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第4章 異世界からの訪問者
罠
しおりを挟む古代遺跡サンタワー。
その姿は外から見ることは出来ない。全てを山の中に隠しているため、見えるのは入口のみ。
元は草木に覆われていただろうが、何度も冒険者たちがやって来たためであろう入口はすっかり顕となっている。
2m四方の小さな入口は大理石に似た不思議な物体で出来ている。
「ちーちゃん、もう一回言っておくぞ。
中に入ったら必ずわたしの後ろにつくこと、決して先に行かない。
約束を破ったらすぐに外に連れ出すからな。」
「はーーーーい♪
しょーぶ、たのしみぃー♪」
勝負を単なる競争と勘違いしているちーちゃんはただワクワクしているようだった。
その周りをケルベロスが跳ね回る姿は、実にほのぼのしている。
死蔵依頼リストとなっている古代遺跡前なのに。
二人と一匹が入口を潜る。
日光が入ってこないというのに中は明るい。
照明がたかれているわけではない、壁自体が明るさをもっている。
「不思議な場所だねーアリスお姉ちゃん。」
「ああ、事前調査でも分かっていたがこれはかなり古い、超古代文明の遺跡だな。
世界が最も栄えていた時代の遺跡、今の文明を遥かに凌ぐと言われた『天涯の時代』。
実際に見るのは初めてだが、これは驚きだな。」
通路は遥か遠くまで続いており霞んで見えない。
山の頂上の広さからすれば、端が見えないなんてことはないはずだが、そこが古代遺跡の超文明。
(これは下手に迷えば二度と出れなくなる可能性があるな。。。)
アリスは気を引き締め、腰にぶら下げた布袋から赤いペンを取り出す。
そして壁に文字を書き始めた。
アリスは不思議そうにその様子を見ていた。
「何しているのお姉ちゃん?」
「こういったダンジョンでは迷いやすいからな、曲がり角ごとに目印をつけるのさ。
ほら、そっちにも他の冒険者がつけた印があるだろう。」
「ほんとーだ、たくさん落書きしてある!
ねーねー、ちーちゃんもかく!」
「こらこら、遊びじゃないんだ、それに落書きじゃない。」
アリスは苦笑いしながら通路を進んでいく。
剣を鞘に納めたまま、自らの前へ突き出し床や壁をコンコンと叩きながら慎重に罠を確かめる。
「いいか、ちーちゃん。
こうやって罠がないか確かめるんだ。
代表的な罠としては、矢、酸、そして落とし穴。」
そう言いながら剣先で床をこつりと叩いた瞬間。
アリスのうしろでガチャリと大きな音がした。
瞬間的に振り向いた視線の先では、ポッカリとあいた床、そこへ吸い込まれるように落ちていくちーちゃんとケルベロス。
「あれっ?」
「・・・ちっ、ちーーーちゃーーーーんっ!!!」
ぽけーっとした顔をしながら、ちーちゃんは深い落とし穴の底へ落ちていった。
アリスも追いかけようとしたが、落とし穴は次の瞬間に閉じてしまう。
もう一度罠を作動させようとするが、何の反応もなく落とし穴は開かない。
アリスは汗をたらしながら、誰ともなくつぶやく。
「どどど、どうしよう。」
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ちーちゃんが解き放たれました。
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