるなよ、と言っている目に私は思わず悲鳴を上げそうになった。

 怖い、怖いよ、北斗っ!

「それではこちらでは目立ちますので、個室にご案内いたします。」
「ああ。」

 北斗は慣れているかもしれないけど、私には無理だよっ!

 指輪を買ってくれるのは嬉しいと思ったよ。
 でも、てっきり雑貨屋さんの安くて五百円くらいの指輪だと思ったんだよ、なのに、何故私は明らかに三つ以上の桁の違うそれを見せられることになったのだろう。
 逃げ出したくても、北斗がしっかりと私の手を握っているために逃げられない。
 女性店員さんの視線が怖い。

 ううう、何でこうなった。

 もうヤダ、怖い、怖い、逃げたい。

 明らかに次元が違う。

 幽霊の時だって、ああ、北斗はお坊ちゃんだな、なんて、ほっこりと思っていたよ、だけど、これは次元が違う。

 何なの、そりゃ、北斗が身に着けるものが安いものじゃない事くらい理解できるよ。

 だからって、私もだとは思わいないじゃないっ!

 うーあー、ゲームの主人公だったら嬉々として受け取るのだろうか?

 普通しり込みするよね。

 あー、もー、月子さんでも、誰でもいいから助けてっ!

 あっ、でも、やっぱ、月子さんはなし、だって、あの人だったらきっと北斗と一緒になって高そうな指輪を平気で選びそう。

「彩実、どれがいい?」

 いつの間にか、応接室に通され、私の目の前にはいくつもの指輪が並んでいる。

「ね、値段がついてないね。」
「お前が気にすると思ったからな。」

 うん、気にするよ、気にするに決まっているよ。

 だけど、その気づかいは違う方で見せて欲しかった。

 どの指輪も高そう。

 シンプルのものだって油断はできない。

 石がついているのだって、怪しい。

 あっ、これ可愛い、石もついてないし、シンプルでいいな。

 って、ダメダメ、こういうのだって油断はできない。

 私はある指輪についつい視線を持って行ってしまったけど、絶対に怖い。

「これがいいのか?」
「……。」

 北斗は私をじっと見ていたからか、私が気に入ってしまった指輪をあっさり指さす。

 好きだよ、好きだけど…。

「……これにするか?」
「えっ、いや、でも…。」

 北斗があっさりと決めそうで私は迷いを見せる。

 こ、この中で一番安いのはどれだ。

 本気でお願い。

 できれば千円くらい。

 あり得ないと思うけど、千円くらいなものでお願いっ!

「何か気になるのか?」
「ね、値段が…。」
「……。」

 私がそう言うと北斗は呆れた顔をする。

「俺が必要だと思ったから俺が出す、それじゃ、ダメなのか?」
「駄目だよ、だって、私と北斗の指輪でしょ。」
「……。」
「わ、私だって出せる範囲なら出したいし……。」

 でも、こんな場所の指輪を買えば一発で破産だよ。
 ごくごく普通の女子高生にこんな場所の指輪はポンと買えるはずがない。

「気持ちだけ受け取る、今回は俺が出す、次、そうだな、結婚指輪の時は一割くらいは出してくれ。」
「……。」

 結婚って、えっ、何、本気?

 いや、そりゃ、将来の相手は北斗がいいけど、早すぎませんかっ!

 私がぐるぐると考えているうちにいつの間にか北斗はお会計をカードで済ませてしまったので、結局私の右の薬指におさまっている指輪の値段がいくらだったかなんて分からなかった。

 北斗さん、本当に止めてください…。

 私の心臓が持ちそうにありません…。
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