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ギルドマスターのまかない
第3話『わくわく親子丼』②
着替え終わる間に、職員に頼んで在庫から『オヤコドン』に必要な材料を集めさせた。
心配していた米の酒も、コンブもあったのですぐに米の方は炊き出すことにした。米は東方大陸の主食でもあるがゆえに腹にたまりやすいなどの理由から……イージアスでも市場を中心に取り扱うようになった。
だが、コンブやショーユはまだまだ取り扱いが難しいので在庫が少なかった。イツキさんがもし、東方大陸の出身であるのなら……私のような新米ギルドマスターでも知らない料理が多くても不思議ではないだろう。
とりあえず、着替え終わったイツキさんを簡易厨房に案内して……先程はあれだけ豊かにあった胸部が潰していた? 料理の邪魔になるから、胸当ての防具で潰したのだろうか?
同じ女と言えど、野暮な事は聞くべきではないと私は調理台の前に立つ彼女の後ろに立った。
「まずは……」
玉ねぎを手に取った、彼女の調理を見ていたが……至って、普通の腕前だと思った。すごく早い訳ではないが、丁寧でむしろ家庭的な感じだ。
あの未知な料理のレシピを書き出した人物とは思えない。しかしながら、米以外の材料の下拵えから炒め、煮る。などの工程はやはり丁寧だった。
(なんというか……見ていてホッと出来る調理だ)
そして、味見の部分が終わったのか、イツキさんは炊けた米を少し深い器に少し盛り付け、その上に……出来上がった卵をとじたものを載せたのだった!?
「お待たせ致しました。『親子丼』です!」
自信のこもった言葉に、私もだが材料を集めた職員も調理台に置かれた『オヤコドン』を覗いてみた。
「「「……いい香り!!」」」
一斉にそう言うくらいに、とても良い香りだったのだ。
甘いような、ショーユ特有の濃い香りもする。だが、どちらも主張し過ぎずに絶妙な調和を保っているのだ。卵もだが、鶏の肉も艶々していて……目で見ても楽しい! 刻んだネギの彩りもちょうどよかった。
「冷めやすいので、お早めに。取り分けますね?」
「「「お願いします!!」」」
大きめのスプーンで小皿にそれぞれ取り分けていただいた時に、気づいた。
米が薄茶に染まっているのだ。だが、染み込んでいる匂いは上の卵達と同じ香り。……全員に行き渡ったら、私達は一斉にスプーンで食べ始めた。
「? 甘……?」
「けど、しょっぱくて」
「どっちもあるけど……深い味わいもする……??」
私が口にしたように、何か深い味わいがするのだ。薄過ぎず、だが濃過ぎず。
絶妙な味わいが、玉ねぎの甘味と肉の旨味。さらに、とろとろと仕上がった卵が絡み、米と一緒に食べると濃さを和らげてくれるのだ。
これをまずいと言えるわけがない!!?
「あの……お味はいかがでしょうか??」
「「「とっても美味しいです!!」」」
「イツキの料理がまずいわけがない」
同時に言い出すくらい、まずいわけがない!!
それと……ハインツベルト殿が微笑むとイツキさんは少女のような笑顔を見せてくださった。なので、なるほどな、とこの二人の関係がようやく理解出来たのだ。
心配していた米の酒も、コンブもあったのですぐに米の方は炊き出すことにした。米は東方大陸の主食でもあるがゆえに腹にたまりやすいなどの理由から……イージアスでも市場を中心に取り扱うようになった。
だが、コンブやショーユはまだまだ取り扱いが難しいので在庫が少なかった。イツキさんがもし、東方大陸の出身であるのなら……私のような新米ギルドマスターでも知らない料理が多くても不思議ではないだろう。
とりあえず、着替え終わったイツキさんを簡易厨房に案内して……先程はあれだけ豊かにあった胸部が潰していた? 料理の邪魔になるから、胸当ての防具で潰したのだろうか?
同じ女と言えど、野暮な事は聞くべきではないと私は調理台の前に立つ彼女の後ろに立った。
「まずは……」
玉ねぎを手に取った、彼女の調理を見ていたが……至って、普通の腕前だと思った。すごく早い訳ではないが、丁寧でむしろ家庭的な感じだ。
あの未知な料理のレシピを書き出した人物とは思えない。しかしながら、米以外の材料の下拵えから炒め、煮る。などの工程はやはり丁寧だった。
(なんというか……見ていてホッと出来る調理だ)
そして、味見の部分が終わったのか、イツキさんは炊けた米を少し深い器に少し盛り付け、その上に……出来上がった卵をとじたものを載せたのだった!?
「お待たせ致しました。『親子丼』です!」
自信のこもった言葉に、私もだが材料を集めた職員も調理台に置かれた『オヤコドン』を覗いてみた。
「「「……いい香り!!」」」
一斉にそう言うくらいに、とても良い香りだったのだ。
甘いような、ショーユ特有の濃い香りもする。だが、どちらも主張し過ぎずに絶妙な調和を保っているのだ。卵もだが、鶏の肉も艶々していて……目で見ても楽しい! 刻んだネギの彩りもちょうどよかった。
「冷めやすいので、お早めに。取り分けますね?」
「「「お願いします!!」」」
大きめのスプーンで小皿にそれぞれ取り分けていただいた時に、気づいた。
米が薄茶に染まっているのだ。だが、染み込んでいる匂いは上の卵達と同じ香り。……全員に行き渡ったら、私達は一斉にスプーンで食べ始めた。
「? 甘……?」
「けど、しょっぱくて」
「どっちもあるけど……深い味わいもする……??」
私が口にしたように、何か深い味わいがするのだ。薄過ぎず、だが濃過ぎず。
絶妙な味わいが、玉ねぎの甘味と肉の旨味。さらに、とろとろと仕上がった卵が絡み、米と一緒に食べると濃さを和らげてくれるのだ。
これをまずいと言えるわけがない!!?
「あの……お味はいかがでしょうか??」
「「「とっても美味しいです!!」」」
「イツキの料理がまずいわけがない」
同時に言い出すくらい、まずいわけがない!!
それと……ハインツベルト殿が微笑むとイツキさんは少女のような笑顔を見せてくださった。なので、なるほどな、とこの二人の関係がようやく理解出来たのだ。
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