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第五章
第五章「文化祭」23
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雪美がしっかりとデザートだけではなく夕食まで食し、お風呂に入り人心地ついた後、涼也は受話器を見ながら固まっていた。
行動を起こすなら早い方がいい。
分かっているけど、結局、踏ん切りがつかなくて、かれこれ三十分ほど固まっている。
「……駄目だ。」
ズルズルと座り込み、頭を抱える涼也は、今日は諦めてしまおうかと本気で考え始める。
「……………………………逃げだよな。」
分かっている事を口にして涼也は溜息を一つ零し、受話器を持つ。
逃げない。
それはここに来て決めた事の一つだった。
前の自分は逃げていた。
勉強
苦手な事
家族
そして、京也の死
逃げた先に何があっただろう?
結局は何もなかった。
勉強しなかった為に社会人になってから苦労した。
苦手な事、料理とかは限られたお給料の内で外食を続けていたら底をつくから手を出さざるを得なかった。
家族とはうまくいかなかった、京也を失った母の死、京也や母の死を悼む事無く後妻を迎えた父親。
知った時は愕然として、だけど、原因は分からなかった否、調べようと思ったらいくらでも手段があったのにもかかわらず、自分は自分が傷つきたくなかったために、表面しか見ていなかった事が今になって気づかされる。
後悔
自嘲
羞恥
逃げた事に抱いた感情、もう、後悔しない為に、自嘲を浮かべない為に、羞恥を感じない為に挑む事を自分は選んだのだ。
涼也は小さく深呼吸をして慣れた番号を押す。
「はい、香澄です。」
「俺だ。」
「…………。」
京也が出た事でホッとした涼也だったが、電話の向こうで急に黙られ首を傾げる。
「京也?」
「申し訳ありませんが、オレオレ詐欺は結構です。」
「なっ!」
「それでは失礼します。」
「ちょっと待てっ!声で分かるだろう。」
「親しき中にも礼儀ありっていうよ。」
「だからってからかうなっ!」
「からかって何てないよ、本当の事だからね。」
「……。」
涼也は脱力しながら溜息を零す。
「悪かった、俺だよ、涼也だ。」
「うん、何の用かな?」
「明日時間あるか?」
「あるよ、ただし、午前中ね。」
「OK。」
「場所は?」
「図書館かファミレス。」
「うーん、なら図書館で。」
「了解。」
「それにしても、涼也。」
「何だよ。」
「僕に電話をしようと三十分以上もかかるなんて失礼だね。」
「はぁっ!」
何で知ってるんだ、と叫びたくなったが、寸前のところで涼也は言葉を飲み込んだ。
「雪美からメールがあってね。今日涼也と話したからちゃんと電話出てあげてねって。」
「……。」
「母さんが出たら涼也の決心が鈍るからってさ。」
「……。」
確かに自分の母親が真っ先に出たら間違いなく決心が鈍るかもしれないが、雪美も京也も余計な事をするな、と思う涼也は決して悪いだろうか。
「それじゃ、朝十時半にね。」
「ああ……。」
「そうそう、間違っても学校の図書室にはいかないでね。」
「行かねぇよっ!」
怒鳴った瞬間に向うの受話器が置かれたのか、虚しい音が聞こえた。
行動を起こすなら早い方がいい。
分かっているけど、結局、踏ん切りがつかなくて、かれこれ三十分ほど固まっている。
「……駄目だ。」
ズルズルと座り込み、頭を抱える涼也は、今日は諦めてしまおうかと本気で考え始める。
「……………………………逃げだよな。」
分かっている事を口にして涼也は溜息を一つ零し、受話器を持つ。
逃げない。
それはここに来て決めた事の一つだった。
前の自分は逃げていた。
勉強
苦手な事
家族
そして、京也の死
逃げた先に何があっただろう?
結局は何もなかった。
勉強しなかった為に社会人になってから苦労した。
苦手な事、料理とかは限られたお給料の内で外食を続けていたら底をつくから手を出さざるを得なかった。
家族とはうまくいかなかった、京也を失った母の死、京也や母の死を悼む事無く後妻を迎えた父親。
知った時は愕然として、だけど、原因は分からなかった否、調べようと思ったらいくらでも手段があったのにもかかわらず、自分は自分が傷つきたくなかったために、表面しか見ていなかった事が今になって気づかされる。
後悔
自嘲
羞恥
逃げた事に抱いた感情、もう、後悔しない為に、自嘲を浮かべない為に、羞恥を感じない為に挑む事を自分は選んだのだ。
涼也は小さく深呼吸をして慣れた番号を押す。
「はい、香澄です。」
「俺だ。」
「…………。」
京也が出た事でホッとした涼也だったが、電話の向こうで急に黙られ首を傾げる。
「京也?」
「申し訳ありませんが、オレオレ詐欺は結構です。」
「なっ!」
「それでは失礼します。」
「ちょっと待てっ!声で分かるだろう。」
「親しき中にも礼儀ありっていうよ。」
「だからってからかうなっ!」
「からかって何てないよ、本当の事だからね。」
「……。」
涼也は脱力しながら溜息を零す。
「悪かった、俺だよ、涼也だ。」
「うん、何の用かな?」
「明日時間あるか?」
「あるよ、ただし、午前中ね。」
「OK。」
「場所は?」
「図書館かファミレス。」
「うーん、なら図書館で。」
「了解。」
「それにしても、涼也。」
「何だよ。」
「僕に電話をしようと三十分以上もかかるなんて失礼だね。」
「はぁっ!」
何で知ってるんだ、と叫びたくなったが、寸前のところで涼也は言葉を飲み込んだ。
「雪美からメールがあってね。今日涼也と話したからちゃんと電話出てあげてねって。」
「……。」
「母さんが出たら涼也の決心が鈍るからってさ。」
「……。」
確かに自分の母親が真っ先に出たら間違いなく決心が鈍るかもしれないが、雪美も京也も余計な事をするな、と思う涼也は決して悪いだろうか。
「それじゃ、朝十時半にね。」
「ああ……。」
「そうそう、間違っても学校の図書室にはいかないでね。」
「行かねぇよっ!」
怒鳴った瞬間に向うの受話器が置かれたのか、虚しい音が聞こえた。
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