【新作】最強もふもふテイマーは卒業を決意するも

櫛田こころ

文字の大きさ
2 / 7

第2話

しおりを挟む
 急いだ方がいいだろうとギルドへ手続きに行ったら、まあ、ギルドマスターからも渋い顔をされた。
「……マジで引退する気か?」
「決意は変えません」
「テイマーでも最高のSランクに到達したんだぞ? それをあっさりと辞めるのか?」
「いいんです。ソロで動いていただけなので、テイマーした子たち以外に迷惑をかけるメンバーはいませんし」
「ギルドとしても、出来れば止めたいが。そこまで言われると、規約違反でもないし無理だな」
「ありがとうございます」
 老年のギルマスには納得してもらえたので、手続きはなんとかしてくれることになった。仲のいい職員さんたちに伝わったら男女問わずにハグでもみくちゃにされちゃったけど。ついでとばかりに送別会も開いてもらって、元同業者となった冒険者のみんなにも引退を嘆かれた。
「なんで辞めんだよ!? 田舎暮らしのリタイア生活とか刺激ないだろ!?」
「意味わかんない! Sランクにまでいったのに!!」
「いいんだ。僕が望んだから」
「「そうかよぉ……」」
 送別会が終わった翌日には、キエラの雲移動の魔法でニルビス村に向かうことにした。どこかの国のおとぎ話だと『筋斗雲』とか言うらしいけど、キエラ自身は変な呼び名だからとそっちの名前を使っている。
 座標を伝えて、全員で乗り込んだらぴゅぃっと移動できるから長距離遠征にはだいぶ役に立ったんだよね。国ふたつをまたぐ距離だったけど、ものの数時間で僕の故郷は見えてきた。時期が春のせいか、村の名物である桜の木々が眼下に見えて懐かしさが込み上げてくる。
『きれ~』
『花畑じゃね?』
「違うよ。あれは桜の木」
『ふむ。精霊の里には劣るが悪くはないな』
「精霊の里にも桜の木はあったの?」
『応。だが、花の大きさも規模も違う。あのように儚い出で立ちではないな?』
 雲海での依頼がきっかけでテイマーしたキエラだけど、まだまだ全部を知っているわけではないからね。他の二匹もだし、僕はテイマーとしてもまだまだ新米と変わりないんだ。Sランクだったけど、みんなのおかげでそのランクに行き着いただけだから。
 とりあえず、村の入り口になる門前に雲移動で全員降り立ち……十年ぶりだけど、特に変わらない門構えに懐かしさを感じた。街じゃないから門兵とかはいないが、ちょうど誰かが薪拾いから戻ってきているところで、よいしょっと、と言いながら門をくぐっていた。
「あの、すみませんー!」
 後ろ姿だけじゃ誰だかわからないから声をかけると……その人は勢いよく振り向いてから、僕の方に走ってきた!? 近づいてくるにつれて、顔が見えたからすぐに理由がわかった!
「リュート!!」
「グスタフおじさん!!」
 村の中で唯一ドワーフの、僕が生まれる前から村に在住している鍛冶師のおじさんだ!
 ちょっと老けた気がするけど、僕を見つけるとダッシュしてきてそのままハグされた。
「十年ぶりじゃねぇか!? やっと里帰りしてきたのか、バカ坊主!!」
「ごめんなさい。けど、もう冒険者辞めて帰還してきたんです」
「は? 冒険者辞めたのか?」
「仲間は連れてきたんですけど」
 みんなを紹介しようと思ったが、僕の後ろでぽかーんとなっていた。多分、グスタフおじさんの反応にびっくりしたんだと思う。グスタフおじさんも皆を見てくれたけど、おじさんもぽかーんってしちゃったんだよね?
「は? フェンリルに綿ウサギ? そっちは精霊殿??」
「キエラは雲の精霊なんですよ」
「雲!? 超高ランクじゃねぇか!! んで、冒険者辞めてもついてきてくださったのか?」
「はい。僕と一緒にいたいからって。村で自警出来るくらいは強くなったけど、実家とかってまだあります?」
「あ、ああ。あるぞ。つーか、今日もルシアーノが手入れに行ってるぞ?」
「え!? ルーノが!」
 あの子が村にいることもだけど、両親が他界して無人の家をわざわざ手入れしてくれているなんて……相変わらず、いい子だ。僕が冒険者になることを決意しても、笑って見送ってくれた……幼馴染みの女の子。いや、もう女性かな。
『リュートぉ。そのルーノ、って女?』
 あ、ライラがちょっと怒ってる。別に女性全般を嫌っているわけじゃないけど、僕と親し過ぎる相手には威嚇しがちなんだよね。けど、ここは少し説得しよう。
「僕もすごくお世話になった人なんだよ? 例の約束した相手だけど」
『何? 好きな相手?』
「いやいや、それは無理だよ。年齢のこと考えたら、向こうはもう結婚」
「してねぇぞ、ルシアーノは」
「え?」
「まあ、野暮な話だが。約束を理由にずっと待ってたんだぞ?」
「えぇえ??」
 まさか、本当に桜の木の下で約束した……再会を理由に誰とも結婚してない?
 そんなバカな!?と僕は走り出して実家の方に向かった!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

