妹プロIFストーリー 柚希END

白石マサル

文字の大きさ
20 / 51

第20話

しおりを挟む
 俺が必死に逆ナンではない事を説明していると水瀬が

「がっちゃん…小川さんに変な事聞かれなかった?」

 と、少し慌てた様な感じで聞いてきた。
 う~ん、恋バナとかの話はしない方がいいよな。

「昨日何話したの? って聞かれただけだよ」
「う、うん」

 水瀬は俺の答えを聞いて安堵した様に息を吐いた。
 だが俺達の会話を聞いていた他の連中が食いついてきた。

「なに? 昨日あれから何かあったの?」
 
 と水樹がからかうようなトーンで聞いてくる。

「いや何も無いって。さっき話した通り部活の事とか話してただけだから」

 という俺の答えに女子達は

「ふ~ん」
「へ~」

 と意味深な微笑で返事をしていた。
 本当に何もないんだけどなぁ。
 と、そこで中居が

「部活っていえば今日からだよな。めんどくせぇ」

 と面倒くさそうに言う。
 それに同調するように他のメンツも

「うわ~だるい~」
「あまり放課後遊べなくなっちゃうね」
「今年こそ予選突破できるっしょ!」

 と部活への不満や意気込み等を言っている。
 不満は言ってるけどキチンと部活をやってるから凄いな。
 俺なんて万年帰宅部だし。
 そんな事を考えていると新島が

「佐藤君は部活に入ったりしないの?」

 と聞かれた。
 運動神経は悪い方ではないが、今まで人間関係が嫌で部活には入らなかった。

「ん~、今は脱ヲタというか、自分を変えるので精一杯かな」

 と正直に答える。

「そっかぁ、頑張ってね! 応援してるから」
「ありがとう」

 応援して貰えるのはありがたいな。モチベーションが上がる。
 例えそれが社交辞令であっても……。
 おっと、いけないいけない。いつものネガティブが出てしまった。
 ここは言葉通りに受け取っておこう。
 と思考を前向きに変えた所で昼休憩の終わりのチャイムが鳴る。
 それぞれが自分の席に戻る中、水瀬だけが残って及川に見られない様に耳打ちしてきた。

「あとで話があるから授業終わったら教室に残ってて」

 と言い自分の席に戻っていった。
 吐息の感触が耳に残って俺の心拍を早める。
 話があるから教室残っててってもしかして告白的な感じですか?
 いやいや、そんなはずがないだろう。昨日知り合ったばかりだぞ!
 でも昨日じーっと見られてた気がするんだよなー。
 違う違う! それは俺が噂の張本人だったから気になっただけだ!

 結局俺は自問自答を繰り返し、午後の授業は手に着かなかった。
 そして全ての授業が終わり、それぞれ部活の準備や帰宅する生徒で賑やかになる。
 本来なら俺も帰宅の準備をして我先にと帰る所だが今日はそうはいかない!
 水瀬から教室に残って要る様に言われているからだ。
 落ち着かない心臓を落ち着かせようと深呼吸をしていると

「あれ? 佐藤は帰らないの?」

 と及川に突っ込まれてしまった。
 この場合何ていえばいいのだろうか?
 水瀬と待ち合わせているのはきっと秘密だろうし。

「えっと、図書室にでも行こうかなと思って」
「ふ~ん、じゃあまた明日ね」
「うん、また明日」

 ふう、何とか誤魔化せた。
 と思った矢先、今度は中居、水樹、田口の男子グループに声を掛けられた。

「あっれ~佐藤君帰らないの~?」

 田口がチャラい感じで言ってくる。

「ああ、図書室に寄ってこうと思って」

 と及川に言った事と同じ事を言うと

「ぶはっ、図書室って似合い過ぎだろ」

 と中居がからかう様に言ってきた。
 まぁ所詮俺だからな。
 と、自虐していると水樹が中居に向かって少し強い口調で

「和樹、それは言い過ぎだろ。友也だって頑張ってんだからさ」
「ちっ、わかってるっつーの。わるかったな佐藤」

 中居が素直に謝るなんて! と思うのは失礼か。
 中居は確かにカーストトップだが暴君ではないからな。
 
「あ、ああいいって。こんな事で落ち込んでたら自分は変えられないしな」

 という俺の言葉を受けて

「マジで変わったな。まぁ、頑張れよ」

 と中居からも応援された。
 やっべ、中居って実はツンデレなのか? なんて思っていると

「わるかったな、別に和樹に悪気があったわけじゃないんだ、許してくれ」

 と何故か水樹が謝って来た。
 さっきの中居への態度といい、実は水樹が影のトップなんじゃ……。

「っつーか昨日聞き忘れたんだけど連絡先交換しね?」
「あーそれいいわ~。俺も佐藤君の連絡先知りたいかも! ほら、和樹も交換しようぜ~」

 そう言えば女子の連絡先は全員知ってるけど男子はまだ誰とも交換してなかったな。

「んじゃ、これが俺のね」
「これが俺のね~」

 水樹、田口と連絡先を交換し

「な、中居も交換しようぜ?」

 と俺から声を掛け、自分のQR画面を見せる。

「ま、俺だけ交換しない訳にはいかないからな」

 と言いながらコードを読み取る。
 全員が交換し終わった後

「んじゃ俺達は部活行くからよ」

 と言って部活に向かった。
 中居は悪い奴じゃないんだけど言葉遣いや雰囲気が元ぼっちにはキツイな。

 俺達が連絡先を交換している間に教室には誰も居なくなっていた。
 ここで水瀬の言葉が脳裏をよぎる。
 話ってなんだろう。

 期待と不安で俺の心臓は今にも破裂しそうだ。
 授業終わったらと言っていたが、水瀬も部活があるはずだからそんなに待たないだろう。
 と考えていたその時、水瀬が教室に姿を現した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...