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第50話
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私は今何て言った?
部屋の前で盗み聞きをして、沙月ちゃんとお兄ちゃんがそういう会話が聞こえてきて……無意識に部屋に飛び込んだ。
その後に沙月ちゃんと口論になって……それから――――
『お兄ちゃんの事が好きなんだから!!』
そうだ……お兄ちゃんを盗られたくない一心で――――
「柚希……今のって」
お兄ちゃんは状況が理解出来ないといった感じで見つめている。
それもそうだ。突然妹からあんな事言われたら混乱するに決まってる。
「やったね柚希ちゃん。やっと言えたじゃん!」
沙月ちゃんが嗜虐的な笑みを浮かべながら私の肩をポンッと叩く。
ハメられた! きっと私が部屋の外で話を聞いてると踏んで沙月ちゃんは最初からこうなる様にお兄ちゃんに色仕掛けしてたんだ!
「っ!」
「柚希ちゃん!」
「ちょ、待てよ!」
どうしよう! どうしよう! どうしよう! どうしよう!
言うつもりは無かったのに! 妹として傍にいようって決めてたのに!
幾ら沙月ちゃんに煽られたからってあんな事言っちゃうなんて!
「はぁ、はぁ……ここは?」
お兄ちゃんから逃げる事しか考えて無かったから、いつの間にか公園に辿り着いちゃった。
でも、ここまで来れば流石に見つかんないよね……。
「はぁ……これからどうしよう」
ベンチに腰を下ろすと、つい言葉が漏れてしまった。
「ビックリしてたなぁ……」
そりゃそうだよね。実の妹が異性として兄を好きだなんて思ってもみないだろうし。
はぁ……流石に嫌われちゃったよね……。
「柚希! ハァハァ……やっと見つけたぞ」
「お兄ちゃん!?」
目の前には息を切らしながらも必死な形相で私を睨むお兄ちゃんが立っていた。
思わずまた逃げ出そうとするがお兄ちゃんが立ち塞がる。
「どいてよ!」
「嫌だ!」
私を逃さないといった感じで真っ直ぐ私の目を見てくる。
やめて……そんな目で見ないで……。
真剣な眼差しに思わず目を逸らす。
「何で逃げたりしたんだ?」
「……それは」
「それは?」
「私……が……気持ち悪い……妹だから」
今にも風にのって消えてしまいそうな程弱々しく答える。
もうイヤだ……こんなの地獄だよ……
「どうして気持ち悪いと思ったんだ?」
「どうしてって……」
もしかして……もう一度言わせようとしてる?
お兄ちゃんってこんなに残酷だったかな?
もしかして私を笑い者にしようとしてる?
アハハッ! ――――だったら思いっきり嫌われてやる!
「私はお兄ちゃんの事が好き! 血の繋がったお兄ちゃんの事が男として好きなの! どう? 気持ち悪いでしょ!」
言った! 言ってやった――――これで何もかもお終いだ……。
あれ? 何の反応も無い。
私が開き直ったから驚いてるのかな?
そう考えていると、お兄ちゃんはぐるりと公園内を見渡してから口を開いた。
「この公園に来るのは久しぶりだな」
へ? 何言ってるのお兄ちゃん?
「昔は二人でよく遊んだよな」
なんで今そんな話をしてるの?
「柚希は人見知りだったからいつも俺の陰に隠れてたなぁ」
なんなの? お兄ちゃんが何を考えているか分かんない。
「俺はその頃からだったなぁ」
そう言いながら私に向き直る。
真っ直ぐ私の目を見つめてきたので思わず聞き返してしまった。
「な……なにが?」
恐る恐る問いかけると、お兄ちゃんは照れたように笑う。
「柚希のことを好きになったんだ」
へ? 私のことが好き?
いやいや、そうじゃない。妹として好きって事だ。
何を期待してるんだ私は!
