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第三章
《油断 3》
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「セイラ様、大丈夫ですか?」
「ええ。」
心配そうにセイラを見るレラにセイラは頷くが、それでも、レラの表情がさえる事はなかった。
「ですが、昨日足をくじかれたじゃありませんか。」
昨日セイラは別のクエストの時に積んであった荷物が彼女の方に落ちてくるアクシデントに見舞われたが、彼女の運動神経によって無事回避したのだが、その代償として足をくじいてしまったのだった。
「平気よ、ミナが治してくれたじゃない。」
「…完全ではありません。」
悔しそうにミナがそう言う。
彼女の治癒術は優秀だが、それでも、自然な治癒に任せなければいけない範囲と言うものがあり、完全にはセイラの足が癒えていないのだ。
「大丈夫よ、痛みもない――っ!二人とも止まってっ!」
「「――っ!」」
双子はセイラの言葉に反射的に止まる。
刹那、双子が居た位置に武器が突き刺さっていた。
「何者ですっ!」
「何者って嬢ちゃん分かっているだろう?」
「……。」
忌々しそうにミラが見えない敵を睨む。
「……数は五人です。」
「そっちの嬢ちゃんは探索が得意なようだな。」
「……。」
焦りを見せない敵にミラとレラの方が焦る。
だけど、セイラはこのような状況を理解していたのか気丈な姿を見せていた。
「そっちのターゲットの嬢ちゃんは肝が据わってんな。」
「殺されてしまうのにな。」
「あなた方はこちらで待ち伏せしていたようですね。」
「……ほお、あの坊主を倒してここに来たとは思わねぇのかよ。」
「ええ、カルムがそう簡単にやられるはずがありません。」
「それにあっちで戦う音がしているもの。」
「それくらいは分かります。」
「ははは、すげー、怖い嬢ちゃんたちだ、普通の子どもは泣きわめくものだぞ。」
「残念ながら修羅場は何度も通っているもので。」
「そのようだな。」
「セイラ様、先に行ってください。」
「でも…。」
「これ以上先に敵はいないでしょう。」
「うん、風に調べてもらってけれど、居ないみたい。」
「でも。」
「五人程度でしたら、わたしとレラが居れば一瞬です、なので、先に行ってお待ちいただけますか?」
「本当に大丈夫なの?」
セイラの言葉にミラとレラは頷く。
「セイラ様を悲しませることは決してありません。」
「はい。」
「二人を信じているけど、無茶はしないで。」
「分かっています。」
「勿論です。」
勝つ気満々な二人にセイラは苦笑し、そして、念には念を入れる。
「朱花っ!」
高い鳴き声と共に朱花が舞い降りる。
「セイラ様。」
「そこまでしなくても大丈夫ですよ。」
「念には念を入れないと。」
過保護なセイラに双子は少し呆れているが、セイラは譲る事はなかった。
ここは小さな戦場だ、生きるも死ぬも運しだい。
それならば、セイラのお節介で二人の命が少しでも守れるのならお安いものだった。
「これ以上の問答は時間の無駄よ。」
「分かりました。」
「セイラ様もお気をつけて。」
「ええ。」
レラは空中に風の刃を作る。
「行けええええええっ!」
レラの無数の刃が敵に向かって放たれる。
それが合図となり、セイラは一気にこの場所を走る。
「行かせるか。」
「させません。」
ミラは動く影を目でとらえ、すでに準備していた水の弾丸を放つ。
「ぐっ!」
それは見事に敵に当たり、地面に伏す。
「こりゃ、甘く見ない方がよさそうだ。」
「セイラ様には指一本触れさせません。」
「おじさんたち、覚悟してよね。」
末恐ろしい子どもに敵はわずかに冷や汗をかく。
しかし、この時のセイラたちの判断は悪手だったのかもしれない。
もし、この場でセイラが離れなければ、彼女は一人怪我を負うことはなかったのだから。
「ええ。」
心配そうにセイラを見るレラにセイラは頷くが、それでも、レラの表情がさえる事はなかった。
「ですが、昨日足をくじかれたじゃありませんか。」
昨日セイラは別のクエストの時に積んであった荷物が彼女の方に落ちてくるアクシデントに見舞われたが、彼女の運動神経によって無事回避したのだが、その代償として足をくじいてしまったのだった。
「平気よ、ミナが治してくれたじゃない。」
「…完全ではありません。」
悔しそうにミナがそう言う。
彼女の治癒術は優秀だが、それでも、自然な治癒に任せなければいけない範囲と言うものがあり、完全にはセイラの足が癒えていないのだ。
「大丈夫よ、痛みもない――っ!二人とも止まってっ!」
「「――っ!」」
双子はセイラの言葉に反射的に止まる。
刹那、双子が居た位置に武器が突き刺さっていた。
「何者ですっ!」
「何者って嬢ちゃん分かっているだろう?」
「……。」
忌々しそうにミラが見えない敵を睨む。
「……数は五人です。」
「そっちの嬢ちゃんは探索が得意なようだな。」
「……。」
焦りを見せない敵にミラとレラの方が焦る。
だけど、セイラはこのような状況を理解していたのか気丈な姿を見せていた。
「そっちのターゲットの嬢ちゃんは肝が据わってんな。」
「殺されてしまうのにな。」
「あなた方はこちらで待ち伏せしていたようですね。」
「……ほお、あの坊主を倒してここに来たとは思わねぇのかよ。」
「ええ、カルムがそう簡単にやられるはずがありません。」
「それにあっちで戦う音がしているもの。」
「それくらいは分かります。」
「ははは、すげー、怖い嬢ちゃんたちだ、普通の子どもは泣きわめくものだぞ。」
「残念ながら修羅場は何度も通っているもので。」
「そのようだな。」
「セイラ様、先に行ってください。」
「でも…。」
「これ以上先に敵はいないでしょう。」
「うん、風に調べてもらってけれど、居ないみたい。」
「でも。」
「五人程度でしたら、わたしとレラが居れば一瞬です、なので、先に行ってお待ちいただけますか?」
「本当に大丈夫なの?」
セイラの言葉にミラとレラは頷く。
「セイラ様を悲しませることは決してありません。」
「はい。」
「二人を信じているけど、無茶はしないで。」
「分かっています。」
「勿論です。」
勝つ気満々な二人にセイラは苦笑し、そして、念には念を入れる。
「朱花っ!」
高い鳴き声と共に朱花が舞い降りる。
「セイラ様。」
「そこまでしなくても大丈夫ですよ。」
「念には念を入れないと。」
過保護なセイラに双子は少し呆れているが、セイラは譲る事はなかった。
ここは小さな戦場だ、生きるも死ぬも運しだい。
それならば、セイラのお節介で二人の命が少しでも守れるのならお安いものだった。
「これ以上の問答は時間の無駄よ。」
「分かりました。」
「セイラ様もお気をつけて。」
「ええ。」
レラは空中に風の刃を作る。
「行けええええええっ!」
レラの無数の刃が敵に向かって放たれる。
それが合図となり、セイラは一気にこの場所を走る。
「行かせるか。」
「させません。」
ミラは動く影を目でとらえ、すでに準備していた水の弾丸を放つ。
「ぐっ!」
それは見事に敵に当たり、地面に伏す。
「こりゃ、甘く見ない方がよさそうだ。」
「セイラ様には指一本触れさせません。」
「おじさんたち、覚悟してよね。」
末恐ろしい子どもに敵はわずかに冷や汗をかく。
しかし、この時のセイラたちの判断は悪手だったのかもしれない。
もし、この場でセイラが離れなければ、彼女は一人怪我を負うことはなかったのだから。
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