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第二章
《セイラの出自》
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ルミナは封筒を取り出し、机の上に置く。
「これは?」
「貴女の出自が書かれているわ。」
「……。」
「見るも見ないも貴女の自由よ。」
「……。」
セイラは一瞬戸惑ったが、すぐに、それに手を伸ばした。
「……それを見て、後悔はないの?」
ルミナは最後の警告をする。
だけど、セイラは微笑んだ。
「私が知りたいのは敵が誰かだけ、別に私がどこの誰だったとしても、私はセイラ、それだけは変わりないです。」
「……。」
ルミナは驚いた顔をするが、すぐに、自分の子を見てフッと笑う。
「流石、息子が選んだ娘さんね。」
「だろう。」
何故かカルムが胸を張り、セイラはそれに苦笑して答える。
「……。」
セイラは書類に目を通す。
彼女の父親は商人だった。それはレミラから聞いていた情報と一致していた。
ただ、予想していた以上だった。彼はただの商人ではなくこの国で五本の指に入るほどの商人で、遠くの地からやって来たのだと書かれている。
そして、彼女の母はこの国の商人の一族の娘だったが、二年前、セイラが三つの時に亡くなっていた。
二つ下の弟もいる。のちに彼が父の商会を継ぐのだろうとセイラは以前聞いた情報とこの情報を見てさらにそう思った。
そして、親戚の書かれている紙を見ればぐしゃぐしゃにされて読みづらくなっていた。
読み進めるうちにセイラはその理由を理解し、溜息を吐きたくなる。
「……私の命を狙っていたのはやはり親戚の方々だったのですね、ただ意外に父は手を出していなかったのですね。」
「でも…父親は止める事無く、むしろ、貴女を仕留めた奴には報酬を与えるとものたまわっているそうよ。」
意外に平然としているセイラにルミナさんは吐き捨てるようにそんな事を口にしている。
セイラは苦笑しながらそれを受け止める。
「分かりました。教えてくださってありがとうございます。」
「……ねぇ、セイラちゃん。」
「何ですか?」
「貴女は両親を恨んでないの?」
「……。」
セイラは見た事のない両親を思い浮かべてみたが、やはり何の感情も抱いていなかった。
「恨む、恨まない以前に薄情者の私は親の顔を思い出す事も出来ません。」
「……。」
「セイラは薄情じゃねぇ。」
ルミナは目を伏せ、カルムは唸るような声を出す。
「カルム。」
「あの双子に聞いた、あいつらが覚えている限りでお前の両親を知らないって、そんな小さなガキの頃だろう、そんなの当たり前じゃねぇか。」
「ありがとう…。」
自分の事のように憤ってくれるカルムにセイラは救われる思いだった。
セイラは笑みを浮かべながら、ルミナを見る。
「私は生まれてはいけない子だったのかもしれません、でも、私はこうして生きているし、生きる事を望んでくれる人もいます。」
いつの間にか机の下で握られる豆だらけの手にセイラはこっそりと握り返す。
「だから、私の出自がなんだろうと、私は持てる力を使って生き抜いて見せます。」
「……予想以上に強い子ね。」
ルミナの言葉にセイラはゆるゆると首を振る。
「私は強くなんてありません、もし、私が強く見えるのなら、それは皆のお蔭です。」
「……。」
「絶対、死なせねぇ。」
ルミナは眩しいものを見るように目を細め、カルムは己の命に誓う。
「あっ、カルム、あの二人には黙っていてくれる?」
「何でだ?」
「……きっと、乗り込んでいくから。」
「あっ…、ああ……。」
意外にも猪突猛進な所がある双子を思い浮かべカルムは納得する。
「さて、辛気臭いはなしもおしまい、クッキーを焼いてたから持ってくるわね。」
「えっ。」
スイッチを切り替えたかのように明るく振る舞うルミナにセイラは驚きながら彼女の後姿を見送った。
「これは?」
「貴女の出自が書かれているわ。」
「……。」
「見るも見ないも貴女の自由よ。」
「……。」
セイラは一瞬戸惑ったが、すぐに、それに手を伸ばした。
「……それを見て、後悔はないの?」
ルミナは最後の警告をする。
だけど、セイラは微笑んだ。
「私が知りたいのは敵が誰かだけ、別に私がどこの誰だったとしても、私はセイラ、それだけは変わりないです。」
「……。」
ルミナは驚いた顔をするが、すぐに、自分の子を見てフッと笑う。
「流石、息子が選んだ娘さんね。」
「だろう。」
何故かカルムが胸を張り、セイラはそれに苦笑して答える。
「……。」
セイラは書類に目を通す。
彼女の父親は商人だった。それはレミラから聞いていた情報と一致していた。
ただ、予想していた以上だった。彼はただの商人ではなくこの国で五本の指に入るほどの商人で、遠くの地からやって来たのだと書かれている。
そして、彼女の母はこの国の商人の一族の娘だったが、二年前、セイラが三つの時に亡くなっていた。
二つ下の弟もいる。のちに彼が父の商会を継ぐのだろうとセイラは以前聞いた情報とこの情報を見てさらにそう思った。
そして、親戚の書かれている紙を見ればぐしゃぐしゃにされて読みづらくなっていた。
読み進めるうちにセイラはその理由を理解し、溜息を吐きたくなる。
「……私の命を狙っていたのはやはり親戚の方々だったのですね、ただ意外に父は手を出していなかったのですね。」
「でも…父親は止める事無く、むしろ、貴女を仕留めた奴には報酬を与えるとものたまわっているそうよ。」
意外に平然としているセイラにルミナさんは吐き捨てるようにそんな事を口にしている。
セイラは苦笑しながらそれを受け止める。
「分かりました。教えてくださってありがとうございます。」
「……ねぇ、セイラちゃん。」
「何ですか?」
「貴女は両親を恨んでないの?」
「……。」
セイラは見た事のない両親を思い浮かべてみたが、やはり何の感情も抱いていなかった。
「恨む、恨まない以前に薄情者の私は親の顔を思い出す事も出来ません。」
「……。」
「セイラは薄情じゃねぇ。」
ルミナは目を伏せ、カルムは唸るような声を出す。
「カルム。」
「あの双子に聞いた、あいつらが覚えている限りでお前の両親を知らないって、そんな小さなガキの頃だろう、そんなの当たり前じゃねぇか。」
「ありがとう…。」
自分の事のように憤ってくれるカルムにセイラは救われる思いだった。
セイラは笑みを浮かべながら、ルミナを見る。
「私は生まれてはいけない子だったのかもしれません、でも、私はこうして生きているし、生きる事を望んでくれる人もいます。」
いつの間にか机の下で握られる豆だらけの手にセイラはこっそりと握り返す。
「だから、私の出自がなんだろうと、私は持てる力を使って生き抜いて見せます。」
「……予想以上に強い子ね。」
ルミナの言葉にセイラはゆるゆると首を振る。
「私は強くなんてありません、もし、私が強く見えるのなら、それは皆のお蔭です。」
「……。」
「絶対、死なせねぇ。」
ルミナは眩しいものを見るように目を細め、カルムは己の命に誓う。
「あっ、カルム、あの二人には黙っていてくれる?」
「何でだ?」
「……きっと、乗り込んでいくから。」
「あっ…、ああ……。」
意外にも猪突猛進な所がある双子を思い浮かべカルムは納得する。
「さて、辛気臭いはなしもおしまい、クッキーを焼いてたから持ってくるわね。」
「えっ。」
スイッチを切り替えたかのように明るく振る舞うルミナにセイラは驚きながら彼女の後姿を見送った。
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