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第52話 その頃②
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雅博とメメは奈月らが起きた通達が来るまで、自分たちは自分たちで風呂場にいた。
メメが無事に転送されてきたのにも大層驚いたが、魔法でないSF技術の進化が思いのほか進んでいたのを……雅博もだが、メメもすっかりと忘れていたのだ。
『慣れ過ぎて』
『違う軸に居過ぎて』
『本来の目的も忘れるくらい』
それくらい、奈月を『復活』させる勢いで再生手術をしてきたのだ。奈月は今頃起きているかどうかわからないが、雅博がこちら側で最後に見届けたときは『大量の血液』『筋肉』『骨』『皮膚』の継ぎ接ぎとかをしているのを覚悟しながら見届けていた。
その年齢が、きちんと整ったのが『二十六歳』。
あの並行世界では、近接した関係になるために十代くらいの外見でいたが、本来は皆成人した大人だったのだ。正確には、奈月を覗いて。
「……さっちゃん、大丈夫かな? 服薬忘れてなきゃいいけど」
「……なんとも、言えんな」
リビングではホログラフィーが活動しているにも関わらず、雅博はメメとの入浴をのんびりすることにした。というか、まだぬるま湯では到底解凍には間に合わないので、だれかいっしょにいることで介助しなくてはいけない。
メメの父親のホログラフィーといった、茂正という彼は本当にメメの肉親が操作しているかも怪しい。かといって、ほとんど服が解凍されたことでびしゃびしゃになっているから、雅博も着替えがないのだ。順に部屋は室内から解凍されているにしても、まだまだメメの手はかちこちに収縮していたのだから。
「……まちゃ。なんか、飲みたい」
次の順序をどうするか悩んでいたら、メメがそう言いだしたのでキッチンを確認するしかなかった。仕方ないので、湯舟はそのままにするからと浴室を出れば、もう遠隔操作は終わったのか茂正のホログラフィーが廊下に立っていた。
『……メメは大丈夫そうか』
「……はい。ちゃんと、受け取りました」
『こっからだ。俺の『ほんと』も、茂正なのかわからんくなってきた』
「は?」
『君に言ったことは嘘じゃないが、『クロニクル=バースト』の関係者でもコードネームの『シゲ』は俺じゃなかった。ここに居んのはただの分身体、NPCに等しい』
「……ただの、NPC?」
『君とメメが開発に協力してくれたVRMMOがあるだろう? あれは、『シゲ』が奈月を遊べるように依頼した。君も、メメも。寝ている間だけな』
じゃ、と言って茂正だったホログラフィーは瞬時に消え、奥のディスプレイをすぐに確認しに行くと……『おめでとう』のあとに雅博とメメの婚約発表へのお祝いの言葉などがテロップで流れていたのだった。
「……してやられた。記憶、もちっと洗い直さないとな?」
とりあえず、メメの希望通りになにか飲み物でもないか確認すれば。缶コーヒーのストックがあったので微糖とブラックを持っていく。ぬくもりからして解凍されたようだから、ひと口含むぐらいにはちょうどいいだろう。
戻って、メメに事情を説明すれば『ああ』と生返事をしてくれた。
「おとんね? おかんと世界旅行したいって言っときながら……シェルターの開発頑張っていたんだし、宇宙空間にもういるんじゃね?」
「マジ? 俺らより大人が先かよ」
「子どもは後始末頑張れって、あの人たちなら言いそうね?」
「……奈月もだけど、俺らが中心人物扱いだから?」
「そうね。さっちゃんのフォローもしなくちゃだし。これもう一個飲んだら、適当に着替えになるもの探しましょ」
「このさっむい中出んのか?」
「車で移動できるくらいには、もう復興できてるわよ。雪地帯の免許あるんでしょ?」
「……あ~、思い出してきた」
