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番外編
第225話 医師は名ばかり
うむ、良い事じゃ。
一大事じゃと、イツキくんからの通達で焦りかけはしたが……実際は若いお嬢さんの懐妊じゃとは。相手があの鼻垂れ坊主だったゲイリッシュとは驚きじゃがのお?
「……良い事じゃ」
診察代がわりの、イツキくん手製のパイナップルのかんてんよせと言うのも……実に美味じゃった。フルコースの撤廃を機に、あの子は様々な料理を城だけでなく外にも広めてくれた。
その知識は、国随一との宮廷医師であるワシを凌駕しておるものが多い。アレルギーなど、数十年も医師を務めているワシですら……全く知らんかった。
あの子は東方大陸でその知識を得たのじゃろうか? それにしては若過ぎるし……処置の手捌きは見事なものじゃった。
追求したいところじゃが、あの子は今ではイージアスになくてはならない存在じゃ。加えて、一児の母でもある。近衛騎士団の副隊長の夫人ともなったのじゃしな? 久しぶり会ったが、随分と母親らしい穏やかな顔つきになった。
男にも似た変化はあるが女の方が大きいからの?
そんなあの子の道筋をどうこうするつもりは、ワシには権限も何もない。
日々、城だけでなくイージアスに蔓延しかけているアレルギーの研究をせねばならん。
イツキくんにも城にいる頃から知識を借りてたが……アレルギーは人により、対象となる食物が違うそうじゃ。
つまり、正解と言うものがないと。
必ず、この食材が悪いということではない。もちろん、同じ場合もあるが重症具合もそれぞれ違う。痒みや発疹以外に、呼吸困難から絶命に至るなど。
何故そのような事態に至るかと言えば、フルコースの食べ残しを家臣らに頼むのがきっかけじゃと、イツキくんは見解していたが。
それはあくまできっかけ。
アレルギー自体はもっと昔からあったやもしれんと……ワシは、どこまで愚かじゃったのか。若い子に流行病になりかけだった病を見つけられるとは。
宮廷医師とは名ばかりじゃ。アレルギーには基本的に治癒魔法は効かん。魔法薬も一時凌ぎ程度。まだまだ……研究は始まったばかりじゃからな。
「……とりあえず、次の検証も含めて……」
今日帰る時にイツキくんから新たな知識を教えてもらったが。
ワシも食べさせてもらったパイナップルも、人によってはアレルギーかもしれんと言うことじゃ。
今のところ食堂から報告はないが、ワルシュにも聞こうと厨房に足を向けた。
一大事じゃと、イツキくんからの通達で焦りかけはしたが……実際は若いお嬢さんの懐妊じゃとは。相手があの鼻垂れ坊主だったゲイリッシュとは驚きじゃがのお?
「……良い事じゃ」
診察代がわりの、イツキくん手製のパイナップルのかんてんよせと言うのも……実に美味じゃった。フルコースの撤廃を機に、あの子は様々な料理を城だけでなく外にも広めてくれた。
その知識は、国随一との宮廷医師であるワシを凌駕しておるものが多い。アレルギーなど、数十年も医師を務めているワシですら……全く知らんかった。
あの子は東方大陸でその知識を得たのじゃろうか? それにしては若過ぎるし……処置の手捌きは見事なものじゃった。
追求したいところじゃが、あの子は今ではイージアスになくてはならない存在じゃ。加えて、一児の母でもある。近衛騎士団の副隊長の夫人ともなったのじゃしな? 久しぶり会ったが、随分と母親らしい穏やかな顔つきになった。
男にも似た変化はあるが女の方が大きいからの?
そんなあの子の道筋をどうこうするつもりは、ワシには権限も何もない。
日々、城だけでなくイージアスに蔓延しかけているアレルギーの研究をせねばならん。
イツキくんにも城にいる頃から知識を借りてたが……アレルギーは人により、対象となる食物が違うそうじゃ。
つまり、正解と言うものがないと。
必ず、この食材が悪いということではない。もちろん、同じ場合もあるが重症具合もそれぞれ違う。痒みや発疹以外に、呼吸困難から絶命に至るなど。
何故そのような事態に至るかと言えば、フルコースの食べ残しを家臣らに頼むのがきっかけじゃと、イツキくんは見解していたが。
それはあくまできっかけ。
アレルギー自体はもっと昔からあったやもしれんと……ワシは、どこまで愚かじゃったのか。若い子に流行病になりかけだった病を見つけられるとは。
宮廷医師とは名ばかりじゃ。アレルギーには基本的に治癒魔法は効かん。魔法薬も一時凌ぎ程度。まだまだ……研究は始まったばかりじゃからな。
「……とりあえず、次の検証も含めて……」
今日帰る時にイツキくんから新たな知識を教えてもらったが。
ワシも食べさせてもらったパイナップルも、人によってはアレルギーかもしれんと言うことじゃ。
今のところ食堂から報告はないが、ワルシュにも聞こうと厨房に足を向けた。
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