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第29話 幕間4 ランベルト
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「よし可愛い」
いつものように鏡で最終チェックをして俺は気合を入れる。髪の毛を結い上げるのも、女の子の服を着るのも慣れてしまった自分だが、『何しているんだろう俺』とたまに我に返ることもある。まあ、気にしたら負けである。
「ランベルト! 仕入れに行ってくるからー!」
ドアの向こう側から、姉のアリーダが大きな声を上げている。朝も早い時間だというのに凄く元気なのは、やっぱりヴィレムが村に帰ってきたからだろう。
ヴィレム――姉の恋人であり、魔術師。姉の幼馴染で、俺にとっては兄のような存在だ。
「仕入れはヴィレムも一緒ー?」
自分の部屋のドアを開け、すでに玄関に向かっているだろう姉に向かって叫ぶ。
「もちろーん! いつもより多めに材料を仕入れておくからね! じゃ、また後で!」
玄関の方からそんな声が飛んできたと思ったら、ばたんとドアが閉まる音がして姉が凄まじい勢いで家の前の道を駆けだしていったろうことが解る。元気なのはいいことだ。
俺は姉より遅れたものの、活動開始。家の玄関の鍵を閉めて、エプロンドレスの格好で屋台に向かう。まだ日が昇り始めた時間帯だから、大通りに出ても人の姿は少ない――はずだったが。
「お疲れ様でーす」
俺は通りすがりの騎士様に向かって声をかける。領主様のところからやってきた騎士様たちは腰に剣を下げた格好で、率先してこの村の巡回をしてくれている。皆、過酷な生活だったようで痩せているのは仕方ないけれど、それでもこの村に帰ってきた直後よりも随分と顔色はよくなってきたようだ。それに、彼らが連れてきた馬も元気になった。騎士様に手綱を引かれて歩きながら、穏やかな表情で鼻を鳴らしたりしている。
「朝早いね」
声をかけた騎士様は、笑顔で俺にそう声をかけてくれる。
うん、間違いなく彼は俺のことを女だと信じ切っている。若くて可愛い、そう可愛い(ここが重要だ)俺というのは、人畜無害に見えるだろう。
「はい! 今日も頑張りますから、ぜひ屋台に立ち寄ってください!」
自分でもあざといと自覚している首の傾げ方でそう言うと、騎士様がすぐに笑いながら頷いてくれる。
よし、また一人、客を捕まえた。常連客になるまで頑張ろう。
「……多すぎない?」
屋台の掃除が終わった頃、姉とヴィレムが大量の木箱を運んできた。いや、正確に言えばヴィレムが一人で魔術を使って運び込んだ。
これでもか、とばかりに屋台の脇に積まれていく木箱を見つめながら、さすがに俺は呆れた声を上げる。
「あら、足りないくらいよ?」
姉、アリーダはにやりと笑って胸を張る。「ヴィレムがお仲間に宣伝してくれたって言うから! きっと、お昼時は大変よ?」
「姉さんはすぐそうやって楽観視する……」
俺が深いため息をこぼしながら、木箱から次々と野菜やら肉やら取り出していくと、ヴィレムが苦笑しながら口を挟む。
「いや、本当に宣伝しておいたから。ここの屋台は凄く美味しいって」
「ま、美味しいのは事実だけどさ」
ちらりと横目で見たヴィレムは、いつの間にか姉さんに腕を絡めとられている。何だよこれ、俺は何を見せされているんだ。いちゃつくなら他のところでやってくれよ。
「でも、本当に顔色よくなりましたね」
そろそろ店の前に人通りが増えてきたから、俺は口調を敬語に切り替えた。俺は売り子、女の子、という設定なのだ。疑われるのはちょっとまずい。財布の紐を緩めてくれる男の客が減る。
「そうだろう? 俺も意外なんだけど」
ヴィレムは少しだけ困惑したように首を傾げつつ、俺の手元を見つめる。どうやら俺の料理の手際の良さに感心しているようだ。
「何だか、魔力量が増えた気がするんだ。やっぱり、食事の量が関係してるのか……」
「昨晩はわたしが愛情をこめて料理を作ったからね。その愛情の分、栄養が増えてるんでしょ」
姉さんはお気楽である。
ヴィレムもまた、照れたように目元を赤く染め、そうだな、なんて笑う。
くっそ!
