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14-2.斎と水無(斎視点)
しおりを挟む*・*・*(斎視点)
水無をどう思っているのか。
穫に言われても、斎は内心ぐるぐると考えがまとまらなかった。
好きか嫌いかどうか。
そう聞かれれば、好意はあるがそれはずっと護衛についてくれている信頼関係からだと思っていた。
口調は荒いし、少し粗野な部分は目立つが。幼馴染みのような親族である彼は、斎が泣き虫でダメダメ当主だとバレても。
ただただ、忠誠を誓ってくれたあの日のように、誠実に接してくれているだけだった。
呪怨の影に怯えて、穫には怖い目に合わせてしまったと泣き崩れたあの日から。水無はより一層、斎には丁寧に接してくれるようになった。先に知ってくれてた由良と同じように。
歳は斎の方が下だが、隣で歩いてくれている彼を改めてみると。
体格は年相応にたくましく、顔も厳ついが渋め。けれど、醜男どころかシャープなとこは整ってて、ほかのパーツも美しい。
呪怨と戦った日は、この人に抱えられていたが。改めて思い出すと、腕っぷしや胸板の厚さに今更ながらときめいてしまう。
今までは、護衛と当主の間柄だったので意識していなかったが。
呪怨の脅威が去った今。
斎には、縁談が持ち寄られることになるだろう。万乗の当主として、結界師を束ねる長として、良縁を結ぶ立場に立たされるから。
だが、穫のように好きな相手を想うことが出来るとしたら。斎は、水無に特別な感情を抱き始めた一歩を踏み出したのかもしれない。
穫とすれ違った時に、装束を解いて素顔を見せてくれたあの日。
予想以上の男らしさに、一目惚れしたのかも、と。
許される立場、ではないが。
「……斎様?」
ずーっと考えていたら、水無から声をかけられた。
「! な、何かしら?」
「いえ。何か真剣に考えていらっしゃるな……と」
「ちょ、ちょっと、ね?」
まさか、あなただとは言い難い。
気づかれてはいないだろうが、邸はともかくこんな往来の場で言うだなんて恥ずかしいで済まない。
けれど、恋と自覚した途端。
水無の男前過ぎる顔が近くて、ドキドキしてしまうのだった。
「……穫との、会話聞こえていました」
「…………え?」
「俺のことですか?」
距離が離れていたのに、聞かれていた。
だが、泣き虫だとばれた時も出てしばらく経ってからやって来たくらいだ。耳がいいのだろう。
ではなくて、穫との会話を聞かれていて、なおかつ斎が慌ててたことも知られていたのなら。
「ば、バレて……るの?」
「そこは直接聞いていないので、俺は知りません」
「……嘘」
立ち止まって、身長差の関係で見下ろす体勢で水無は斎を見ているが。その表情は、普段ほとんど崩すことのない無表情とはかけ離れていて、どこか嬉しそうだった。
つまりは、自惚れていいことだろう。
「……俺は。貴女を当主として尊敬していました。けれど、あの泣いていらっしゃった日から。考え方が変わりました」
「水無?」
斎の手を取り、笑みから真剣な表情になっていく。
「俺は、不相応ですが。貴女を守りたいと思いました。ひとりの男として」
「それって」
「単刀直入に言います。斎様が好きです」
ここが人通りの少ない、裏通りでよかった。
だから、斎も勇気が出せて。告白してくれた水無に抱きつくことが出来たのだから。
だが、すぐ後に。見ていた由良に軽くお説教されてから、水無を本家に婿養子にする段取りを組もうと三人で話し合うことになった。
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