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臨終録X1
鎌田 春
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臨終録_No.013
■氏名:碇 陸
■性別:男
■年齢:35歳
■死亡理由:
営業を終え下丸子駅を降り、会社へ戻る道。地元の旧友たちに比べれば良い給料を貰っているが、生き急ぐ都会の競争社会に揉まれていると、家のそばを流れる穏やかな阿武隈川が懐かしく思える。
これほどまでに精根尽き果ててまで稼ぐお金に一体何の意味があるのだろうと、だからといってこの先に明確な展望があるわけでもないわけであり、やはり今まで通りの日常を送るのだろうと、未来を思考するのをやめた。
ぼんやりと街路樹を眺めながら歩いていた、その時、世界は変わった。
リフ北部に広がるダル砂漠。オルランド聖国南部にまで達する大砂漠は、旅慣れたキャラバンを以てしても、越えることの出来ない死の砂漠と呼ばれていた。
黒でしあげられた営業職の戦闘服は天から照りつける盛大な日差しの熱を余すことなく吸収する。彼は上着を脱ぎ頭に被ると、砂以外のものを探し求め、歩みはじめた。
日が傾くと温度は一気に下がり、彼から体温を奪い始めた。どれだけ歩いても砂漠以外の気配はなく、精根尽き果てた彼は、少しでも寒さから逃れようと砂に身を埋めた。
人口の光が一切ない闇夜には、見たこともない配列で並ぶ星々があった。似ても似つかないその星々を眺めながら、意識を手放していった。
翌朝、彼が目覚めることはなかった。
■生存日数:2日
■氏名:碇 陸
■性別:男
■年齢:35歳
■死亡理由:
営業を終え下丸子駅を降り、会社へ戻る道。地元の旧友たちに比べれば良い給料を貰っているが、生き急ぐ都会の競争社会に揉まれていると、家のそばを流れる穏やかな阿武隈川が懐かしく思える。
これほどまでに精根尽き果ててまで稼ぐお金に一体何の意味があるのだろうと、だからといってこの先に明確な展望があるわけでもないわけであり、やはり今まで通りの日常を送るのだろうと、未来を思考するのをやめた。
ぼんやりと街路樹を眺めながら歩いていた、その時、世界は変わった。
リフ北部に広がるダル砂漠。オルランド聖国南部にまで達する大砂漠は、旅慣れたキャラバンを以てしても、越えることの出来ない死の砂漠と呼ばれていた。
黒でしあげられた営業職の戦闘服は天から照りつける盛大な日差しの熱を余すことなく吸収する。彼は上着を脱ぎ頭に被ると、砂以外のものを探し求め、歩みはじめた。
日が傾くと温度は一気に下がり、彼から体温を奪い始めた。どれだけ歩いても砂漠以外の気配はなく、精根尽き果てた彼は、少しでも寒さから逃れようと砂に身を埋めた。
人口の光が一切ない闇夜には、見たこともない配列で並ぶ星々があった。似ても似つかないその星々を眺めながら、意識を手放していった。
翌朝、彼が目覚めることはなかった。
■生存日数:2日
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