俺は理不尽な想いを料理にぶつけ、どんどん肉を焼き、パンを焼き、展示ケースに積んでいく。
そして気づいたんだけど。
「何か、妙に野菜が大きくない?」
俺は手に取ったキャベツが妙に身がしまってぎゅうぎゅうとしているのに、いつもより一回り大きいことに気づいて首を傾げた。そうして改めて他の野菜を確認すると、どれもこれも色が鮮やかで美味しそうだし大きい。
「そうなの! どれも朝採りらしいんだけど、全部そんな感じらしいわよ?」
「へえ……どうしたんだろ」
俺が首を傾げていると、遠くから人のざわめきが聞こえてくる。村の入り口の方だと思う。
「……難民、かな」
ヴィレムが表情を引き締めてそう呟くと、アリーダの頭を撫でてから屋台から離れていく。姉は一緒に行きたかったようだが、何か危険があると困るから、とやんわり押しとどめられていた。
そして事実、予想は当たったらしい。
後で聞いた話だが、どうやらとうとう領主様の近くに住んでいた人たちがうちの村にやってきたらしい。家財道具一式を持って逃げたはずが、途中で盗賊に襲われたりして着の身着のまま、という人たちも少なくなかったみたいだ。
それは同情するけれども。
畑を荒らすのは駄目だ。
放牧している家畜を盗もうとするのは駄目だ。
そんな感じで、ひと悶着あったらしい。村長さんと年配だけど腕に自信のある男たち、騎士様たちと魔術師たちがちょっと手荒に制圧した後で、そういった人たちは村にある犯罪者用の檻付きの家に放り込まれ、それ以外の善良な人たちは空き家に案内された。
そしてこれはこれから起こる騒動の前触れのようなもので。
次々と新しい客が到着することになったわけだ。
姉が予想した通り、昼時はかなり忙しかった。
難民と彼らのことを俺たちは呼んでいるものの、結構お金を持っている人たちが村になだれ込んでいるらしく、ここで生活するにあたって色々買い込んでいるみたいだ。そのついでに、俺の屋台から漂う香りに惹かれて店を覗いてくる。
だから、後から後から客がやってきて、俺の笑顔に騙されて多めに購入してくれる。その結果、俺が今までやってきた中で一番の売り上げとなった。
たまに俺の性別を知らない男に口説かれたけど、「ごめんなさい、わたし、女の子が好きなので」と満面の笑みで返すと、誰もかれもが変な顔をしながら引いてくれた。話が通じて何よりである。
で、そんな中でのこと。
夕方の時間になり、大量の食材がほとんど消えた頃になって、また村に新しい団体様が到着したらしい。俺は早めに店じまいをしていたので、野次馬根性で村の入り口に向かってみた。
門番の男たちに足止めされていたが、彼らは滅多に見ないほどの立派な黒い馬車に乗っていて、その後ろに続く荷馬車の群れを引き連れている。そこから見て取るに――。
「貴族だな」
いつの間にか、俺の背後には姉とヴィレムが立っていた。
俺と同じように、姉のアリーダも野次馬根性には定評がある。何か騒ぎがあれば一番に駆けつけるタイプだから、きっとヴィレムをここに引っ張ってきたのは姉だ。
「貴族?」
俺が気難しい表情のヴィレムの方を振り返ると、彼が『貴族』というものに対して苦手意識を持っているらしいことが解る。彼は黒い馬車の扉に彫られている金色の模様を見て、さらに眉根を寄せて続けた。
「あの紋章、見覚えがある。領主様、いや、領主様のところのクリステル様と仲が良かった……」
「クリステル様?」
俺とアリーダが首を傾げると、ヴィレムがどこまで話していいものか、と少しだけ悩んだみたいだったが、すぐに割り切ったような表情で頷く。
