王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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番外編②

第133話 男も肌荒れしたくない

 リュシアーノ様やイツキたちが共同で開発したという『化粧水』ですが。うちの女性騎士らにも試作品を提供したところ、かなり好評でしたね?

 僕は僕で、義兄上のところに持っていきましたが。


「……肌荒れ、か」
「義姉上のところへはイツキたちが持参してます」
「……不思議な香りだ」
「コージを使用した酒を主原料にしているそうですよ」
「ほう?」


 男性が化粧水、と普通なら思うでしょうが。イツキとリュシアーノ様の異世界事情を知り、異世界の男性たちもそれなりに手入れをしている事情を僕も聞きました。なので、もとからあまり手入れせずとも気にしていなかった僕の肌を見て……義兄上も感心されたのでしょう。かさつきすら、どこにもありませんからね!!


「塗るというより、軽く叩く勢いで顔に塗布するんです」
「……こう、か?」
「はい。少しさっぱりするでしょう? 塗り過ぎもよくないので、一日に三回だそうです」
「……それだけで、数日後にはお前のようになるのか?」
「個人差はあるようですが、僕の周りでも同じような効果がでています」
「……魔法でないのに、魔法のよう……か」
「浄化を身に着けたい者らは多くとも、普段の何気ない手入れで変わるとも。イツキはよく話してくれますね」
「……なるほど。イツキがか」


 アレルギーや食べ残し以外に、錬金術師としても開花しているイツキの提案は国王とて無視できない。ワルシュ料理長の養女、アーネストの妻という地位だけでなく異世界からの渡航者として……豊富な知識と経験を得ている素晴らしい女性だ。

 とはいえ、本人にとっては趣味と実益の延長戦上でしかなく、知識もうろ覚えが多いというのはリュシアーノ様と同じらしいが。うろ覚えでも慧眼が適格だとしか言いようがないので……そのときはきちんと褒めていますとも。アーネストが必死になって褒めても、嬉しそうにするだけなので……ああこれはお邪魔だなと思ってしまいます。

 さておき、義兄上のその後の経過を近習より知らせを受けましたが……とても、順調のようです。実際に謁見の合間にお伺いしたところ、ひどく上機嫌でしたから。


「義兄上。機嫌がいいですね?」
「ああ。貴族連中にも肌が光って見えるとまでからかわれたが……実際に、触り心地がいいからな? お前に持ってきてもらったあれは正解だな? リュシアーノと共同開発というのなら……学園の特製として売り出すのもいいだろう」
「そこまでですか」


 てっきり、王室から……と思ったのですが。娘の言い出したことと、イツキの功績を大きくし過ぎないための対策かもしれませんね。これはもう少し、イツキにも話を聞きに行くべきでしょう。アーネストに軽く予定を聞いたところ、明日でも大丈夫のようでしたので調整をお願いしました。

 僕の勘が疼くのです。これは、アレルギー対策のための一大事業になるかもと!!
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