王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編②

第129話 勉強はよくても

 秋に向けての試験は完璧……と、試験結果が出たら、まあ教師陣には『さすが殿下』ともてはやされたけれど。それは当然としか言いようがない。

(……だって、コツ掴めば『簡単』だし)


 中身が転生者ってことで、前世で履修した内容と組み合わさればファンタジー色の多い授業も、まあそこまで難しくなかったんだもの。満点をいじろうかどうかは悩んだが、面倒だと全部ちゃんとやったら学年一位になってしまった。

 もともと、王女だからで目立っていたのに……また目立つ要素が出来てしまった。幸い、その地位のお陰で嫌味とか変なやっかみは表面上は見られない。『表面上』はね?

 友人のふたりも特に気にしていないのか、お茶の時間も普通に話しかけてきたもの。


「殿下、そこまでお勉強が出来るのはお城で頑張っていたからですか?」
「……そんなところかしら?」


 とか言っておかないと、秘密を知らない彼女たちに迷惑をかけてしまう。転生者の事実も、少し広めたとは言え身近な王城の人間たちばかり。家族もお父様だけだ。城へ帰るたびに、まあ緊張感のある線引きをされてしまったが、そこは流石に仕様がないものね?

 お母さまにはいつ言うかは決まっていないが、ジェラルドの育児で大変だから……心労は下手に増やしたくない。なので、長期休暇の間に行ってしまう場所は、やっぱりイツキのところになってしまう。


「ん~……リュシアーノ様の年齢だと小学生のやり直しって感じですか? 高学年くらいの」


 イツキのいる屋敷では、メイドたちがいなければ話したい放題なので鬱憤ついでに色々言えるのはありがたい!!


「そうなの!! 数学とか掛け算と割り算の延長だし。音楽も声楽程度だから、練習しちゃえばなんとかとか……もう、ませた女の子でいるのも大変よ」
「……ファンタジーだと、魔法の授業とかありそうですけど。この前の薬草学くらいですか?」
「私の学年だとね? 杖というか呪文の詠唱をしやすいように、声楽が入れられている感じ。知識は薬草学で生物を学んでいるみたいね」
「順序があるんですね」
「けど、慣れると普通の学校って感じだわ」
「面白そうですけど」
「ん~……まあ、まったくつまんないわけじゃないけど」


 でも、エイミーやマーキュリー以外の友人知人がなかなか出来ない。この前の学年トップを取ったせいでさらに距離が開いたというか、『王家は立派』とかなんとかでもてはやされた感じなのよね?

 イツキみたいに、砕けて話せるのはメイドのサフィアは一応いても……サフィアは『仕えてくれている』側なので、敬語であっても友人にはなれない。今も部屋の端に待機してくれているが、表情も微動だにしない。無表情じゃなくても、こっちの会話を頭の中で整理しているってところかしら??
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