もう一度君と…

弥生 桜香

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第五章

第五章「文化祭」1

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 二学期が始まって、まだまだ、暑い日が続く昼休み、涼也は友人たちと駄弁っていた。

「この子、胸あるなー。」
「おれはこっち派だな。」
「おーい、涼也は誰派だよ。」

 誰かが持ってきた水着姿の少女たちの写真の載った写真集を見せられ、涼也はちらりと一瞥して肩を竦める。

「皆可愛いと思うけど?」
「はぁ、何だよそれ。」
「お前、顔が整ってるからって調子に乗るなよ。」
「のってねーよ。」
「うわ、こいつ自分でイケメンだと思っているぞ。」
「阿保か。」

 涼也は近くにいた奴の頭を軽く殴る。

「暴力反対。」
「躾大切だろうが。」
「おれはペットか。」
「家畜以下。」
「ひでぇっ!」

 大げさにショックを受ける一人に何人かはゲラゲラと笑う。

「お前、女に興味はないのか?」
「あるけど。」
「ま、まさか、お前ホモっ!」
「いやーん、おれの貞操がっ!」
「んな訳あるかっ!」

 調子に乗る二人の頭を先ほどとは違い涼也は本気で殴る。

「俺の従姉がさ、見た目めっちゃ美人なんだけど。」
「雪美さんだよな。」
「ああ。」

 雪美を知っている一人が彼女を思い出しているのか、凄くうっとりとしている。

「本当に美人だよな。」
「ああ、美人だけど、なんつーか、性格がすさまじくてな。」
「どういう事だ?」
「従姉にアプローチしている奴を知っているんだが。」
「何だってっ!」
「くそ…どこのどいつだよ。」
「エリート男子校の生徒会長様。」
「くっ!金持ちか。」
「しかも、エリート男子校って、あそこしかねぇじゃん。」
「イケメンか、イケメンだよな…。」
「お前ら、いちいちリアクションすんな。」

 脱線しそうになり、涼也は呆れた顔をする。

「んで、その生徒会長様が明らかに分かりやすいアプローチをするんだがな、それなのに、あの従姉は気づいていないんだよ。」
「鈍感?」
「いや、天然?」
「何で疑問形なんだよ。」
「判断がつかないんだよ。」

 涼也は鬱陶しそうに髪を掻き上げ、胡乱な目つきになる。

「だってさ、花を貰っても、綺麗ね、うん、友だちが丁度欲しがってたからあーげよう、とかいうし。」
「ちょっと、待て、それ本人の前じゃ?」
「本人の前だよ。」
「うわ、嫌われてるんじゃないか?」
「いや、従姉は嫌ってはいない。」
「嫌っては?」
「パシリあたりだと認識してそう。」
「うわ。」
「不憫。」
「されてー。」

 一人の爆弾発言にその場にいる人は引く。

「おーい、皆サッカーやろーぜっ!」

 ボールを持ってやって来た奴に爆弾発言をした奴以外が話題にのった。

「えー、あちーから、ヤダ。」
「今日は誰もいないんだぞ。」
「暑いからだろうがっ!」
「ねっちゅーしょーになるからやーだ。」
「えー。」

 頬を膨らます、ボールを持った男は涼也たち一人ひとりを見て、完全にやらないのだと悟ると唇を尖らせ渋々諦める。

「やりたかったのにな…。」
「また今度な。」
「今度、今度、っていつだよ。」
「今度つったら、今度だよ。」

 涼也は彼らのやり取りを見ながらふと目に入ったカレンダーを見てそろそろ文化祭の時期だと気づく。
 一年、二年は展示か舞台発表かの二つを選び、三年になればそれに模擬店も出来るようになる。
 涼也の記憶では二年は舞台発表で演劇をした記憶があり、同時に苦い思い出が呼び起されて顔を顰めた。

「ん?涼也、どうしたんだ?」

 ボールを持った男が心配そうに涼也を覗き込む。

「あー、そろそろ、文化祭を決めるだろ、何だろうな、と思ってな。」
「俺、劇やりてー。」
「面倒臭くねー?」
「裏方なら大丈夫だろ?」
「あー。」

 タイミングがいいのか悪いのか予鈴のチャイムが鳴る。

「次、ホームルームか。」
「だりー。」

 のろのろと移動を始める友人たちを見つめながら、涼也は次のホームルームを思い、一人暗い顔をする。
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