27 / 73
第27話 シェルターの核について
しおりを挟む
咲夜との交流は、まずは登下校から始めた。
住所は奈月と雅博のマンションからは少し離れていたが、奈月の健康改善も含めて徒歩で迎えに行ってからの合流。
帰りも余程用事が無ければ、送ってあげたりこちらの部屋に来てもらったりと。どう見ても、付き合いたてのカップルと同じ行動パターンでしかない
しかしながら、まだ付き合っていない。
救難活動としての、シェルターでのパートナーとしての契約を結んだだけの関係だ。奈月が、意識では自分の現実世界での生活が長過ぎたため、感覚が鈍いのもある。
初恋通り越して、コミュニケーション能力が乏しいのだ。雅博との接触がなければ、こちら側で『学生生活再開』も叶うことがなかったが。そこへの誘導はスタッフが意図的にしてもおかしくない。
(……と言っても、咲夜と本質的に結ばれるわけ……ないか)
この世界での『加東奈月』には、いずれ肉体を返さないといけない。今はただ、互いの並行世界での救難活動をしているまで。同じだけど、違う存在である互いのパートナーを傷つける行為はしたくないのだ。
咲夜を選んだのも、こちらの奈月の本能かもしれないと信じている。
「あの、今日もおやつどうぞ……」
それなのに、咲夜はその事情を知らないせいか。
奈月を餌付けしたいのか、単に気にかけてくれているからか。お菓子作りが得意だからと……奈月とのランチタイムで、いつも手作りのお菓子を出してくれるのだ。
スフレ系も多いが、たまには和菓子も。正直言って、どれも完成度が高くて美味しい。胃袋を掴まれた感が半端なく、罪悪感が募る一方だった。
現実側にいるはずの、こちらの奈月は逆に咲夜を確保しているのか。その上で、現実ではこんな『彼女候補』が待っているのだと突きつけられているのか。
しかし、本気で美味しいので毎回リスが餌付けされるように……味わって咀嚼しているのだった。
「ありがと。ところで、まちゃから聞いたけど。シェルターの核に俺のAI使っていいの?」
結局、雅博をそのあだ名で呼ぶのも、早いうちに決まった。咲夜は呼ばないでいたが、メメの方はちゃん付けで呼ぶくらいの仲になっている。
ともあれ、シェルターの本格的な作業を行うのに、宗ちゃんを使用する必要性が出て来たのだ。
「あ、うん。奈月くんがその段取りしてたの。早いから、びっくりしたよ。……普通、パートナーが決まってから、どちらかの端末をシェルターの核にするんだけど」
「アクセとかじゃなくて、『フィギュア』とか『人形』にしたから?」
「うん。私も、お気に入りのぬいぐるみは用意してたけど」
自分のためだけに、宗ちゃんを改造しただけだったが。思いもよらないところで、役に立つとは……きっかけはなんであれ、なんでもしておくべきだった。
ちなみに、その宗ちゃんのフィギュアは今日持参済みだ。
住所は奈月と雅博のマンションからは少し離れていたが、奈月の健康改善も含めて徒歩で迎えに行ってからの合流。
帰りも余程用事が無ければ、送ってあげたりこちらの部屋に来てもらったりと。どう見ても、付き合いたてのカップルと同じ行動パターンでしかない
しかしながら、まだ付き合っていない。
救難活動としての、シェルターでのパートナーとしての契約を結んだだけの関係だ。奈月が、意識では自分の現実世界での生活が長過ぎたため、感覚が鈍いのもある。
初恋通り越して、コミュニケーション能力が乏しいのだ。雅博との接触がなければ、こちら側で『学生生活再開』も叶うことがなかったが。そこへの誘導はスタッフが意図的にしてもおかしくない。
(……と言っても、咲夜と本質的に結ばれるわけ……ないか)
この世界での『加東奈月』には、いずれ肉体を返さないといけない。今はただ、互いの並行世界での救難活動をしているまで。同じだけど、違う存在である互いのパートナーを傷つける行為はしたくないのだ。
咲夜を選んだのも、こちらの奈月の本能かもしれないと信じている。
「あの、今日もおやつどうぞ……」
それなのに、咲夜はその事情を知らないせいか。
奈月を餌付けしたいのか、単に気にかけてくれているからか。お菓子作りが得意だからと……奈月とのランチタイムで、いつも手作りのお菓子を出してくれるのだ。
スフレ系も多いが、たまには和菓子も。正直言って、どれも完成度が高くて美味しい。胃袋を掴まれた感が半端なく、罪悪感が募る一方だった。
現実側にいるはずの、こちらの奈月は逆に咲夜を確保しているのか。その上で、現実ではこんな『彼女候補』が待っているのだと突きつけられているのか。
しかし、本気で美味しいので毎回リスが餌付けされるように……味わって咀嚼しているのだった。
「ありがと。ところで、まちゃから聞いたけど。シェルターの核に俺のAI使っていいの?」
結局、雅博をそのあだ名で呼ぶのも、早いうちに決まった。咲夜は呼ばないでいたが、メメの方はちゃん付けで呼ぶくらいの仲になっている。
ともあれ、シェルターの本格的な作業を行うのに、宗ちゃんを使用する必要性が出て来たのだ。
「あ、うん。奈月くんがその段取りしてたの。早いから、びっくりしたよ。……普通、パートナーが決まってから、どちらかの端末をシェルターの核にするんだけど」
「アクセとかじゃなくて、『フィギュア』とか『人形』にしたから?」
「うん。私も、お気に入りのぬいぐるみは用意してたけど」
自分のためだけに、宗ちゃんを改造しただけだったが。思いもよらないところで、役に立つとは……きっかけはなんであれ、なんでもしておくべきだった。
ちなみに、その宗ちゃんのフィギュアは今日持参済みだ。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ
真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします!
感想待ってます!
まずは一読だけでも!!
───────
なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。
しかし、そんなオレの平凡もここまで。
ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。
そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。
使えるものは全て使う。
こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。
そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。
そしていつの日か、彼は……。
カクヨムにも連載中
小説家になろうにも連載中
マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜
美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊
ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め…
※カクヨム様にも投稿しています
※イラストはAIイラストを使用しています
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる