今世ではのんびりしたいのですが…無理ですか…

弥生 桜香

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第三章

《弟 11》

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「セイラ様、そろそろ。」
「ええ。」

 ミラの声にセイラはソクドから離れる。

「お姉様。」
「そろそろ戻らないと、怪しまれるから。」
「……。」
「カモフラージュに本を持って彼らの元に行きなさい。」
「はい。」
「ソクド、さよなら。」
「……お姉様、また、会えますよね?」

 セイラの言葉にソクドは唇を噛み、そして、懇願する。

「勿論。」
「どうすれば、お会いできますか?」
「……。」
「お姉様。」
『主。』

 黄砂が口を開き、セイラはそちらを見る。

『主と弟君は同じ土属性を持っている。』
「はい。」
『ならば、土属性の使役獣を使いやり取りをすればいいのではないのか。』
「でも、どうすれば?」
『森にでも行けばリスなどがおろう、その時にでも我を呼べばよかろう。』
「それで、お姉様とやり取りができるのですか?」
『それならば、目立たぬだろう、そこの火、水、風の子らは目立つゆえに、難しいだろうからな。』
「「「……。」」」

 黄砂の言葉は一体どれにかかっているのか三人には分かりかねた。

 容姿なのか。

 行動の事なのか。

 全てにかかるのか。

「その使役獣というものがいれば、いつでもお姉様とやり取りが出来るのですね。」
『文とかのやり取りならばできる、大きければそれ相応に役に立つが、主たちが必要なのは小型ので十分だろう。』
「ええ、そうね。」
『文とかのやり取りならば、風が一番適して居るが、送り手と受け手が同じ属性じゃなければはじめのうちはうまくいかないから、始めは同じ属性がよかろう。』
「分かりました。」
『それでは我らは帰るとしよう。』

 他の精霊王たちはもの言いたげに黄砂を睨んでいたが、今回はソクドとの顔合わせの為、彼に姿を見せられない精霊王たちはもの言いたげに黙り込んでいた。

『それは、また、近々会おうではないか。』
『地のだけズルーいっ!』
『本当です。』
『おい、小僧、お前も使役獣が欲しいよな?』
「はあ?」

 話が分からないカルムは怪訝な顔をして緋焔を見る。

『いいから、頷け。』
「訳が分からないものに頷く理由はない。」
『このカチンコチン頭がっ!』

 緋焔は恨めしそうにカルムを見て、そして、氷灯に殴られる。

『帰らぬか。』
『そうですよ。』

 ニッコリと微笑む陽冷にぞっとしたのか、緋焔は姿を消す。

『それでは、失礼する。』
『またお会いしましょう。』

 緋焔を皮切りに次々と精霊王は消えた。

「それじゃ、ソクド、使役獣を捕まえたら、また連絡をするわ。」
「楽しみしております。」

 ソクドは満面の笑みを浮かべ、図書館内に戻っていった。
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