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第三章
《油断 6》
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「う……。」
セイラは痛みに呻きながら重い瞼を押し上げる。
『気づいた?』
『気づかれましたか?』
二人の優しい声にセイラは双子を思い出すが、それとはまったく違う事に送れて気づく。
「蒼泉、碧嵐?」
『よかった。』
『あまり動かないで下さい、傷口が広がります。』
「どうなって…。」
セイラは蒼泉の言葉を無視して身じろぎをしながら自分の記憶を辿る。
そして、自分が敵に襲われ、自分の考えで崖から飛び降りた事を思い出す。
見上げれば高い木がそびえたつだけで崖の姿が見えなかった。
「どのくらいの時間が経ったの?」
『さほど経っておりません。』
「あの男は?」
『まだ、崖の上にいるみたい、どうするか考えているわね。』
「そう。」
セイラの疑問に答えてくれる二人にセイラは頭を働かす。
「近くに身を隠せる場所はある?」
『えっと、ああ、近くにちょうどいい洞窟があるわ。』
「案内してもらえる?」
『ええ、勿論よ。』
碧嵐の言葉に蒼泉は渋い顔をするが、セイラはそれを申し訳なく思いながらも気づかない振りをする。
「ありがとう、後、頼みたいのだけど、案内し終わった後レラたちの所に行ってもらいたいのだけど、可能かしら?」
『いいけど、何で?』
「この怪我だと待ち合わせの場所に行けそうもないから、治療したとしてもかなりの時間がかかるの。」
『……。』
碧嵐は真偽を問うように蒼泉を見やる。
『セイラ様の言う通りよ、本当なら動いても欲しくはないのだけど、上で待ち受けるあの者は嫌なものを纏っているから気の休まる場所に隠れて欲しいわ。』
『分かったわ。』
やる気を見せる碧嵐にセイラは弱弱しく笑う。
「ありがとう。」
『主様は治療に専念してくださいね。』
「ええ、分かっているわ。」
セイラはふらつきながら立ち上がる。
『……。』
『……。』
碧嵐も蒼泉も心配そうにセイラを見つめるが、セイラは一人で歩く。
よたつきながらも、ゆっくりと、だけど、確かな足取りで歩く。
その姿はあまりにも痛々しく、碧嵐も蒼泉も目をそむけたくなった。
「そう言えば、白磁や北星、東雲は?」
『あの子らは近くで結界を張ってくれているわ。』
『あの子たちもあれは危険だと思っているみたいね、だから、結束して強い結界を張ってくれているわ。』
「そう、後でお礼を言わないと。」
青い顔で微笑むセイラは儚く、すぐにでも崩れてしまいそうで彼女たちは自分の不甲斐なさに唇を噛む。
「碧嵐、こっちの方であっている?」
『ええ、そっちよ、もう少し行けば見えるから。』
「あっ、本当、結構しっかりとしているのね。」
セイラは洞窟を見つめ、ホッとした顔をする。
どうやら、彼女の体力も限界を迎えていた。
今は気力で起きているのだが、それでも、もう少し遠かったら危なかったとセイラは感じた。
『……あの双子の所に行ってくるわ。』
『ええ、早く呼んできて頂戴。』
『分かったわ。』
セイラの姿を見ていられないと思った碧嵐は蒼泉に声をかけ、姿を消す。
セイラは近くでかわされた会話に気づく様子もなく、ただ、洞窟に向かって歩く。
かすんでいる視界。
鉛のように思い足。
セイラは必死で洞窟にたどり着く。
不幸か、幸いか、彼女の感知能力は衰えていなかった。
「蒼泉、碧嵐、姿を消してっ!」
セイラはそう言って息をひそめる。
上に居たと思った男はいつの間にか下に降りてきた、そして、セイラの近くをうろついていた。
セイラは息をひそめながら洞窟にたどり着く。
上がった息を整え、彼女は洞窟の壁にもたれかかる。
『セイラ様、治療しましょう。』
セイラの言いつけを破り、蒼泉は姿を見せる。
「駄目よ……、相手に気づかれる…。」
セイラは少しでも気づかれる可能性を下げたくて首を振る。
『ですが、そのままでは失血死してしまいます。』
「大丈夫…このくらいならまだ大丈夫…。」
『……。』
セイラはそう言ってを見上げ、尋ねる。
「皆は大丈夫かしら?」
『セイラ様がとっさに朱花を付けまし、碧嵐も向かいましたし、大丈夫だとは思われます。』
「そう、よかった。」
『……。』
「少し、寝るから…見張りをお願いできる?」
『分かりました。』
