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番外 ブンタの就職体験
ブンタの伝説3
しおりを挟むコーバンは目の前で行われている攻防を信じられずにいた。
いや攻防と言うには一方的過ぎる攻撃の数々。
あの巨体から繰り出されているとは思えない程の、俊敏な動き。
両腕、噛みつき、尻尾による振り払い、息つく間もなく繰り出される攻撃は、常人であれば一撃とも避けることはできないだろう。
だというのに、ブンタは巨大な剣を背負ったまま、すべての攻撃を紙一重で避けている。
攻撃をしているのは竜の方だと言うのに、追い詰められているのもまた竜の方であった。
何十撃と繰り出された攻撃がやむと、竜は息を深く吸い込む。
その口元には火山のマグマを彷彿とさせるような紅々とした灼熱の炎が収斂していく。
誰もが知る竜の代名詞「ドラゴンブレス」。
その炎は鉄をも溶かし、人がまともにくらえば骨すら残らないと言われている、ドラゴンをドラゴン知らしめている攻撃。
実際にその姿を見ることは滅多にない。
なぜなら竜がその攻撃を使うときは、相手の力が自分に拮抗していると判断した時のみ。
軍隊などの討伐の際にも、竜はその力を使うこと無く倒されることは多い。
それはプライドの問題、自分が人間ごときにその力を使ってしまっては、生き延びたとしても他の竜にバカにされる。
同等の魔物同士の戦い、もしくは勇者やそれに準ずる伝説の人物との戦いでしか、その技を見ることはない。
つまり、ドラゴンは認めたわけである、ブンタを強敵と。
「今度こそ死んだ」と町の誰もが思った。
仮にブンタが何かしらの技でドラゴンブレスを凌いたとしても、その力の余波は町中にひろがり、一瞬にしてムーリオカは火の海となるだろう。
古代竜の目がブンタを見据える。
極限までに圧縮された炎は、チリチリと周辺の空気をも焦がしている。
「GRYAAAAAAAAAAAAAAAA!」
竜の咆哮が町に響き渡る。
それとともに解き離れた炎はブンタへと一直線に向かう。
直径2mはあるそれは、難なくブンタを丸ごと飲み込むだろう。
ブンタは迫りくる炎の球を見据え、背負った大剣を構えた。
その姿を見たコーバンは声を上げた。
「ば、馬鹿野郎、そんなでかいだけの剣じゃ・・・!!!」
触れた途端にその剣は溶かされてしまうだろう。
「師匠、お借りした武器、少しだけ使わせてもらいます!!」
ブンタの1m手前まで炎から来ると、大剣を勢い良く振るう。
炎は剣に接すると、刀身を溶かすと思いきや、その形を保ったまま空高く打ち上げられた。
解き離れた時以上の速度で空へと駆け上がっていくそれは、雲に丸い穴をあけ、みんなの視界から消えていった。
誰もが呆然としていた。
何より古代竜はあんぐりと口を開けたまま、炎が消えていった空をみあげている。
ブンタは大剣を再び背負い直すと、古代竜に向き合った。
「さて、今度は話を聞いてくれよ」
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番外編に関しては、一話あたり3000字前後で一気に終わらそうとしたのですが、
結局通常通りに戻ってしまいました。。。
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