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第六章~選択~
初恋相手
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楓はドアの入り口で立ち尽くし、日記と俺を交互に見ている。
「ご、ごめん! 見るつもりじゃなかったんだけど、写真が落ちて、それで」
と自分でも苦しいと思う言い訳を言うと、意外な反応が返ってきた。
「あ~あ、見つかっちゃったか」
「怒らないのか?」
「怒ったりはしないけど勝手に日記見るのは感心しないな~」
「ホントにごめん!」
「あはは、冗談だよ~。友也君なら寧ろ読んで欲しいかな」
「じゃあ、日記に書いてある事って……」
「全部本当だよ」
それじゃあやっぱり楓が初恋の相手なのか!
去年の俺は何で話しかけてきた女子が楓だと気づかなかったんだ!
それよりも楓になんて言えばいいのか……。
俺が黙ってしまったので怒っていると勘違いした楓が謝って来る。
「ごめんね、勝手に写真撮ったりして気分悪くしちゃったよね……」
俺は慌てて否定する。
「そんな風に思ったりしてないよ、その逆なんだ」
「逆って?」
俺は楓の方に向き直り、頭を下げた。
「ごめん! 今まで文化祭の時の女子が楓だって気づかなかった!」
「ちょ、頭あげて!」
楓は俺の元まで来て肩に手を添えながら
「私は全然怒ってないから気にしないで」
と言ってくれた。
だが問題はそこじゃない。
「実は……」
楓に一から説明した。
「学校中探したけど結局その時の子は見つからなかったんだ」
俺の話を聞いて楓は困惑している。
「自分で言うのもなんだけど、私って結構有名だったと思うからすぐ見つかると思うんだけど」
「そこなんだよ。俺に話しかけてきた子は黒髪ロングで眼鏡かけてたんだ」
そこまで言うと、楓は「あっ!」と言ってスマホを操作しだした。
そして
「その女の子ってこの子じゃない?」
とスマホの画面を見せられる。
そこには去年俺に話しかけてくれた女子が映っていた。
「そう! この子だよ! 知り合いなのか?」
「えっと、知り合いっていうか……私です」
「ふぇ?」
突然お告白に変な声が出てしまった。
写真の女の子が楓?
楓は有名人だったから知っていたが写真の様な容姿ではなく、今と余り変わっていなかった。
「楓の事は去年から知ってたけど黒髪とかじゃなかっただろ?」
「文化祭の出し物がメイド喫茶で、写真の髪はウィッグで眼鏡は伊達メガネです」
「じゃあ俺に話しかけてきた時はコスプレしてたって事か」
「多分。制服に着替えたけどウィッグとかつけっぱなしで帰ったりしてたから」
そういう事だったのか。
どうりで学校中探しても見つからなかった訳だ。
と、一人で納得していると
「友也君はこういう見た目の方が好みなの?」
と不安そうに聞いてくる。
俺の初恋がコスプレした姿で動揺しているのだろう。
「いや、外見で好きになった訳じゃないんだ。こんな俺にも優しくしてくれて、それで好きになっちゃったんだよね。そう考えると俺ってチョロイな」
今考えると確かにチョロイな。
少し優しくされたくらいで好きになるなんてな。
「そうしたら新学期に佳奈子と話してた時はどうなの? 好きになったりしてた?」
「あれは自分から話しかけたし、リア充デビューで頑張らないととか思ってたからそんな余裕はなかったな」
それを聞いて安心している楓に質問する。
「でも楓も俺と話した時初めて会ったみたいに接してきたじゃん。どうして?」
「だって私の事覚えてなかったんだもん! だから少し意地悪しちゃった」
そりゃ気づかないよ。
写真と実物が違い過ぎる。
「それで柚希と手を組んだのか」
「ごめんなさい」
「謝らなくてもいいって、付き合う時にも言ったろ?」
「うん、ありがとう」
何にしても俺の初恋が実っていたとは。
でも今は別れちゃってるんだよな。
そしてミナミの気持ちを知って揺れてしまっている。
今日は楓のアピールの日なんだからこんな事話してる場合じゃなかったな。
「そういえば今日は楓のアピールの日だけど何か予定とかあったんじゃないか?」
俺に指摘され「あっ! そうだった!」と何か思い出したらしい。
「料理は食べて貰ったから、耳掃除してあげる!」
耳掃除! カップルでも滅多にやらないという伝説の!
俺がソワソワしてるのを感じたのか、楓はくすっと笑って
「じゃあこっちに来て横になって」
と言いながら太腿をポンポンと叩く。
膝枕からの耳掃除! 男のロマン!
俺は言われるがままに横になり、楓の太腿の感触を味わっていると
「それじゃ始めるね~」
と言った後、耳かきを耳に入れた。
「あふぅ!」
なんだこれは! 自分でやるのとは全然違う。変な声出ちゃったよ。
「友也君感じやすいんだ~?」
と揶揄う様に言いながら耳を攻められる。
ああ、ヤバイ。病みつきになりそうだ。
その後、反対側もやって貰い至福の時間を過ごした。
耳かきの後は普通に雑談をしたが、ずっと膝枕をしながら頭を撫でられていた。
そして気づけば既に帰る時間になっていた。
そろそろ帰るよ。と伝えると
「最後にお願いいいかな?」
と言われたので
「いいよ、なに?」
と聞くと、俺との距離を詰めて
「抱きしめさせて」
と言いながら俺の返事を待たずに抱きしめてくる。
俺もそっと抱き締め返すと
「私は友也君の事諦めないからね」
と言って頬にキスをされた。
俺がキスされた頬を触りながら驚いていると
「えへへ、唇はまた付き合ってからね」
と弾ける様な笑顔で言われ、俺はドキッとさせられた。
「ご、ごめん! 見るつもりじゃなかったんだけど、写真が落ちて、それで」
と自分でも苦しいと思う言い訳を言うと、意外な反応が返ってきた。
「あ~あ、見つかっちゃったか」
「怒らないのか?」
「怒ったりはしないけど勝手に日記見るのは感心しないな~」
「ホントにごめん!」
「あはは、冗談だよ~。友也君なら寧ろ読んで欲しいかな」
「じゃあ、日記に書いてある事って……」
「全部本当だよ」
それじゃあやっぱり楓が初恋の相手なのか!
