名古屋錦町のあやかし料亭〜元あの世の獄卒猫の○○ごはん~

櫛田こころ

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百目鬼

第5話 心の欠片『自然薯フライドポテト』

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 さらに……と、火坑かきょうが今度は自然薯を皮付きのまま少し太い細切りにしていった。


「何を作るんですか??」


 美兎みうが聞くと、火坑は猫目を柔らかく緩めてくれた。


「少しジャンキーに、自然薯のフライドポテトでも」
「え? 今度は素揚げ??」
珠洲すずさんは今日お酒が飲めませんからね? 気分だけでもと……これは普通の長芋や大和芋でも作れますが」


 さっ、と油鍋に入れれば……天ぷらの時以上に油はねの強い音が聞こえてくる。しかし、シュワっと力強い音から……これは絶対に美味しそうな予感がしてくるのだ。

 通常の、じゃがいものフライドポテトとかはファストフードのチェーン店などに行けば食べられるが。そうではなく、山芋などの粘り気が強い芋を素揚げしただけのフライドポテト。

 珠洲も、また目を輝かせていたが……それは絶対美味しいと思うのだ。今日初めて口にした天ぷらで美兎の胃袋を満たしてくれたのだから、絶対に美味しいはず。

 火坑が網杓子でさっと持ち上げた、細切りの自然薯は……じゃがいもと当然違うが、カラッと揚がっていて実に美味しそうだ。

 細長い大ぶりの陶器の皿に、天ぷらなどで使う和紙を載せて。そこに自然薯のフライドポテト。岩塩を削り、仕上げに青のり。


『美味しそう……!!』


 美兎、珠洲もだが、のっぺらぼうの芙美ふみまでもが、思わず声を上げてしまうほど。

 湯気がまだ凄いので、フライドポテトだが箸で持ち上げて口に持っていく。

 その熱さに、美兎も珠洲も、芙美も『あふっ』と声を出してしまう。

 少し息を吹きかけて口に入れると、サクッといい音がした。


「あふあふ!?」


 外側もだが、中もかなり熱い。

 だが、天ぷらの時と同じように嫌な熱さではないのだ。外側はからっと、中はほくほくとしていて……岩塩と青のりの味付けだけなのに、ケチャップなどが無くても物足りなさを感じないのだ。


「おいひぃ!」
「すっごく!!」
「火坑さん、さすがです!」


 三人で絶賛を送ると、火坑は涼しげな笑顔で軽く会釈してくれた。


「自然薯もですが、山芋はとろろ以外にも火を通して調理する方法が年々増えていますからね? フライ以外にも、卵と混ぜた山芋焼きなどもあります」
「やーん! 大将さん、それも美味しそう~!!」
「滋養強壮以外にも、一説では人間が罹る癌の予防対策などでも優秀だそうですよ? なってからでも完治した事例がいくつかあるそうです」
「へー?」


 いずれ、美兎は人間ではなくなるけれど……それでも風邪などは引くことに変わりはないようだ。なら、火坑のためにも、自分のためにも自炊は出来るだけした方がいいのだなと改めて思う。

 それでも、火坑の料理に勝るものはあまり作れないのだが。


「大将さん! あたしも欠片出すので……芙美さん達に山芋焼きを!!」


 今日出会ったばかりの珠洲はわからないが……気力などが回復出来て良かった。あやかしの友達がまた増えた日でもあるし、今日はいいことばかりだ。
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