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24-1.場所を考えて
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巧と佐和が付き合うことになったのは、斎達が帰ってすぐにLIMEのメッセがきたことでわかった。
穫と笑也が穫の部屋に行くと、佐和は隅っこでうずくまっていて巧はそれを宥めていた。
「頼むわ、佐和! 機嫌直して!?」
「…………うぅ」
「巧、琴波さんに何したの?」
「な! 気持ち通じ合ったんやから、キスしただけやで!?」
「…………それだよ」
ムードはあったかもしれないが、場所が場所だ。
ここは巧の自室ではなく、穫の部屋だ。友人の部屋でおそらくファーストキスをしたことが、いくら佐和でも恥ずかしさと少しの罪悪感でいっぱいなのかもしれない。
佐和を好きだと気づいて、可愛くなったと思った巧が全面的に悪いわけではないが。
「佐和ちゃん、大丈夫?」
穫が近づくと、佐和は腕を伸ばしてきて穫に抱きついてきた。顔は見えなかったが、耳と首が真っ赤なのでやはり恥ずかしい状態なのがよくわかった。
ぽんぽんと背を叩いてあげると、穫に抱きついてきた腕の力が強くなっていく。
なので、とりあえず。
「笑也さん、巧さんへのお説教よろしくお願いします」
「うん、任せて?」
「はぁ!?」
「ほら、巧。行くよ?」
「ちょっ!?」
笑也に引きずるようにして巧は連れて行かれて、ドアが閉まる音が聞こえてきたら穫はまた佐和の背中を軽く叩いた。
「行っちゃったよ?」
「……………………迷惑かけるね」
「全然。巧さんが浮かれ過ぎだもん」
「……嫌では、なかったんだ」
「わかるよ? 大好きな人とだもん。嬉しくないわけがないよね」
「……ああ」
穫から離れた佐和の顔は、耳よりも真っ赤になっていて、不謹慎ではあるがとても可愛らしく見えた。
普段の男のような雰囲気もカッコいいとは思っていたが、それでも佐和は女の子だ。女の子らしいところを見ても、穫は彼女を可愛いとも思えた。
ヨシヨシと頭を撫でてやってから、笑也に影響されて買うようになったインスタントのカフェオレを彼女に淹れてあげた。
「とりあえず、おめでとう!」
「……うん。ありがとう」
まだ恥ずかしさが勝っているのか、モジモジしている姿も可愛く見えて、穫には嬉しかった。
「ちゃん付けじゃなくなったんだね!」
一度しか聞いていないが、巧が呼び捨てにしていたからだ。穫が佐和に聞くと、佐和はさらに縮こまっていく。
「うん。……僕も、実はさん付けになった」
「おお! 一歩前進!」
「うん……達川氏、手加減してくれているかなあ?」
「どーだろ? 幼馴染さん同士らしいし、遠慮なく言っちゃっているかも」
「……別に嫌だったわけではないのに」
「けど、勢いだからって……ここ私の家なのに」
「まあ……うん」
やはり、ムードもだが場所も考えて欲しいとは思う。
友人と世話になっている人が結ばれたとは言え、自宅でキスをしたと言う事実は事実。穫は、しばらく忘れることが出来なさそうだった。
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