荷物持ちを追放したら、酷い目にあった件について。

しばたろう
ファンタジー
無能だと思い込み、荷物持ちのレンジャーを追放した戦士アレクス。 しかし―― 彼が切り捨てた仲間こそが、 実はパーティを陰で支えていたレアスキル持ちだった。 事実に気づいた時にはもう遅い。 道に迷い、魔獣に襲われ、些細な任務すらまともにこなせない。 “荷物持ちがいなくなった瞬間”から、 アレクスの日常は静かに崩壊していく。 短絡的な判断で、かけがえのない存在を手放した戦士。 そんな彼と再び肩を並べることになったのは―― 美しいのに中二が暴走する魔法使い ノー天気で鈍感な僧侶 そして天性の才を秘めた愛くるしい弟子レンジャー かつての仲間たちと共に、アレクスはもう一度歩き出す。 自らの愚かさと向き合い、後悔し、懺悔し、それでも進むために。 これは、 “間違いを犯した男が、仲間と共に再び立ち上がる” 再生の物語である。 《小説家になろうにも投稿しています》

勇者パーティを追放された地味な器用貧乏は、 魔王軍の女騎士とスローライフを送る

ちくわ食べます
ファンタジー
勇者パーティから「地味、英雄譚の汚点」と揶揄され追放された器用貧乏な裏方の僕。 帰る場所もなく死の森を彷徨っていたところ、偶然にも重傷を負った魔王軍四天王で最強の女騎士「黒鉄剣のリューシア」と遭遇する。 敵同士のはずなのに、なぜか彼女を放っておけなくて。治療し、世話をし、一緒に暮らすことになった僕。 これは追放された男と、敗北を重ね居場所を失った女の物語。

落ちこぼれの【無属性】魔術師、実は属性そのものを定義する「概念魔法」の創始者だった

風船色
ファンタジー
「魔法とは才能(血筋)ではなく、記述されるべき論理(ロジック)である」 王立魔導学院で「万年最下位」の烙印を押された少年、アリスティア・レイロード。属性至上主義のこの世界で、火すら出せない彼は「無属性のゴミ」と蔑まれ、ついに卒業試験で不合格となり国外追放を言い渡される。 しかし、彼を嘲笑う者たちは知らなかった。アリスティアが、既存の属性魔法など比較にならないほど高次の真理――世界の現象を数式として捉え、前提条件から書き換える『概念魔法(コンセプト・マジック)』の使い手であることを。 追放の道中、彼は石ころに「硬度:無限」の概念を付与し、デコピン一つで武装集団を粉砕。呪われた最果ての森を「快適な居住空間」へと再定義し、封印されていた銀嶺竜の少女・ルナを助手にして、悠々自適な研究生活をスタートさせる。 一方、彼を捨てた王国は、属性魔法が通用しない未知の兵器を操る帝国の侵攻に直面していた。「助けてくれ」と膝をつくかつての同級生や国王たちに対し、アリスティアは冷淡に告げる。 「君たちの誇りは、僕の昼寝より価値があるのか?」 これは、感情に流されない徹底した合理主義者が、己の知的好奇心のために世界の理を再構築していく、痛快な魔導ファンタジー。

S級パーティを追放された無能扱いの魔法戦士は気ままにギルド職員としてスローライフを送る

神谷ミコト
ファンタジー
【祝!4/6HOTランキング2位獲得】 元貴族の魔法剣士カイン=ポーンは、「誰よりも強くなる。」その決意から最上階と言われる100Fを目指していた。 ついにパーティ「イグニスの槍」は全人未達の90階に迫ろうとしていたが、 理不尽なパーティ追放を機に、思いがけずギルドの職員としての生活を送ることに。 今までのS級パーティとして牽引していた経験を活かし、ギルド業務。ダンジョン攻略。新人育成。そして、学園の臨時講師までそつなくこなす。 様々な経験を糧にカインはどう成長するのか。彼にとっての最強とはなんなのか。 カインが無自覚にモテながら冒険者ギルド職員としてスローライフを送るである。 ハーレム要素多め。 ※隔日更新予定です。10話前後での完結予定で構成していましたが、多くの方に見られているため10話以降も製作中です。 よければ、良いね。評価、コメントお願いします。励みになりますorz 他メディアでも掲載中。他サイトにて開始一週間でジャンル別ランキング15位。HOTランキング4位達成。応援ありがとうございます。 たくさんの誤字脱字報告ありがとうございます。すべて適応させていただきます。 物語を楽しむ邪魔をしてしまい申し訳ないですorz 今後とも応援よろしくお願い致します。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。 森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。 一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。 これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。

無能と追放された鑑定士、実は物の情報を書き換える神スキル【神の万年筆】の持ち主だったので、辺境で楽園国家を創ります!

黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――勇者パーティーの【鑑定士】リアムは、戦闘能力の低さを理由に、仲間と婚約者から無一文で追放された。全てを失い、流れ着いたのは寂れた辺境の村。そこで彼は自らのスキルの真価に気づく。物の情報を見るだけの【鑑定】は、実は万物の情報を書き換える神のスキル【神の万年筆】だったのだ! 「ただの石」を「最高品質のパン」に、「痩せた土地」を「豊穣な大地」に。奇跡の力で村を豊かにし、心優しい少女リーシャとの絆を育むリアム。やがて彼の村は一つの国家として世界に名を轟かせる。一方、リアムを失った勇者パーティーは転落の一途をたどっていた。今さら戻ってこいと泣きついても、もう遅い! 無能と蔑まれた青年が、世界を創り変える伝説の王となる、痛快成り上がりファンタジー、ここに開幕!

処理中です...