王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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メイドのまかない

第3話 冒険者からの告白

 腕を掴まれてしまい、男性らしい手の大きさと温かさに胸がドキドキとしてしまう。

 私を見下ろす、濃いグリーンの瞳には真剣な事がよくわかった。

 けど、でも。

 今告げてくださった言葉が、本当なのかと言うことがまだ信じられない。

 それと別に、こんな状況を先輩のメイドに見られなくてよかった。先輩はお茶を淹れてからは、バーミィ殿に言われて退室していたからだ。

 じゃなくて?!


「……疑うん? 自分の気持ち」


 バーミィ殿は、やはり本気のようだ。

 本気で、小娘でしかない私なんかを……その、好いてくださっているらしい。

 けど、私には自信がない!!


「そんな……こんな、小娘を?」

「サフィアは小娘ちゃうで? 成人したばっかり言うたって立派なレディや。冒険者上がりの自分なんかには高嶺の花やけど」

「!?」


 そんな賛辞……今まで受けた事がない。

 見目は悪くないけど、笑顔が少ないとか感情を出せとかはよく言われたりしてきた。

 なのに、この方は私を否定する言葉をかけてこない。むしろ、ご自分を卑下されている。たしかに、バーミィ殿は貴族ではない市井の出身。

 しかし、この国では一定の爵位を得た男性は、貴族の女性を娶ることは出来る。この方も冒険者の出身ではあるが国の英雄でもあるワルシュ殿の後輩として有名だ。

 そして、今は近衛騎士団の第一部隊隊長、騎士の爵位をお持ちだから……位は低くても伯爵家の娘である私を娶る事は出来る。

 けど、それでも。

 この方は……私を伯爵家の人間ではなく、『サフィア』と言う人間として見れくれているのか?


「……ですが、私……女性らしくないですし」

「なんで?」

「え?」

「サフィアは可愛ええで? 笑顔は少ない方やけど、猫とかの世話とか積極的にしとるやろ? あん時の笑顔に……自分は惚れたんや」

「!!?」


 私が見てしまったように。

 この方も、私を見てくださっていた??

 だから……好きになってくださった??

 その事実がわかると、私は体の力が抜けて床に座り込むと思っていたら……バーミィ殿が慌てて支えてくださった。


「大丈夫か?」


 先程よりも距離を詰める事になったので、顔が近い!?

 直に感じる吐息が熱く、さらにときめきが増してしまう!!


「あ……は、い」

「んで? 返事は??」

「はぃい!?」

「自分、あんま待てへん性格なんでなあ??」


 こんな強引なところがあるだなんて……でも、不思議と嫌に感じない。

 それだけ、この方の気遣いと優しさ、加えて想いの重みを知ったからか。


「…………そ、その」

「おん?」

「…………私なんかでよければ」

「なんか、とかちゃうけど。本心なん?」

「!? は、はい!」


 陶器の動く人形のように首を縦に振って、意志を伝えると……バーミィ殿は、あの時猫に見せていたような笑顔を私に向けて、腕を引っ張った。


「よっしゃ!!」


 気づいたら、たくましい腕の中に抱きしめられていて……私は頭がついていけずに、その腕の中で意識を失ってしまった。
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