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赤鬼
第3話 ゆったりした時間
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隆輝と付き合うことで、あやかしなどが行き交う界隈にも行き慣れたが。去年から、少しずつ変わってきた。
二個下のまだ見習いであるデザイナーの女の子……湖沼美兎についてだ。
愛らしい顔立ちで、仕事熱心な彼女もまた。人間でないあやかしに恋をした。隆輝とは長い友達であり、桂那とも顔見知りである元地獄の獄卒で補佐官だった前世を持つ……猫人の火坑。
彼に惹かれた事を相談された時は、随分と驚いた。鬼の隆輝とは違って、人間に近い顔を持つわけでもない。猫の頭そのものなのに……美兎は彼に惹かれてしまったと言う。
恋慕とは違った意味で、彼女の霊力に惹かれるあやかしは座敷童子の真穂を含めて多くいたが……年度末あたりに、無事に結ばれたそうだ。実は火坑自身も想っていたと言うのだから、運命の悪戯とやらはよくわからない。
他にも、彼女との同期である田城真衣もだったが。彼女も、あやかしのひとりと出会い……恋をして、無事に結ばれたそうだ。身近にこれほどの縁繋ぎがあるとは、桂那も嬉しかった。
「ねぇ、ケイちゃん」
ブラウニーを食べながら、考えを巡らせていたら隆輝が声をかけてきた。
「なあに?」
「界隈主催の花見。今年も行こうよ?」
「……いいわね?」
いつもならふたりきりだが、今年は違ってもいいだろうか。
美兎と真衣、それぞれの恋人であるあやかしらも誘うのもいいかもしれない。
「でさ? 今年はきょーくん達も出来たら誘おうかと思ってたんだけど」
こちらが考えていたのが以心伝心していたのか、見透かされていたかと思うくらい嬉しい提案だった。
「じゃあ、真穂ちゃん達も?」
「真穂様もだけど、あともうひと組」
「もうひと組?」
「ケイちゃんの後輩ちゃんで、あやかしと付き合ってるって子いたじゃん? そのお相手が俺の古い知り合いだったんだよ。最近知ったんだー」
「……豪華になりそうね?」
四組のあやかしと人間とのカップル。
そのメンバーでのお花見会。さぞかし、賑やかになるだろう。会社の花見会も悪くはないが、ビル風などが激しい名古屋では、若い子達に席取りをさせるのは申し訳ない。
そう思うと、界隈は仕組みが少し違うから有難かった。
「俺も出来るだけお花見デザート、頑張って作るよ! ケイちゃんにはこれ作って欲しいなあ?」
「けど、これ結構濃いめだから。ナッツとかは入れなくちゃ」
「そうだね? あやかしには滅多にアレルギーないから大丈夫だよ」
「あの子達もとりあえずなかったわ」
同期との付き合いがなくもないが、去年は新人だった後輩達は可愛くて仕方がない。仕事の面でもこちらの手助けになるくらい成果を出せているし、ランチなどでの会話も楽しい。似たような境遇になったお陰か、話題は自然とそれぞれの恋人のこととなるから。
「日程は、いつもと同じでいい?」
「そうね? ちょっと聞いてみるわ」
LIMEでふたりにそれぞれ確認のメッセージを送ると、夕方にはどちらとも『大丈夫』と返事があった。
桂那は、張り切ってその日程までにブラウニーの試作を繰り返したが……やはり、バターを使わずとも濃厚な味わいのチョコレートブラウニーなので、おやつだけでなく夕飯もそれで済ませてしまうと少し不摂生な時期を送ってしまった。
二個下のまだ見習いであるデザイナーの女の子……湖沼美兎についてだ。
愛らしい顔立ちで、仕事熱心な彼女もまた。人間でないあやかしに恋をした。隆輝とは長い友達であり、桂那とも顔見知りである元地獄の獄卒で補佐官だった前世を持つ……猫人の火坑。
彼に惹かれた事を相談された時は、随分と驚いた。鬼の隆輝とは違って、人間に近い顔を持つわけでもない。猫の頭そのものなのに……美兎は彼に惹かれてしまったと言う。
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「ねぇ、ケイちゃん」
ブラウニーを食べながら、考えを巡らせていたら隆輝が声をかけてきた。
「なあに?」
「界隈主催の花見。今年も行こうよ?」
「……いいわね?」
いつもならふたりきりだが、今年は違ってもいいだろうか。
美兎と真衣、それぞれの恋人であるあやかしらも誘うのもいいかもしれない。
「でさ? 今年はきょーくん達も出来たら誘おうかと思ってたんだけど」
こちらが考えていたのが以心伝心していたのか、見透かされていたかと思うくらい嬉しい提案だった。
「じゃあ、真穂ちゃん達も?」
「真穂様もだけど、あともうひと組」
「もうひと組?」
「ケイちゃんの後輩ちゃんで、あやかしと付き合ってるって子いたじゃん? そのお相手が俺の古い知り合いだったんだよ。最近知ったんだー」
「……豪華になりそうね?」
四組のあやかしと人間とのカップル。
そのメンバーでのお花見会。さぞかし、賑やかになるだろう。会社の花見会も悪くはないが、ビル風などが激しい名古屋では、若い子達に席取りをさせるのは申し訳ない。
そう思うと、界隈は仕組みが少し違うから有難かった。
「俺も出来るだけお花見デザート、頑張って作るよ! ケイちゃんにはこれ作って欲しいなあ?」
「けど、これ結構濃いめだから。ナッツとかは入れなくちゃ」
「そうだね? あやかしには滅多にアレルギーないから大丈夫だよ」
「あの子達もとりあえずなかったわ」
同期との付き合いがなくもないが、去年は新人だった後輩達は可愛くて仕方がない。仕事の面でもこちらの手助けになるくらい成果を出せているし、ランチなどでの会話も楽しい。似たような境遇になったお陰か、話題は自然とそれぞれの恋人のこととなるから。
「日程は、いつもと同じでいい?」
「そうね? ちょっと聞いてみるわ」
LIMEでふたりにそれぞれ確認のメッセージを送ると、夕方にはどちらとも『大丈夫』と返事があった。
桂那は、張り切ってその日程までにブラウニーの試作を繰り返したが……やはり、バターを使わずとも濃厚な味わいのチョコレートブラウニーなので、おやつだけでなく夕飯もそれで済ませてしまうと少し不摂生な時期を送ってしまった。
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