【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

文字の大きさ
82 / 108

第82話 長老オールスター

しおりを挟む
 ちょっとした疑問を残しつつ、プレオープンはさらに続いていく。

 他の長老様もいらっしゃってくださったのだ。しかも、雷と焔のご夫婦……今日も今日とて、喧嘩はされていたが。


「絶対『カバヤキ』だ!!」

「ヒロの更なる珍味を味わうのも乙ぞ!!」


 外見は凸凹だけど……喧嘩するほどなんとやら、くらい嫌ってはいないようだ。それ以前に、長老様でご夫婦だし。


「いらっしゃいませ、御二方」


 とりあえず、私は私で接客をするまでだ。

 私が声をかけたら、御二方ともくるっとこちらを見てくれた。


「おう、ヒロ! 店がやっと開いたんだな!! カバヤキ食わせてくれよ!!」

「妾はこの香りのモノを頼みたい!」

「かしこまりました。焔の長老様のはすぐにお出し出来ますが……お席はお好きなところにおかけください」

「あ? そこに居んの雪のか?」


 雷の長老様が気付くと、ユキトさんは思いっきりびくっと肩を震わせちゃったわ。


「ど……ど、どど、ど……も」

「出不精のお前がわざわざ? ヒロのこと知ってたのか? 詳しく聞かせてくれや」

「妾も気になるのぉ」


 と、少ないカウンター席がもうほとんど埋まってしまったのだ。まあ、提供はしやすいのでこちらとしては有り難いけれど。

 蒲焼き丼の準備は、あらかじめ軽く炙っておいたニョロギアの開きをタレの漬け込みと交互にして……焼けば良い。スッポンスープことギアラのスープは本当にすぐに出せるので……焔の長老様の前に骨入れの器と一緒にお出ししたわ。

 会話は……ユキトさんが超絶恥ずかしがり屋さんでも、長老様同士なのでポツポツと話しているようだった。


「まずは、焔の長老様から。ギアラのスープです」

「な……なんじゃ、これは!?」

「捌いたギアラを煮込んだ……女性には嬉しいスープですよ? しばらくしたら、お肌の質感が変わると思います」

「おお! 肌をか!? ……肉にかぶりつくのかえ?」

「はい。手づかみで是非」

「うむうむ」

「……すげーいい匂い」

「雷の長老様も召し上がりますか?」

「やっぱ、くれ! カバヤキも食う!!」

「かしこまりました」


 と言う感じで、メニューも一応見ていただき……持ち込みでも良かったが、皆で選んだお酒も注文していただくことになった。長老ご夫婦は、ギアラのスープの食べ方と……お酒の組み合わせをいたく気に入ってくださったようで。


「かぁ!? こんな美味いもんが……あのギアラかよ!?」

「酒とも合うのぉ? 適度な味わいに酒が進むわい!」

「あ……の。わ、私……もお酒、おかわり……を」

「かしこまりました」


 まだ三名だが、プレオープンとしては良い出だしだと思う。

 クレハ達もそろそろ帰ってくるだろうし……まかないも考えておかなくちゃ。

 と、片隅に思い浮かべていると、入り口の扉がゆっくりと開いたのだった。


「邪魔をする。ヒロよ」

「儂も来たぞい」

「いらっしゃいませー!」


 草の長老様と長老おじいちゃんだったわ。

 そう言えば……里の長老様はこれで全員らしいけれど。

 普通のアヤカシさんはまだ来店はないが、凄い豪華な空間かも。

 カウンターは残りふた席だったので、せっかくだからとそちらに座ってもらうことにした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

処理中です...