「新しく聖女様となったのがクリステル様というんだ。彼女は元々の聖女様の妹なんだが、もの凄く冷酷で意地が悪いと言われていた。そんなクリステル様と仲がいいご令嬢が、あの紋章付きの馬車でよくお屋敷にきていたんだが……まあ、性格は推して知るべしというか」
……何だか厭な感じの話だ。
「俺は前の聖女様に近づくことも許されない、身分の低い魔術師だったけれど、色々な噂だけは耳に入ってきた。前の聖女様……ヴェロニカ様はとても優しい人だったそうだ。だが、クリステル様とそのご友人に酷い扱いをされていたらしくてな。だから……ちょっと複雑というか」
それに続く、あまりこの村に来てほしくなかった、という言葉はとても小さく響いた。
「……神殿に行くまでの間だ! 日が暮れるから、一晩だけ一番いい宿を貸せと言っているだけだろう!?」
黒い馬車から降りてきた高圧的な男が、そんな叫びを上げているのが聞こえてくる。この村じゃ見ることのない、オーダーメイドらしい上質な黒い服。きっと、その上下一揃いでこの村で数か月生きていけるだけの金額になるんだろう。
開け放たれた馬車の扉の奥で、彼の妻らしき女性と、その娘らしい姿もあった。
しかし、その娘の方は――黒いヴェールを頭からすっぽりと被り、馬車の奥の方に寄りかかるようにして身体を震わせていた。
「まずい」
その娘を見たらしいヴィレムが、慌ててそちらに駆けだしていった。
「えっ? ヴィレム?」
慌てて彼の後を追おうとしたアリーダだが、鋭い声で「来るな!」とそれを押しとどめたヴィレムは、門番たちに向けてこう叫んだ。
「疫病持ちだ! 村長を呼べ!」
いつものように鏡で最終チェックをして俺は気合を入れる。髪の毛を結い上げるのも、女の子の服を着るのも慣れてしまった自分だが、『何しているんだろう俺』とたまに我に返ることもある。まあ、気にしたら負けである。
「ランベルト! 仕入れに行ってくるからー!」
ドアの向こう側から、姉のアリーダが大きな声を上げている。朝も早い時間だというのに凄く元気なのは、やっぱりヴィレムが村に帰ってきたからだろう。
ヴィレム――姉の恋人であり、魔術師。姉の幼馴染で、俺にとっては兄のような存在だ。
「仕入れはヴィレムも一緒ー?」
自分の部屋のドアを開け、すでに玄関に向かっているだろう姉に向かって叫ぶ。
「もちろーん! いつもより多めに材料を仕入れておくからね! じゃ、また後で!」
玄関の方からそんな声が飛んできたと思ったら、ばたんとドアが閉まる音がして姉が凄まじい勢いで家の前の道を駆けだしていったろうことが解る。元気なのはいいことだ。
俺は姉より遅れたものの、活動開始。家の玄関の鍵を閉めて、エプロンドレスの格好で屋台に向かう。まだ日が昇り始めた時間帯だから、大通りに出ても人の姿は少ない――はずだったが。
「お疲れ様でーす」
俺は通りすがりの騎士様に向かって声をかける。領主様のところからやってきた騎士様たちは腰に剣を下げた格好で、率先してこの村の巡回をしてくれている。皆、過酷な生活だったようで痩せているのは仕方ないけれど、それでもこの村に帰ってきた直後よりも随分と顔色はよくなってきたようだ。それに、彼らが連れてきた馬も元気になった。騎士様に手綱を引かれて歩きながら、穏やかな表情で鼻を鳴らしたりしている。
「朝早いね」
声をかけた騎士様は、笑顔で俺にそう声をかけてくれる。
うん、間違いなく彼は俺のことを女だと信じ切っている。若くて可愛い、そう可愛い(ここが重要だ)俺というのは、人畜無害に見えるだろう。
「はい! 今日も頑張りますから、ぜひ屋台に立ち寄ってください!」
