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20-4.ほうれん草のクリームコロッケ②
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エミ達はどこかに行っていたのだろうか。
神様の服装のままで、かなりくたびれているようにも見えたが。
エミは、悩ましげに体を起こすとテーブルの上にある料理を見てから、目を輝かせたのだった。
【なあに、なあに!? コロッケぇ? 冷凍コロッケなのん!!?】
「全然違うよ、エミ。穫ちゃん家直伝の手作りクリームコロッケ」
【んま!? たーべーたーいー!!】
「じゃあ、僕に降りて。人数分しか用意してないんだから」
【おぅけぇい!】
と言うわけで、エミは笑也に憑いて。他の二神は服装を変えてから、人間みたいに実体化したのだった。
「どうぞ。ほうれん草入りのクリームコロッケです」
「「「「「「「「いただきます!!」」」」」」」」
メインがクリームコロッケなので、佐和にはコンソメの野菜スープを作ってもらったが。予想以上に優しい味わいで美味しかった。
夜だが、クリームコロッケなのでパンで食べることにしたのは正解だった。ひとり二個用意出来たクリームコロッケを、一個は普通に。もう一個は食パンに乗せて軽く潰してから挟むように食べれば、幸せが口いっぱいに広がって行く。
「みのりん、美味しいわ~~!!」
笑也に憑いたエミは、上機嫌でクリームコロッケを食べてくれていた。穫がパンとの食べ方を教えれば、すぐに実行してくれるくらいに。
「美味ですね? こう言う感じのコロッケはあまり食べたことがありませんが、味付けはシンプルに塩胡椒とバターのみ。なのにこの味わいは絶品ですよ」
「うむ。美味い」
月詠達も気に入ってくれたようで何よりだ。パンの方の食べ方を実行した時には、顔が『カッ』となるくらい変わってしまって微笑ましく感じた。
ほうれん草の癖と青味は少し気になる程度だが、ホワイトソースのコクと味わいであまり気にならない。そこにウスターソースをかければ、ピリッとした辛味と合わさってなんとも言えない。
二個だなんてあっと言う間に終わってしまい、これはまた作って欲しいとエミにリクエストされた。
「さて、みのりん?」
穫が佐和と片付けを終わらせてから、エミが話を切り出してきた。
「率直に言うわ」
「はい」
「……あの八岐大蛇の尾と戦ってきたのよん」
「え」
「苦戦はしましたが、須佐が切り込んでくれたおかげで、消滅しました」
「…………」
「ええ!?」
穫が笑也とデートをしている間に、彼らが退治してくれた。
もう大丈夫だと分かると、穫は体の力が抜けてソファから落ちそうになった。間一髪で、咲夜が抱えてくれたが。
「まだ懸念事項はあるけど~? 昨日みたいにいきなり魂を抜き取られることはないと思うわん?」
「エミ氏、懸念事項と言うのは?」
佐和が聞くと、エミは『ふーっ』と息を吐いた。
「……あっさり過ぎたのよん」
「あっさり?」
「あたしと月詠がかけた封印を解いた癖して……地獄で戦ったのに、再生云々はあったけど須佐が草薙剣で斬り伏せただけで終わった。そこが……いくらなんでもおかしいのよん?」
「……俺も思った。やけにあっさりだった……と」
「だーかーらー、いきなりはないとは思ってもまだ油断出来ないわけ」
日本の最高の位にいる神々でも、まだ確定とは言えないだなんて。
穫を、欲しいとか言っていたあの八岐大蛇の尾と言う存在は。
穫に、何を求めるのだろうか。あるとすれば、今も隣にいる咲夜のことしかないと思う。
「もし……」
「うん?」
「もし……私じゃなくて咲夜が狙いなら、私は渡しません! 咲夜は私の家族なんですから!」
「……穫」
「絶対、悪いことに利用だなんてさせません!」
「その意気よん、みのりん?」
だから、穫も守られているばかりには行かないのだ。
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