もう一度君と…

弥生 桜香

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第五章

第五章「文化祭」13

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「「ふあ…。」」

 大きな欠伸が同時に二人の口から漏れる。

「どうしたんだよ、二人とも。」
「ん、ちょっと、考え事をしていてな。」

 涼也は苦笑しながら答え、そして、同じように大きな欠伸をした碧は目を擦りながら涼也と同じ事を言うが、残念ながらそれは聞いてきた友人には冷めた目で見られる。

「何だよ、その眼は。」
「お前のは嘘だろうが。」
「何でだよ。」
「お前に考えるような事はない。」
「あるに決まっているじゃないかっ!」
「なら、何だよ。」
「それは……。」

 言葉を濁らす碧に友人はふふん、と鼻で笑う。

「嘘なんだろう?」
「ちげーよ。」
「なら話せるじゃないかよ。」
「それは……。」

 涼也はフッと昨日の雪美の話を思い出し、顔を僅かに引きつらせて話を逸らす。

「そう言えば、今日のホームルームに運動会の種目選びがあったな。」
「そう言えば、そうだな。」
「どうするんだ?」
「んー、今回は玉入れと綱引きだな。」
「楽なもんを選ぶとえらい目に遭うぞ。」
「大丈夫だよ、おれの運動音痴を舐めるな。」
「……。」

 胸を張る友人に涼也は苦笑を漏らす、そう、この友人はこのクラスでダントツで運動音痴で今までリレーなどの種目には選ばれた事がなかった。

「碧どうすんだよ。」
「俺?俺は借り物とリレー、後、障害物もいいな。」
「……。」
「……。」

 碧の言葉を聞いて顔を引きつらせる友人に、涼也は静かに首を振り、それを見た友人は何かを感じたのか一つ頷き、碧の言葉を聞き流した。

「どうしたんだ?」
「いや、一人最大で三つまでだから限界まで出るのかと思って。」
「ん?三つ?去年は五つ出たけどな。」
「……。」
「……。」

 首を捻る碧に二人は黙り込み、昨年の碧のクラスの体育委員は誰だったかと思い出し、同時に額に手を当てる。

「涼也。」
「何だ。」
「頑張れよ。」

 そう、今年はこのクラスに一年の時の碧の体育委員がいたのだった。
 そして、運動神経のほどほどにいい涼也は間違いなく三つまたは四つくらいは種目を選ばされる可能性が出てきてしまい、涼也は僅かに肩を落とした。
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