王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

櫛田こころ

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全員のまかない

第3話 親方のまかない

 めでたいことじゃ。

 儂が丹精込めて新調した、包丁一式を贈った相手……イツキの嬢ちゃんが、とうとう結婚することとなった。

 とくれば、儂の出番となるなら!!


「陛下……儂に嬢ちゃんの結婚式に必要なティアラを!」

「親方ならそう言うと思った。頼んだぞ」

「はっ!」


 陛下に御許可もいただけたなら……腕も鳴るわい!

 もちろん、王女殿下の第一メイドと……あのレクサスとか言う坊主の結婚式も控えているんで、装飾の一部は頼まれているがの?

 じゃが、儂にとってはイツキの嬢ちゃんへのティアラが本命!! むちゃんこデザインを色々起こすわい!!


(……その前に)


 じゃが、一度打ち込むと食事を忘れるので……簡単に何かつままねば。

 あのポテトチップスもいいが、腹に溜まるとなれば……と、嬢ちゃんから教わったんじゃ。


「……エディトの皮をよく洗って、芽を取って」


 半分に切り、次に髪を梳く櫛のような形に切って……これを湯である程度火を通す。

 最終的に油で揚げるのじゃから、火が通るのでは……と、儂は嬢ちゃんに聞いたんじゃが。


『油で揚げる場合、基本的に外側はいいんですが内側は火が通りにくいんです。特にお芋とかの場合は』


 手本を見せてもらったが、たしかにその通りじゃった。外側はほくほくじゃったのに、内側は噛めんと言う具合に。

 とりあえず、楊枝ですっと刺せるくらいに柔らかくなったら……火傷せんように丁寧に湯を切り、水気をざっと取ってから……フライパンに少量の油を引いて『揚げ焼き』するようじゃ。


『油の処理は大変ですからね? 揚げ焼きでも十分にカリッとなりますし、オススメです』


 それも試作を食わせてもらったことで、ようわかった。

 薬剤に使うエディトで飯とは……とも思ったが、実際作るとうんまぃんだよなあ?


「……うむ。頃合いか?」


 美しい紫の表面に、いくらか焦げ目がついたことで……崩さないように取り出し、皿の上に乗せてから岩塩を砕いたのを適量振りかける。

 熱々ゆえ、さっき使った楊枝を刺して……息を吹きかければ。


 サク……ホク。


 ポテトチップスほどではないが、カリッとした表面。

 内側は……ほくほくしていて、芋本来の甘みを感じる!

 そこに、岩塩が加われば……適度な塩気と、硫黄の臭いが軽くするが……美味い。美味すぎる!!

 思わずバクつくわい!!


「師匠~~……自分達にも」

「自分らで作れ!!」


 これは儂のじゃ!!

 たっぷりと食べたことで、活力も得られる。

 食べながらも、嬢ちゃんへのティアラの図案もいくつか浮かんだが。

 せっかくだから、あのアーネストの坊主にも、宝剣を作ってやろうと思い。陛下に、エディトのフライドポテトを持って提案しようとしたんじゃが。

 エディトの変わり様に、後ずさるのが面白かったわい。
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