「妹としてでしょ? 私とはちが――」
「一人の女の子として好きになったんだ」
そう言って私を見るお兄ちゃんの目は真剣そのものだった――
部屋の前で盗み聞きをして、沙月ちゃんとお兄ちゃんがそういう会話が聞こえてきて……無意識に部屋に飛び込んだ。
その後に沙月ちゃんと口論になって……それから――――
『お兄ちゃんの事が好きなんだから!!』
そうだ……お兄ちゃんを盗られたくない一心で――――
「柚希……今のって」
お兄ちゃんは状況が理解出来ないといった感じで見つめている。
それもそうだ。突然妹からあんな事言われたら混乱するに決まってる。
「やったね柚希ちゃん。やっと言えたじゃん!」
沙月ちゃんが嗜虐的な笑みを浮かべながら私の肩をポンッと叩く。
ハメられた! きっと私が部屋の外で話を聞いてると踏んで沙月ちゃんは最初からこうなる様にお兄ちゃんに色仕掛けしてたんだ!
「っ!」
「柚希ちゃん!」
「ちょ、待てよ!」
どうしよう! どうしよう! どうしよう! どうしよう!
言うつもりは無かったのに! 妹として傍にいようって決めてたのに!
幾ら沙月ちゃんに煽られたからってあんな事言っちゃうなんて!
「はぁ、はぁ……ここは?」
お兄ちゃんから逃げる事しか考えて無かったから、いつの間にか公園に辿り着いちゃった。
でも、ここまで来れば流石に見つかんないよね……。
「はぁ……これからどうしよう」
ベンチに腰を下ろすと、つい言葉が漏れてしまった。
「ビックリしてたなぁ……」
そりゃそうだよね。実の妹が異性として兄を好きだなんて思ってもみないだろうし。
はぁ……流石に嫌われちゃったよね……。
「柚希! ハァハァ……やっと見つけたぞ」
「お兄ちゃん!?」
目の前には息を切らしながらも必死な形相で私を睨むお兄ちゃんが立っていた。
思わずまた逃げ出そうとするがお兄ちゃんが立ち塞がる。
「どいてよ!」
「嫌だ!」
私を逃さないといった感じで真っ直ぐ私の目を見てくる。
やめて……そんな目で見ないで……。
真剣な眼差しに思わず目を逸らす。
「何で逃げたりしたんだ?」
「……それは」
「それは?」
「私……が……気持ち悪い……妹だから」
今にも風にのって消えてしまいそうな程弱々しく答える。
もうイヤだ……こんなの地獄だよ……
「どうして気持ち悪いと思ったんだ?」
「どうしてって……」
もしかして……もう一度言わせようとしてる?
お兄ちゃんってこんなに残酷だったかな?
もしかして私を笑い者にしようとしてる?
アハハッ! ――――だったら思いっきり嫌われてやる!
「私はお兄ちゃんの事が好き! 血の繋がったお兄ちゃんの事が男として好きなの! どう? 気持ち悪いでしょ!」
言った! 言ってやった――――これで何もかもお終いだ……。
あれ? 何の反応も無い。
私が開き直ったから驚いてるのかな?
そう考えていると、お兄ちゃんはぐるりと公園内を見渡してから口を開いた。
「この公園に来るのは久しぶりだな」
へ? 何言ってるのお兄ちゃん?
「昔は二人でよく遊んだよな」
なんで今そんな話をしてるの?
「柚希は人見知りだったからいつも俺の陰に隠れてたなぁ」
なんなの? お兄ちゃんが何を考えているか分かんない。
「俺はその頃からだったなぁ」
そう言いながら私に向き直る。
真っ直ぐ私の目を見つめてきたので思わず聞き返してしまった。
「な……なにが?」
恐る恐る問いかけると、お兄ちゃんは照れたように笑う。
「柚希のことを好きになったんだ」
へ? 私のことが好き?
いやいや、そうじゃない。妹として好きって事だ。
何を期待してるんだ私は!
「妹としてでしょ? 私とはちが――」
「一人の女の子として好きになったんだ」
そう言って私を見るお兄ちゃんの目は真剣そのものだった――
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