「カロリー摂った方がいいわ。途中の屋台で何か買うわよ」
「おう」
これぞまさしく、女は度胸が強いを目の当たりにしたのだった。
メメが無事に転送されてきたのにも大層驚いたが、魔法でないSF技術の進化が思いのほか進んでいたのを……雅博もだが、メメもすっかりと忘れていたのだ。
『慣れ過ぎて』
『違う軸に居過ぎて』
『本来の目的も忘れるくらい』
それくらい、奈月を『復活』させる勢いで再生手術をしてきたのだ。奈月は今頃起きているかどうかわからないが、雅博がこちら側で最後に見届けたときは『大量の血液』『筋肉』『骨』『皮膚』の継ぎ接ぎとかをしているのを覚悟しながら見届けていた。
その年齢が、きちんと整ったのが『二十六歳』。
あの並行世界では、近接した関係になるために十代くらいの外見でいたが、本来は皆成人した大人だったのだ。正確には、奈月を覗いて。
「……さっちゃん、大丈夫かな? 服薬忘れてなきゃいいけど」
「……なんとも、言えんな」
リビングではホログラフィーが活動しているにも関わらず、雅博はメメとの入浴をのんびりすることにした。というか、まだぬるま湯では到底解凍には間に合わないので、だれかいっしょにいることで介助しなくてはいけない。
メメの父親のホログラフィーといった、茂正という彼は本当にメメの肉親が操作しているかも怪しい。かといって、ほとんど服が解凍されたことでびしゃびしゃになっているから、雅博も着替えがないのだ。順に部屋は室内から解凍されているにしても、まだまだメメの手はかちこちに収縮していたのだから。
「……まちゃ。なんか、飲みたい」
次の順序をどうするか悩んでいたら、メメがそう言いだしたのでキッチンを確認するしかなかった。仕方ないので、湯舟はそのままにするからと浴室を出れば、もう遠隔操作は終わったのか茂正のホログラフィーが廊下に立っていた。
『……メメは大丈夫そうか』
「……はい。ちゃんと、受け取りました」
『こっからだ。俺の『ほんと』も、茂正なのかわからんくなってきた』
「は?」
『君に言ったことは嘘じゃないが、『クロニクル=バースト』の関係者でもコードネームの『シゲ』は俺じゃなかった。ここに居んのはただの分身体、NPCに等しい』
「……ただの、NPC?」
『君とメメが開発に協力してくれたVRMMOがあるだろう? あれは、『シゲ』が奈月を遊べるように依頼した。君も、メメも。寝ている間だけな』
じゃ、と言って茂正だったホログラフィーは瞬時に消え、奥のディスプレイをすぐに確認しに行くと……『おめでとう』のあとに雅博とメメの婚約発表へのお祝いの言葉などがテロップで流れていたのだった。
「……してやられた。記憶、もちっと洗い直さないとな?」
とりあえず、メメの希望通りになにか飲み物でもないか確認すれば。缶コーヒーのストックがあったので微糖とブラックを持っていく。ぬくもりからして解凍されたようだから、ひと口含むぐらいにはちょうどいいだろう。
戻って、メメに事情を説明すれば『ああ』と生返事をしてくれた。
「おとんね? おかんと世界旅行したいって言っときながら……シェルターの開発頑張っていたんだし、宇宙空間にもういるんじゃね?」
「マジ? 俺らより大人が先かよ」
「子どもは後始末頑張れって、あの人たちなら言いそうね?」
「……奈月もだけど、俺らが中心人物扱いだから?」
「そうね。さっちゃんのフォローもしなくちゃだし。これもう一個飲んだら、適当に着替えになるもの探しましょ」
「このさっむい中出んのか?」
「車で移動できるくらいには、もう復興できてるわよ。雪地帯の免許あるんでしょ?」
「……あ~、思い出してきた」
「カロリー摂った方がいいわ。途中の屋台で何か買うわよ」
「おう」
これぞまさしく、女は度胸が強いを目の当たりにしたのだった。
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