もう一度君と…

弥生 桜香

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第五章

第五章「文化祭」31

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「本当に何をやっているんだか。」
「返す言葉もない。」

 京也に手伝ってもらい、自分が持てる分の上に缶を積んでもらい、残りの十本程度を京也に持ってもらった涼也は弱弱しく笑う。

「その服って衣装だよね。」
「ああ。」
「いいな、まともな服で。」
「……。」

 涼也は京也の言葉に遠い目をする。
 京也が今回の劇で演じるのは女役だった、幸いにも着物だけども女物には変わらないので涼也は彼に同情する事しか出来なかった。

「双子なのになんで涼也はこうも筋肉がついているんだよ。」
「そりゃ、鍛えているからな。」
「ずるい。」
「なら、お前も走り込みとかするか?」

 涼也の言葉に京也は冷めた目で彼を見る。

「涼也は僕が運動が苦手なの知っているよね?」
「まあな、でも、走り込みくらいは…………。」

 涼也はついこの間偶然見てしまった京也の体力測定の数値を思い出し黙り込む。

「う、ウオーキングくらいならいいじゃないか?」
「……。」

 黙り込む京也に涼也は嫌な汗を脱ぎたかったが、残念ながら彼の両手はお茶の缶によって阻まれていた。

「まあ、いいだけどさ。」
「いいんだ。」
「何か?」
「別に?」
「……本当に君は。」

 あからさまに溜息を吐かれ涼也は苦笑する。

「悪かったって、でも、ウオーキングはいいと思うぞ、体力はつくだろうし。」
「そうだね、考えてはみるよ。」

 あまり前向きではない言葉に涼也は乾いた笑みを浮かべる。

「そういや、京也はあんな場所に何の用だったんだ?」
「飲み物を買いに来たんだよ、君あったのは本当に偶然だよ。」
「そうか。」
「あっと、着いたね。」
「サンキュな。」
「別に。」

 涼也は足で教室の扉を開けると近くに寄せてある机の上にお茶の缶を置く。

「おーい、差し入れ持ってきたぞ。」
「あっ、気が利くじゃない。」
「ラッキー、ちょうど喉渇いてたんだよね。」
「あら、本城弟じゃない。」
「もう、本城じゃないよ。」
「ごめんなさい。」
「いいんだよ。」

 自然とクラスに溶け込む京也に涼也はホッとしながら自分の分のお茶の缶を京也に差し出す。

「本当に助かったよ。」
「別に、当たり前のことだよ。」

 受け取ろうとしない京也に涼也は無理やり彼の手を掴みそれを持たせる。

「涼也は強引だね。」
「人の感謝を受け取らない頑固者には言われたくないね。」
「どっちもどっちでしょうが。」

 呆れたような外野の声を無視して涼也は苦笑している京也を見る。

「涼也、これありがとう、それじゃ、僕も練習があるから。」
「ああ、またな。」
「うん、またね。」
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