彼女はオタク男

tsuusan

文字の大きさ
14 / 14

ずっと大好き

しおりを挟む
愛は、部屋に入ると、そのままベッドに横になる。
天井をみつめ、アイリのことを思い出していた。

愛は悲しくなり、涙が溢れてくる。

そんな辛く、苦しい時、あいつが現れた。


大魔道師カナ・エール

愛を見下ろしながら語りかける。
カナ・エール「素晴らしい顔をしているではないか。」

愛は飛び起き、カナ・エールを見る。

カナ・エールは、満足そうに愛に語りかける
カナ・エール「魂からの叫び良かったぞ」

そう言って、カナ・エールは、なにかを愛に渡した。

愛は、無気力にそれを受けとる。

カナ・エールは消えていった。

愛はカナ・エールから渡されたものを見る。

それは、ボイスレコーダーだった。
愛は、何も考えず再生ボタンを押した。

ボイスレコーダーから聞こえてくるのは、桜庭ゆうまともう一人の声。

愛は、その内容を聞いて憤る。

アイリの純粋な心は、桜庭ゆうまに利用され、遊ばれたあげく、捨てられた。

愛は、心をかきむしられる。

怒りの感情のなか、アイリの笑顔を思い出す。悲しくなって、切なくなり、アイリへの申し訳なさの気持ちでいっぱいなった。

どうしてアイリにあんな事言ったんだろう

どうしてアイリを信じなかったんだろう

大道さんも鬼怒先生も、アイリの事、信じてたのに

愛は、アイリに謝りたい。そう思い、夜が明けるのを待った。



そして次の日の朝


愛は本社に向かう。大道マネージャーを、ロビーに呼び、ボイスレコーダーを渡す。

大道がなにこれ?と聞くまえに、愛は、焦った様子で、大道に、質問する。
愛「今すぐ、アイリと連絡とれませんか?」

大道は、昨日、アイリのマネージャーから相談されたことを愛に伝えた。
大道「昨日、アイリが辞めるって言ってきたそうだ。入ってる仕事も白紙にしてくれと。アイリにお前…」

愛はその言葉を聞いた瞬間走り出す。漠然と駅に向かった。


周りの人が愛に気づき声をかけてくるが、それをふりきり、がむしゃらに走った。

愛は、駅のなかをひたすらに探す。
アイリが駅にいるなんて保証はない。
ただ、アイリに会いたい一心で愛はアイリを探した。


愛が駅のホームまで探しに行った時、その願いが叶った。


アイリが寂しそうに、ぽつんと一人立っていた。


愛は、大声でアイリを呼んだ。


アイリは驚いて、愛のほうを見る。

愛は、アイリに駆け寄り、力強く抱きしめた。
溢れでる涙とともに、心から謝る。
愛「アイリ、ほんとにごめん。ごめんね。」


アイリは、愛が来たことに戸惑う。
アイリ「愛さん、なんでここに?」


アイリの質問を無視して愛は泣きながらお願いした。
愛「アイリ、アイドル辞めないで」

アイリはその、お願いを受け入れなかった。
アイリ「もう…いいよ…」
愛はその言葉を聞いてさらに声をあげる。
愛「そんな事言わないで。お願い。」

アイリは優しく愛に気持ちを伝えた。
アイリ「私…、アイドルに向いてないよ。夢は諦めたの…。」

愛は、泣きながら、説得を続けた。
愛「アイリは、アイドルだよ。ずっと…ずっと大好き。これからもずっと… だから辞めないで!」


愛が叫んだ瞬間
まばゆい閃光が辺りを照らす。

人々の記憶から、人気アイドル平間 愛は消えて、なにも残らなかった。

愛という存在は、完全に初めからいない…。

そう上書きされた。




気付くと愛は、部屋にいた…。

大魔道師カナ・エールが、愛をじっと見ていた。


愛に、カナ・エールは問いかける。
カナ・エール「お前の望む姿を言え」


愛はカナ・エールを睨んで言った。

愛「アイリをずっと、ずっと大好きなオタク男になりたい!」



閃光が走る。


愛は、無意識に胸を揉んでいた。

柔らかくて、大きな胸は、なくなっていた。

愛は、全身鏡をのぞく。

鏡の中には、油てかてかオタク男、平間ひろしの姿だった。


大魔道師カナ・エールは、いつもより力強く、ひろしの顔面に、唾を飛ばす勢いで言った。

「まっじきんもちわるぅ。 くっさいし。」


吐き捨てて、カナ・エールは消えた



平間ひろしは、ふと思いだす。
アイリのグッズ全て捨ててしまったことを…。


アイドルオタク男、平間ひろしは、大好きなアイドル、加藤アイリのグッズを求めて、となり街へ向かった。



終わり

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...