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第10話 療養も生活の一部
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きちんと身体を拭き終えてから家に戻り、クルスはようやく布団に飛び込んで寝たのはいいのだが。
翌日に目を覚ましても、窓から日差しが入ってきたりしなかった。そんなにも寝ていたのかと思ったが、連絡版のところに行ってみると新たに任務が書かれていただけでなく。
【放置時間、十時間。この間に作物が幾つか熟成したため……食事の後に収穫作業を。休憩や風呂は好きに使っていい】
時間、とやらはよくわかっていなかったが。どうやら、肉体の酷使と激動の不安からの心労により……クルスはかなり長くあのふかふか布団で眠ってしまってたようだ。
とりあえず、寝る前にここを通った時は『任務完了。家主昇格』と文字が見えた覚えがある。それに、この文章を何度見ても……クルスはこの家と敷地でしばらく体制を整えればいいとのことだ。
学の低いクルスでも、まずは己自身を整えなければ力へと変えるのは難しいくらい……いやと言うくらい見てきた。才能がある者は見出されたが、無い者でも体を整えなければ見張り番も任せられない。
不摂生が祟って、末路は悲惨だと見てきたのだから。その際たるは国の崩落。
「……とにかく、腹ごしらえや!」
連絡版の中には、管理者からの任務はないので好きに作っていいらしいが。あのレシピの本が無いと、流石に素人のクルスではまともな朝飯も作れまい。
調理場に行き、材料などを確認してから本を読んでみたが。簡単そうに見えるものも幾つかあったけれど、昨夜初めて口にしたあのピザパンも捨てがたい気分になった。
作物の収穫以外好きにしていいと思ったが、寝起きだとあっさりしたものも食べたくなってしまう。若い頃の深酒の翌日に出された腸詰だけのスープで腹が痛くなった記憶があるからだ。
「……けど、そうか。野菜と腸詰を使ったスープ!」
本には『ポトフ』と書かれていたそれを、せっかくなので作ってみようと思った。材料も最初は手順通りに。アレンジするなら、慣れてから。
ほとんどごろごろした材料を、コンロという竈で調理していく途中。連絡版の方が光った音が聞こえてきたので、弱火にしてからささっと離れた。
【野菜の皮、不要物は畑の肥料になる。方法はレシピ本に記すので、捨てないように】
「ほー!?」
たしかに、今さっきまとめて土の中でも埋めればいいかと考えていたが。
土壌の整えに使えるのは、今後の畑作で役立つかもしれない。神かわからないが、宝物の管理者とやらは連絡版を通じて……どこまでクルスの様子を見ているのだろうか。
普通は畏れを感じるはずなのに、劣等感も覚えることなく……クルスはこの管理者へ信頼感を抱いていたのだ。至れり尽くせりに等しいこの環境に、もう溺れてしまっている理由もあるだろうが。
とりあえず、野菜屑の山は麻袋の中に全部詰め込んでおいた。
「……村の生活と、便利さ以外ほとんど変わらんのに」
心の療養を忘れていたクルスには、新しい生活の朝ではなく夜だったが。少なくとも、潤いの良い幸先だと思えたのだった。
翌日に目を覚ましても、窓から日差しが入ってきたりしなかった。そんなにも寝ていたのかと思ったが、連絡版のところに行ってみると新たに任務が書かれていただけでなく。
【放置時間、十時間。この間に作物が幾つか熟成したため……食事の後に収穫作業を。休憩や風呂は好きに使っていい】
時間、とやらはよくわかっていなかったが。どうやら、肉体の酷使と激動の不安からの心労により……クルスはかなり長くあのふかふか布団で眠ってしまってたようだ。
とりあえず、寝る前にここを通った時は『任務完了。家主昇格』と文字が見えた覚えがある。それに、この文章を何度見ても……クルスはこの家と敷地でしばらく体制を整えればいいとのことだ。
学の低いクルスでも、まずは己自身を整えなければ力へと変えるのは難しいくらい……いやと言うくらい見てきた。才能がある者は見出されたが、無い者でも体を整えなければ見張り番も任せられない。
不摂生が祟って、末路は悲惨だと見てきたのだから。その際たるは国の崩落。
「……とにかく、腹ごしらえや!」
連絡版の中には、管理者からの任務はないので好きに作っていいらしいが。あのレシピの本が無いと、流石に素人のクルスではまともな朝飯も作れまい。
調理場に行き、材料などを確認してから本を読んでみたが。簡単そうに見えるものも幾つかあったけれど、昨夜初めて口にしたあのピザパンも捨てがたい気分になった。
作物の収穫以外好きにしていいと思ったが、寝起きだとあっさりしたものも食べたくなってしまう。若い頃の深酒の翌日に出された腸詰だけのスープで腹が痛くなった記憶があるからだ。
「……けど、そうか。野菜と腸詰を使ったスープ!」
本には『ポトフ』と書かれていたそれを、せっかくなので作ってみようと思った。材料も最初は手順通りに。アレンジするなら、慣れてから。
ほとんどごろごろした材料を、コンロという竈で調理していく途中。連絡版の方が光った音が聞こえてきたので、弱火にしてからささっと離れた。
【野菜の皮、不要物は畑の肥料になる。方法はレシピ本に記すので、捨てないように】
「ほー!?」
たしかに、今さっきまとめて土の中でも埋めればいいかと考えていたが。
土壌の整えに使えるのは、今後の畑作で役立つかもしれない。神かわからないが、宝物の管理者とやらは連絡版を通じて……どこまでクルスの様子を見ているのだろうか。
普通は畏れを感じるはずなのに、劣等感も覚えることなく……クルスはこの管理者へ信頼感を抱いていたのだ。至れり尽くせりに等しいこの環境に、もう溺れてしまっている理由もあるだろうが。
とりあえず、野菜屑の山は麻袋の中に全部詰め込んでおいた。
「……村の生活と、便利さ以外ほとんど変わらんのに」
心の療養を忘れていたクルスには、新しい生活の朝ではなく夜だったが。少なくとも、潤いの良い幸先だと思えたのだった。
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