【完結】異世界で小料理屋さんを自由気ままに営業する〜おっかなびっくり魔物ジビエ料理の数々〜

櫛田こころ

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第89話 給金問題

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 お店がオープンして……数日は経ったけど。

 ちょっと……いや、だいぶびっくりしています。


「……売り上げは充分あるんですよ?」


 一度、お給金をクレハやスインドさんにお支払いしようとしたのだけど。

 クレハはまかないがあるから良いと断られ、スインドさんは仕入れでの購入金額があるからと受け取らないのだ。

 クレハには、今までの仕入れでの援助。

 スインドさんも調理補助や給仕もしてもらっているのに……なんで受け取ってくれないんだろう?


「にゃ。あちきの好きで働いてるんや。まかないで対価貰っとるからええで?」

「俺も似たようなものだな」


 このやり取り……何回繰り返したかな?


「…………賃貸料も、ネコマタの長老様から断られたし」


 売り上げ……結構あるんだよね?

 ほとんどが、仕入れなどに流れても……最近は懐が潤うくらいに貯まっているのだ。だからこそ、クレハ達に給料を支払いたいのに。

 クレハも、好きでやっているとは言え……ジビエ肉の捕獲も頑張ってもらっているのよね?

 捌くのは私だけど、それでも……だ。

 まかないで充分と言うのも……いいのかな?


「せやったら、ぎょーさん貯めればええやん」

「……そうかもだけど」

「ヒロはここの住人になったんやで? なら……将来、誰かと契り結んでもおかしくないで?」

「……ちぎり?」

「…………婚姻を結ぶと言うことだ」

「え」


 つまりは……結婚!?

 ま、ままま、まだ……スインドさんには告白も何もしてないのに!?

 けど……クレハは、別にスインドさんの事を言っているわけじゃない。

 この里で……アヤカシの誰かとも付き合う可能性を伝えてくれただけだ。自意識過剰はいけないわ!!


「ヒロ可愛えやん? アヤカシらからも言い寄られたりしとったやん?」

「……リップサービスでしょ?」


 たしかに……『俺の飯作って!!』とか、言われたのは一度や二度じゃないけど。

 首を横に振ると……クレハに軽く小突かれたわ。


「そんなアホンダラばかりやけど、ヒロはおらんのん?」

「……あんま考えてないけど」


 クレハには……スインドさんが好きって伝えていない。

 多分バレているだろうけど……本人が今目の前にいるのに言えますか!!


「……とりあえず。給金は心配するな。俺も……近いうちに里から出るしな」


 そう。

 スインドさんは……正規の従業員じゃない。

 チルットでちゃんと自分のお店を持っている……商人さんだもの。

 だからお金の問題はないにしても……何か、御礼をしたいと思っていた。

 私自身の好意は……きっと受け取ってもらえないから、せめてそうしたいんだけど。

 こう言われてしまうと……お金の方では何も出来ない。

 なら!

 私のジビエ料理でもてなすしかないわ!!
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