もう一度君と…

弥生 桜香

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第八章

第八章「クリスマス」6

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「なんていう格好してやがるっ!」
「俺だって好きで着てんじゃねぇよ。」
「はっ!どうだかな。」
「んだとっ!」

 今にも殴り合いに発展しそうだが、碧の格好が格好だからそこまで発展する事はなかった。

「おい、その恰好で足上げるな。」
「何でだっ!」

 今にも蹴りを繰り出さんとする碧に樹は疲れたような顔をしながらそんな事を言う。
 一方、怒りに身を任せている碧は本当に暴れ出しそうになるが、皆が楽しんでいるのに、台無しにしていけないという、なけなしの理性で留めていた。

「お前、それ本気で言っているのか?」
「んだよ。」

 理性の糸があと少しで引きちぎれようとしている中、樹の物言いに更にカチンとなり、秒読み段階に変わる。

「見えるだろうが。」
「何がだよ。」
「……………。」
「んだよ。」

 察しの悪い碧に樹は頭を抱える。

「分かれよ。」
「あー、もー、本気で訳が分かんねぇっ!」

 ガバリと脚を上げようとした碧だったが、残念ながら、それは失敗に終わる。

「はっ!あっ!何すんだよっ!」

 脚を上げようと動いた瞬間、樹は捨て身の覚悟で、彼を抱きしめる。
 あまりの事態に碧は目を白黒させる。

「だから、何でお前は…。」
「…えっと。」

 怒りを起こし殺した声音に碧はまるで冷や水でも掛けられたかのように冷静になる。

「…あの、樹さん?」
「んだよ。」
「そろそろ、放してくれませんか?」
「……。」
「えっ、ちょっと待てよ、何でそこで黙り込む訳?」
「………。」
「マジ何なの、頼むから放してくれ、見えてないけど、さっきからパシャパシャって何つーか、不吉な音が聞こえるし。」
「パシャパシャじゃなく、ピロロン、とかいう音だろうが。」
「そっちは返さなくてもいいから、マジ放せっ!」

 碧は必死でもがくが残念ながらしっかりと抱きしめられた樹の腕から逃れる事が出来なかった。

「頼むよ…。」

 とうとう泣き言になる碧だったが、樹は離れようとしない。

「マジ何なんだよ。」
「お前が正解を出すまで離さねぇからな。」
「正解?」
「……。」
「マジ、マジなのか。」

 黙り込んでいる樹に碧はギョッとしながら考える。

「えっと……、俺の格好が似合わなすぎる。」
「……。」

 当然はずれなので、樹は抱きしめる腕の強さを変える。

「いたたた、痛い、放せっ!」
「……。」
「マジ、正解しないと放してくれない訳、つーか、外したら力強めるって、拷問かよ。」

 ブツブツと碧は文句を言うが、樹は全く放そうとしない。

「うあああ、マジ分かんないし、いい加減放しやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 碧はしばらく大人しく考えていたが、残念ながら無自覚な彼は気づく事がない。
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