135 / 204
吸血鬼 弐
第3話『姫竹の天ぷら』①
しおりを挟む
美兎への想いを忘れたわけではない。
しかし、彼女はカウンターの向こう側にいる猫人と今は交際しているのだ。それを今更邪魔しようとは思わない。
だから、今目の前にある問題。あの新人の女性から渡された好意を無駄にしたくないとは思っているのだ。人間の女性としては好ましいが、ジェイク自身が受け入れられるかどうかはわからない……わからないのだ。
(天宮さんは……いい子だけど)
自分は人間でないあやかし。
しかも、人間で言うところのニートではなくなったがフリーターでもある中途半端な存在。
彼女はまだ学生で、これからたくさんの出会いがあるはずだ。いい人間との出会いだって、それこそ星の数くらいある。
「……ジェイくん、今。その女の子に対して失礼なこと考えたでしょ??」
「……え??」
むしろ、彼女の幸せについて考えていただけだが。それを正直に言うと、隆輝におでこへデコピンされてしまった。
「あのね? たしかに、俺達あやかしにしたら人間はか弱くて儚い存在だ。寿命も不老も抱えている俺達にとったら、瞬きに消えてしまう。けど……だからこそ、魅力があるんだよ」
と、ジェイクに釘を刺すように言うとビールを一気にあおったのだ。
「……大変失礼ですが。ジェイクさんは美兎さんに一目惚れなされた時はどう思われました?」
「……あ」
猫人の火坑の言う通りだ。酔っ払っていたとは言え、あの時のジェイクの想いは本心だった。
今回はジェイクが想いを寄せたわけではないが、このまま単純に振ってしまったら……ジェイクが傷ついた時と同じ気持ちにさせてしまう。
それは……流石に行けないことだと、ジェイクはわかり、頷いた。
「でしょう? その女の子のことは俺とかきょーくんはよく知らなくても……その子の勇気を蔑ろにするのは良くないくらいはわかる。単純に、お互いの種族の違いだけで振るのは良くないよ?」
「……はい」
それに、このふたりはそれぞれ人間の女性と交際している。隆輝の方はまだ会ったことはないが、付き合いはそこそこ長いそうだが。それでも未だに付き合いが続いているのだから……良好な関係を気付けていると言うことだ。
「さ。今揚がった姫竹の天ぷらでも」
火坑がカウンターから出してくれたのは……細長い天ぷら。
姫竹と言っていたから、タケノコなのだろうか。しかし、ジェイクの好物であるタケノコは春先でも、四月以降が旬だったような。
箸で持ち上げてみると、意外にずっしりと重い感触が伝わってくる。
「……いただきます」
出来立てなので、少し息を吹きかけてから……添えてある抹茶塩を少々つけて口に入れる。ザクっとしたタケノコの食感と熱々の湯気。
加えて、わずかなえぐみも感じるが嫌ではない。抹茶塩と一緒に食べると、これだけでもたくさん食べられる。初めて食べるタケノコなのに、これもまたジェイクの好物に加わったのだ。
しかし、彼女はカウンターの向こう側にいる猫人と今は交際しているのだ。それを今更邪魔しようとは思わない。
だから、今目の前にある問題。あの新人の女性から渡された好意を無駄にしたくないとは思っているのだ。人間の女性としては好ましいが、ジェイク自身が受け入れられるかどうかはわからない……わからないのだ。
(天宮さんは……いい子だけど)
自分は人間でないあやかし。
しかも、人間で言うところのニートではなくなったがフリーターでもある中途半端な存在。
彼女はまだ学生で、これからたくさんの出会いがあるはずだ。いい人間との出会いだって、それこそ星の数くらいある。
「……ジェイくん、今。その女の子に対して失礼なこと考えたでしょ??」
「……え??」
むしろ、彼女の幸せについて考えていただけだが。それを正直に言うと、隆輝におでこへデコピンされてしまった。
「あのね? たしかに、俺達あやかしにしたら人間はか弱くて儚い存在だ。寿命も不老も抱えている俺達にとったら、瞬きに消えてしまう。けど……だからこそ、魅力があるんだよ」
と、ジェイクに釘を刺すように言うとビールを一気にあおったのだ。
「……大変失礼ですが。ジェイクさんは美兎さんに一目惚れなされた時はどう思われました?」
「……あ」
猫人の火坑の言う通りだ。酔っ払っていたとは言え、あの時のジェイクの想いは本心だった。
今回はジェイクが想いを寄せたわけではないが、このまま単純に振ってしまったら……ジェイクが傷ついた時と同じ気持ちにさせてしまう。
それは……流石に行けないことだと、ジェイクはわかり、頷いた。
「でしょう? その女の子のことは俺とかきょーくんはよく知らなくても……その子の勇気を蔑ろにするのは良くないくらいはわかる。単純に、お互いの種族の違いだけで振るのは良くないよ?」
「……はい」
それに、このふたりはそれぞれ人間の女性と交際している。隆輝の方はまだ会ったことはないが、付き合いはそこそこ長いそうだが。それでも未だに付き合いが続いているのだから……良好な関係を気付けていると言うことだ。
「さ。今揚がった姫竹の天ぷらでも」
火坑がカウンターから出してくれたのは……細長い天ぷら。
姫竹と言っていたから、タケノコなのだろうか。しかし、ジェイクの好物であるタケノコは春先でも、四月以降が旬だったような。
箸で持ち上げてみると、意外にずっしりと重い感触が伝わってくる。
「……いただきます」
出来立てなので、少し息を吹きかけてから……添えてある抹茶塩を少々つけて口に入れる。ザクっとしたタケノコの食感と熱々の湯気。
加えて、わずかなえぐみも感じるが嫌ではない。抹茶塩と一緒に食べると、これだけでもたくさん食べられる。初めて食べるタケノコなのに、これもまたジェイクの好物に加わったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
呪われた少女の秘された寵愛婚―盈月―
くろのあずさ
キャラ文芸
異常存在(マレビト)と呼ばれる人にあらざる者たちが境界が曖昧な世界。甚大な被害を被る人々の平和と安寧を守るため、軍は組織されたのだと噂されていた。
「無駄とはなんだ。お前があまりにも妻としての自覚が足らないから、思い出させてやっているのだろう」
「それは……しょうがありません」
だって私は――
「どんな姿でも関係ない。私の妻はお前だけだ」
相応しくない。私は彼のそばにいるべきではないのに――。
「私も……あなた様の、旦那様のそばにいたいです」
この身で願ってもかまわないの?
呪われた少女の孤独は秘された寵愛婚の中で溶かされる
2025.12.6
盈月(えいげつ)……新月から満月に向かって次第に円くなっていく間の月
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる