おいでよ、最果ての村!

星野大輔

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第4章 異世界からの訪問者

さすが伝説の魔獣

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暗く狭い穴をひたすら落ちていくちーちゃんと、ケルベロス。
まるで底の見えないその暗がりはいつまでも続き、果てなきようにも感じられた。
一瞬かと思えれば永遠とも思える時間の感覚を失わせる空間。
暗く何も見えないため落ちていることも忘れそうだ。

・・・つまるところ、ちーちゃんは飽きていた。

最初は落下する面白さがあったが、それも延々と続けば暇にもなる。
いや普通であれば発狂するだろう異常な空間においても、ちーちゃんはちーちゃんであった。

「んーーー、いつまで続くんだろう、何だか飽きてきたねーケロちゃん。」
「あんっ!」

主人が困っているのを感じたケルベロスはすぐ行動に移す。
ここ最近良いところを見せてないとは言え、仮にも伝説の魔獣。
この異常な空間が何なのかを、生まれ持った鋭敏な感覚で察知していた。
真理の力の一端を借りた歪曲空間、魔法に近似した古代科学の技術である。

全ての力は元を辿れば源は同じ。
魔獣が行使する魔力を以てすれば破ることは容易い。
ついに活躍のときがきた。

久方ぶりに変身を解くと、自分でも忘れそうだった畏怖すべき伝説の魔獣の姿があった。

「グルルルルルゥゥ!!!!」

常時溜め込んでいた魔力を全身に漲らせる。
漏れ出し行き場を失った力は背中の毛をたたせながら、ばちりばちりと放電する。
すべての力を両爪へ集める。
魔力が篭った両爪は暗闇に於いて眩しく光り輝く。

「わー、ケロちゃんすごーい、ピカピカしてるっ!」

ケルベロスは何もない空間に両爪を振りかざす。
するとカーテンの隙間から漏れ出るような光が空間を照らす。
光の洪水に押されるように暗闇の空間は押し流される。

「うにゃっ!」
「がうぅ!」

突然現実世界へ放り出されたちーちゃんはお尻から地面へ着地。
ケルベロスはさすが犬っころ、くるりと華麗に着地する。

「いたたた・・・。」

辺りを見渡すと入口付近の様子とは異なり、自然に出来た洞窟そのもの。
奇しくも落とし穴の空間を破った先は古代遺跡の深層だった。
そしてそこはちーちゃんたちを囲むように、見渡す限りゴーレムで埋め尽くされていた。

一体のゴーレムが歩み出る。

「ヨクゾ、アノ罠ヲ破ルコトガ、デキタナ。
 シカシ主ハ万ガイチノ事ヲ考エ、出現スル場所ニ我々ヲ配置シタ。
 貴様ラノ命モココマデ。」

数はチカラ。
かつてのケルベロスも一国を滅ぼしたが、多くの冒険者たちによって数で押され疲弊し敗れた。
それほどまでに数は恐ろしい。
数千に及ぶであろうゴーレムたちを相手にしては、ケルベロスと言えど無傷では済まないだろう。

「もしかして、これもしょーぶってやつ?」

しかし、それはケルベロスであった場合。

「じゃあ、いっくよーーー!」


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