自分でもあざといと自覚している首の傾げ方でそう言うと、騎士様がすぐに笑いながら頷いてくれる。
よし、また一人、客を捕まえた。常連客になるまで頑張ろう。
「……多すぎない?」
屋台の掃除が終わった頃、姉とヴィレムが大量の木箱を運んできた。いや、正確に言えばヴィレムが一人で魔術を使って運び込んだ。
これでもか、とばかりに屋台の脇に積まれていく木箱を見つめながら、さすがに俺は呆れた声を上げる。
「あら、足りないくらいよ?」
姉、アリーダはにやりと笑って胸を張る。「ヴィレムがお仲間に宣伝してくれたって言うから! きっと、お昼時は大変よ?」
「姉さんはすぐそうやって楽観視する……」
俺が深いため息をこぼしながら、木箱から次々と野菜やら肉やら取り出していくと、ヴィレムが苦笑しながら口を挟む。
「いや、本当に宣伝しておいたから。ここの屋台は凄く美味しいって」
「ま、美味しいのは事実だけどさ」
ちらりと横目で見たヴィレムは、いつの間にか姉さんに腕を絡めとられている。何だよこれ、俺は何を見せされているんだ。いちゃつくなら他のところでやってくれよ。
「でも、本当に顔色よくなりましたね」
そろそろ店の前に人通りが増えてきたから、俺は口調を敬語に切り替えた。俺は売り子、女の子、という設定なのだ。疑われるのはちょっとまずい。財布の紐を緩めてくれる男の客が減る。
「そうだろう? 俺も意外なんだけど」
ヴィレムは少しだけ困惑したように首を傾げつつ、俺の手元を見つめる。どうやら俺の料理の手際の良さに感心しているようだ。
「何だか、魔力量が増えた気がするんだ。やっぱり、食事の量が関係してるのか……」
「昨晩はわたしが愛情をこめて料理を作ったからね。その愛情の分、栄養が増えてるんでしょ」
姉さんはお気楽である。
ヴィレムもまた、照れたように目元を赤く染め、そうだな、なんて笑う。
くっそ!
俺は理不尽な想いを料理にぶつけ、どんどん肉を焼き、パンを焼き、展示ケースに積んでいく。
そして気づいたんだけど。
「何か、妙に野菜が大きくない?」
俺は手に取ったキャベツが妙に身がしまってぎゅうぎゅうとしているのに、いつもより一回り大きいことに気づいて首を傾げた。そうして改めて他の野菜を確認すると、どれもこれも色が鮮やかで美味しそうだし大きい。
「そうなの! どれも朝採りらしいんだけど、全部そんな感じらしいわよ?」
「へえ……どうしたんだろ」
俺が首を傾げていると、遠くから人のざわめきが聞こえてくる。村の入り口の方だと思う。
「……難民、かな」
ヴィレムが表情を引き締めてそう呟くと、アリーダの頭を撫でてから屋台から離れていく。姉は一緒に行きたかったようだが、何か危険があると困るから、とやんわり押しとどめられていた。
そして事実、予想は当たったらしい。
後で聞いた話だが、どうやらとうとう領主様の近くに住んでいた人たちがうちの村にやってきたらしい。家財道具一式を持って逃げたはずが、途中で盗賊に襲われたりして着の身着のまま、という人たちも少なくなかったみたいだ。
それは同情するけれども。
畑を荒らすのは駄目だ。
放牧している家畜を盗もうとするのは駄目だ。
そんな感じで、ひと悶着あったらしい。村長さんと年配だけど腕に自信のある男たち、騎士様たちと魔術師たちがちょっと手荒に制圧した後で、そういった人たちは村にある犯罪者用の檻付きの家に放り込まれ、それ以外の善良な人たちは空き家に案内された。
そしてこれはこれから起こる騒動の前触れのようなもので。
次々と新しい客が到着することになったわけだ。
姉が予想した通り、昼時はかなり忙しかった。