色々限界だったセイラは最後に微笑み、一瞬にして深い眠りについた。
セイラは痛みに呻きながら重い瞼を押し上げる。
『気づいた?』
『気づかれましたか?』
二人の優しい声にセイラは双子を思い出すが、それとはまったく違う事に送れて気づく。
「蒼泉、碧嵐?」
『よかった。』
『あまり動かないで下さい、傷口が広がります。』
「どうなって…。」
セイラは蒼泉の言葉を無視して身じろぎをしながら自分の記憶を辿る。
そして、自分が敵に襲われ、自分の考えで崖から飛び降りた事を思い出す。
見上げれば高い木がそびえたつだけで崖の姿が見えなかった。
「どのくらいの時間が経ったの?」
『さほど経っておりません。』
「あの男は?」
『まだ、崖の上にいるみたい、どうするか考えているわね。』
「そう。」
セイラの疑問に答えてくれる二人にセイラは頭を働かす。
「近くに身を隠せる場所はある?」
『えっと、ああ、近くにちょうどいい洞窟があるわ。』
「案内してもらえる?」
『ええ、勿論よ。』
碧嵐の言葉に蒼泉は渋い顔をするが、セイラはそれを申し訳なく思いながらも気づかない振りをする。
「ありがとう、後、頼みたいのだけど、案内し終わった後レラたちの所に行ってもらいたいのだけど、可能かしら?」
『いいけど、何で?』
「この怪我だと待ち合わせの場所に行けそうもないから、治療したとしてもかなりの時間がかかるの。」
『……。』
碧嵐は真偽を問うように蒼泉を見やる。
『セイラ様の言う通りよ、本当なら動いても欲しくはないのだけど、上で待ち受けるあの者は嫌なものを纏っているから気の休まる場所に隠れて欲しいわ。』
『分かったわ。』
やる気を見せる碧嵐にセイラは弱弱しく笑う。
「ありがとう。」
『主様は治療に専念してくださいね。』
「ええ、分かっているわ。」
セイラはふらつきながら立ち上がる。
『……。』
『……。』
碧嵐も蒼泉も心配そうにセイラを見つめるが、セイラは一人で歩く。
よたつきながらも、ゆっくりと、だけど、確かな足取りで歩く。
その姿はあまりにも痛々しく、碧嵐も蒼泉も目をそむけたくなった。
「そう言えば、白磁や北星、東雲は?」
『あの子らは近くで結界を張ってくれているわ。』
『あの子たちもあれは危険だと思っているみたいね、だから、結束して強い結界を張ってくれているわ。』
「そう、後でお礼を言わないと。」
青い顔で微笑むセイラは儚く、すぐにでも崩れてしまいそうで彼女たちは自分の不甲斐なさに唇を噛む。
「碧嵐、こっちの方であっている?」
『ええ、そっちよ、もう少し行けば見えるから。』
「あっ、本当、結構しっかりとしているのね。」
セイラは洞窟を見つめ、ホッとした顔をする。
どうやら、彼女の体力も限界を迎えていた。
今は気力で起きているのだが、それでも、もう少し遠かったら危なかったとセイラは感じた。
『……あの双子の所に行ってくるわ。』
『ええ、早く呼んできて頂戴。』
『分かったわ。』
セイラの姿を見ていられないと思った碧嵐は蒼泉に声をかけ、姿を消す。
セイラは近くでかわされた会話に気づく様子もなく、ただ、洞窟に向かって歩く。
かすんでいる視界。
鉛のように思い足。
セイラは必死で洞窟にたどり着く。
不幸か、幸いか、彼女の感知能力は衰えていなかった。
「蒼泉、碧嵐、姿を消してっ!」
セイラはそう言って息をひそめる。
上に居たと思った男はいつの間にか下に降りてきた、そして、セイラの近くをうろついていた。
セイラは息をひそめながら洞窟にたどり着く。
上がった息を整え、彼女は洞窟の壁にもたれかかる。
『セイラ様、治療しましょう。』
セイラの言いつけを破り、蒼泉は姿を見せる。
「駄目よ……、相手に気づかれる…。」
セイラは少しでも気づかれる可能性を下げたくて首を振る。
『ですが、そのままでは失血死してしまいます。』
「大丈夫…このくらいならまだ大丈夫…。」
『……。』
セイラはそう言ってを見上げ、尋ねる。
「皆は大丈夫かしら?」
『セイラ様がとっさに朱花を付けまし、碧嵐も向かいましたし、大丈夫だとは思われます。』
「そう、よかった。」
『……。』
「少し、寝るから…見張りをお願いできる?」
『分かりました。』
色々限界だったセイラは最後に微笑み、一瞬にして深い眠りについた。
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