去年の俺は何で話しかけてきた女子が楓だと気づかなかったんだ!
それよりも楓になんて言えばいいのか……。
俺が黙ってしまったので怒っていると勘違いした楓が謝って来る。
「ごめんね、勝手に写真撮ったりして気分悪くしちゃったよね……」
俺は慌てて否定する。
「そんな風に思ったりしてないよ、その逆なんだ」
「逆って?」
俺は楓の方に向き直り、頭を下げた。
「ごめん! 今まで文化祭の時の女子が楓だって気づかなかった!」
「ちょ、頭あげて!」
楓は俺の元まで来て肩に手を添えながら
「私は全然怒ってないから気にしないで」
と言ってくれた。
だが問題はそこじゃない。
「実は……」
楓に一から説明した。
「学校中探したけど結局その時の子は見つからなかったんだ」
俺の話を聞いて楓は困惑している。
「自分で言うのもなんだけど、私って結構有名だったと思うからすぐ見つかると思うんだけど」
「そこなんだよ。俺に話しかけてきた子は黒髪ロングで眼鏡かけてたんだ」
そこまで言うと、楓は「あっ!」と言ってスマホを操作しだした。
そして
「その女の子ってこの子じゃない?」
とスマホの画面を見せられる。
そこには去年俺に話しかけてくれた女子が映っていた。
「そう! この子だよ! 知り合いなのか?」
「えっと、知り合いっていうか……私です」
「ふぇ?」
突然お告白に変な声が出てしまった。
写真の女の子が楓?
楓は有名人だったから知っていたが写真の様な容姿ではなく、今と余り変わっていなかった。
「楓の事は去年から知ってたけど黒髪とかじゃなかっただろ?」
「文化祭の出し物がメイド喫茶で、写真の髪はウィッグで眼鏡は伊達メガネです」
「じゃあ俺に話しかけてきた時はコスプレしてたって事か」
「多分。制服に着替えたけどウィッグとかつけっぱなしで帰ったりしてたから」
そういう事だったのか。
どうりで学校中探しても見つからなかった訳だ。
と、一人で納得していると
「友也君はこういう見た目の方が好みなの?」
と不安そうに聞いてくる。
俺の初恋がコスプレした姿で動揺しているのだろう。
「いや、外見で好きになった訳じゃないんだ。こんな俺にも優しくしてくれて、それで好きになっちゃったんだよね。そう考えると俺ってチョロイな」
今考えると確かにチョロイな。
少し優しくされたくらいで好きになるなんてな。
「そうしたら新学期に佳奈子と話してた時はどうなの? 好きになったりしてた?」
「あれは自分から話しかけたし、リア充デビューで頑張らないととか思ってたからそんな余裕はなかったな」
それを聞いて安心している楓に質問する。
「でも楓も俺と話した時初めて会ったみたいに接してきたじゃん。どうして?」
「だって私の事覚えてなかったんだもん! だから少し意地悪しちゃった」
そりゃ気づかないよ。
写真と実物が違い過ぎる。
「それで柚希と手を組んだのか」
「ごめんなさい」
「謝らなくてもいいって、付き合う時にも言ったろ?」
「うん、ありがとう」
何にしても俺の初恋が実っていたとは。
でも今は別れちゃってるんだよな。
そしてミナミの気持ちを知って揺れてしまっている。
今日は楓のアピールの日なんだからこんな事話してる場合じゃなかったな。
「そういえば今日は楓のアピールの日だけど何か予定とかあったんじゃないか?」
俺に指摘され「あっ! そうだった!」と何か思い出したらしい。
「料理は食べて貰ったから、耳掃除してあげる!」
耳掃除! カップルでも滅多にやらないという伝説の!
俺がソワソワしてるのを感じたのか、楓はくすっと笑って
「じゃあこっちに来て横になって」
と言いながら太腿をポンポンと叩く。
膝枕からの耳掃除! 男のロマン!
俺は言われるがままに横になり、楓の太腿の感触を味わっていると
「それじゃ始めるね~」
と言った後、耳かきを耳に入れた。
「あふぅ!」
なんだこれは! 自分でやるのとは全然違う。変な声出ちゃったよ。
「友也君感じやすいんだ~?」
と揶揄う様に言いながら耳を攻められる。
ああ、ヤバイ。病みつきになりそうだ。
その後、反対側もやって貰い至福の時間を過ごした。
耳かきの後は普通に雑談をしたが、ずっと膝枕をしながら頭を撫でられていた。
そして気づけば既に帰る時間になっていた。
そろそろ帰るよ。と伝えると
「最後にお願いいいかな?」
と言われたので
「いいよ、なに?」
と聞くと、俺との距離を詰めて
「抱きしめさせて」
と言いながら俺の返事を待たずに抱きしめてくる。
俺もそっと抱き締め返すと
「私は友也君の事諦めないからね」
と言って頬にキスをされた。
俺がキスされた頬を触りながら驚いていると
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と弾ける様な笑顔で言われ、俺はドキッとさせられた。
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