難民と彼らのことを俺たちは呼んでいるものの、結構お金を持っている人たちが村になだれ込んでいるらしく、ここで生活するにあたって色々買い込んでいるみたいだ。そのついでに、俺の屋台から漂う香りに惹かれて店を覗いてくる。
だから、後から後から客がやってきて、俺の笑顔に騙されて多めに購入してくれる。その結果、俺が今までやってきた中で一番の売り上げとなった。
たまに俺の性別を知らない男に口説かれたけど、「ごめんなさい、わたし、女の子が好きなので」と満面の笑みで返すと、誰もかれもが変な顔をしながら引いてくれた。話が通じて何よりである。
で、そんな中でのこと。
夕方の時間になり、大量の食材がほとんど消えた頃になって、また村に新しい団体様が到着したらしい。俺は早めに店じまいをしていたので、野次馬根性で村の入り口に向かってみた。
門番の男たちに足止めされていたが、彼らは滅多に見ないほどの立派な黒い馬車に乗っていて、その後ろに続く荷馬車の群れを引き連れている。そこから見て取るに――。
「貴族だな」
いつの間にか、俺の背後には姉とヴィレムが立っていた。
俺と同じように、姉のアリーダも野次馬根性には定評がある。何か騒ぎがあれば一番に駆けつけるタイプだから、きっとヴィレムをここに引っ張ってきたのは姉だ。
「貴族?」
俺が気難しい表情のヴィレムの方を振り返ると、彼が『貴族』というものに対して苦手意識を持っているらしいことが解る。彼は黒い馬車の扉に彫られている金色の模様を見て、さらに眉根を寄せて続けた。
「あの紋章、見覚えがある。領主様、いや、領主様のところのクリステル様と仲が良かった……」
「クリステル様?」
俺とアリーダが首を傾げると、ヴィレムがどこまで話していいものか、と少しだけ悩んだみたいだったが、すぐに割り切ったような表情で頷く。
「新しく聖女様となったのがクリステル様というんだ。彼女は元々の聖女様の妹なんだが、もの凄く冷酷で意地が悪いと言われていた。そんなクリステル様と仲がいいご令嬢が、あの紋章付きの馬車でよくお屋敷にきていたんだが……まあ、性格は推して知るべしというか」
……何だか厭な感じの話だ。
「俺は前の聖女様に近づくことも許されない、身分の低い魔術師だったけれど、色々な噂だけは耳に入ってきた。前の聖女様……ヴェロニカ様はとても優しい人だったそうだ。だが、クリステル様とそのご友人に酷い扱いをされていたらしくてな。だから……ちょっと複雑というか」
それに続く、あまりこの村に来てほしくなかった、という言葉はとても小さく響いた。
「……神殿に行くまでの間だ! 日が暮れるから、一晩だけ一番いい宿を貸せと言っているだけだろう!?」
黒い馬車から降りてきた高圧的な男が、そんな叫びを上げているのが聞こえてくる。この村じゃ見ることのない、オーダーメイドらしい上質な黒い服。きっと、その上下一揃いでこの村で数か月生きていけるだけの金額になるんだろう。
開け放たれた馬車の扉の奥で、彼の妻らしき女性と、その娘らしい姿もあった。
しかし、その娘の方は――黒いヴェールを頭からすっぽりと被り、馬車の奥の方に寄りかかるようにして身体を震わせていた。
「まずい」
その娘を見たらしいヴィレムが、慌ててそちらに駆けだしていった。
「えっ? ヴィレム?」
慌てて彼の後を追おうとしたアリーダだが、鋭い声で「来るな!」とそれを押しとどめたヴィレムは、門番たちに向けてこう叫んだ。
「疫病持ちだ! 村長を呼べ!」
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