【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

文字の大きさ
59 / 108

第59話 青い卵焼き①

しおりを挟む
 白身と黄……青身? をしっかり混ぜて。

 そこに、醤油とみりんを入れて数回混ぜて。

 卵焼き用のフライパンはないが、小ぶりなフライパンはスインドさんのお店で購入したから……これで大丈夫だと思う。

 けど、ヘラはないし木ベラじゃ形を崩しちゃうから……菜箸で頑張るしかない。

 メンチカツを揚げたのとは違う油を……フライパンに多めに流して、釜戸の火は少し弱めに。みりん入れているから、少し焦がしやすいのよね?

 これは……いつか作りたい、『かえし』でも同じようになっちゃうから。

 菜箸で混ぜ具合を確認して、次に先端につけた卵液を……フライパンでじゅっと音を立たせて、線を引くように動かす。すぐに卵液に火が通って、薄い青色の線が出来た。


「一気に入れるのではなく……少量をクレープの時のように流しては広げて」


 気泡が出来たら、菜箸でつついて潰して。

 火が通り過ぎないところで、くるくると巻いていく。

 そして、上に寄せたら……油を軽く敷いて、隙間にまた卵液。キッチンペーパーとかがないから、ちょっと雑になるかもだけど……そこはご愛嬌。

 どんどんどんどん巻いて……卵液が無くなるまで繰り返したら。

 ちょっと丸っこいフォルムの……薄青色の卵焼きである棒が出来上がった。


「……これが、卵焼き?」

「切って断面を見ますね?」


 スッと切れた感触が心地良い。

 断面は、白と薄青のコントラストが美しい仕上がりになっていたわ!


「……美しい」


 スインドさんには、どうやら気に入ってもらえたようだ。


「ヒロ! めっちゃいい匂いすんねんけど!? おじぃにはよ持ってきてや!」

「はいはーい!」


 たしかに、卵焼きは出来立てが美味しいもの。

 人数分のフォークと取り皿などを、スインドさんと手分けして運び……クレハ達がいるテーブルの上に置いたら、『おお!?』と声が上がったわ。


「へぇ? きれーじゃぁん?」

「ヒロ、卵を焼いたん?」

「ふぅむ。……美しい層じゃのぉ?」

「これは、名前はそのままですが……卵焼きと言います」


 味見はしてないけど……端の不恰好な部分も全部載せたしね? 味は……大丈夫だと思うけど、長老おじいちゃんはどうだろうか?

 と、彼を見たら……フォークで既に刺して口に運ぼうとしていた!?

 どんなけ、お腹空いていたの!?


「ううむ!?」


 ひと口で頬張り、ほふほふと言っていたけれど。

 目尻が緩んでいく様子を見て……私はほっと出来たわ。


「にゃ~! ちょっと甘いんやけど、ええ塩気もあるわぁ! メンチカツとはちゃうふんわりかげ」

「クレハ?」


 ほっとしそうになったが、クレハが爆食いしそうだったので……すぐに注意すると、びっくりして猫耳をたたんだわ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

後妻の条件を出したら……

しゃーりん
恋愛
妻と離婚した伯爵令息アークライトは、友人に聞かれて自分が後妻に望む条件をいくつか挙げた。 格上の貴族から厄介な女性を押しつけられることを危惧し、友人の勧めで伯爵令嬢マデリーンと結婚することになった。 だがこのマデリーン、アークライトの出した条件にそれほどズレてはいないが、貴族令嬢としての教育を受けていないという驚きの事実が発覚したのだ。 しかし、明るく真面目なマデリーンをアークライトはすぐに好きになるというお話です。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

処理中です...