自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました

白石マサル

文字の大きさ
162 / 167
最終章~自己顕示欲~

出陣!

しおりを挟む
 真弓さんの過去を聞いて、そして何処か心当たりがないか聞いてみると、真弓さんは確信を持って
『あの場所にいる』と断言した。
 そも言葉を聞いて、俺と水樹の目の色が変わる。
 そして二人同時に真弓さんに詰め寄る。

「真弓さん! それは何処ですか!?」
「店長さん! その場所は何処なんですか!?」
「待て待て、落ち着け。今教える」

 興奮している俺達を宥めると、遂に真弓さんの口からその場所が明かされた。

「街の外れに廃校があるのは知っているか?」
「廃校……ですか」

 廃校と言われても俺にはピンと来なかったが、どうやら水樹には分かったようだ。

「元中学校で、夏場になると肝試しとかによく使われている廃校ですか?」
「ああ、その廃校だ。恐らく景山はそこに居る」
「分かりました。ありがとうございます!」

 お礼を言って立ち去ろうとする水樹……いや、この場の全員に向かって

「お前達だけで行くのか? 相手は何人居るかも分からんし、凶器を持ってる可能性だってあるんだぞ?」

 真弓さんの意見はもっともな意見だ。だけど

「そんな物は関係ありません。俺の、俺達の大切な人が攫われたんです。ここで助けに行かなきゃ男じゃないでしょ!」
「全く、友也も言う様になったじゃないか。警察には私から連絡しておく。くれぐれも先走った行動だけはするなよ」
「ありがとうございます!」

 今度こそ助けに行こうとすると、楓に止められた。

「待って友也君!」
「どうしたんだ楓、早く助けに行かないと」
「その事なんだけど私も一緒に連れてって!」

 俺が驚いていると、残りの女性陣も楓につられる様に口々に一緒に助けに行くと言い出す。
 そして及川が

「私は相手の車見てるからきっと役に立つよ!」

 と震える足で必死に自分も行くのだとアピールしてくる。
 確かに相手の車を直接見た及川がいれば犯人の車を見つけやすくなるだろう。

「ありがとう皆。だけど一緒に連れて行く訳にはいかない」

 俺の拒絶に激しく動揺する。
 そんな中、さっきまで冷静だった楓すらも食い下がってきた。

「どうして私達が行ったらダメなのかな? 二人を助けたい気持ちは本物だよ?」
「ああ、気持ちが本物なのは分かってる。だけど連れていけない」
「どうして?」
「相手は柚希と沙月を攫う様な奴等だ。何をしてくるか分からない。そんな所に連れてはいけない。それに万が一楓達の身に何かあった時、俺は責任を取る事ができない。楓ならその意味が分かるだろ?」
「……うん」

 俺の説明を受けて、楓は納得いかないけど納得したという様子で渋々頷いた。
 しかし、納得できなかった及川が食い下がって来る。

「私達だって役に立ちたいんだよ! 私達だって心配なんだよ!」
「及川、気持ちは嬉しいんだけどやっぱりダメだ」
「どうしてよ!」

 及川の食い下がりにどうしたもんかと悩んでいると中居が

「お前ら女は邪魔なんだよ。こっからは男の戦いだ」
「は? 何それ! 女だから連れてけないって事?」
「そうだ。佐藤が言ってた事を要約するとそうなる」
「それって女性差別じゃん!」

 俺が言葉を濁した事を中居はズバッと言いやがった。
 
「及川!!」
「な、何よ」
「俺達はお前達に傷ついて欲しくないんだ。もしお前が人質になったらと思うと怒りでどうにかなっちまいそうだ」
「中居……」
「佐藤と水樹は今まさにその状態なんだ。だから早く行かせてやれ」
「うぅ~~~~っ! 分かった、大人しく待つ! 佐藤!!」

 悩みに悩んだ末、及川は残る事を決断したと思ったら威勢よく俺の名前を呼ばれた。

「な、なんだ?」
「絶っっっ対二人を助けてきてね!」
「ああ、任せろ!」

 力こぶを作って自信満々に応える。
 そして俺は中居に

「中居、頼みがある」
「ぁん? なんだ? 喧嘩なら手加減しないぜ」
「いや、中居は女子達を家まで送っていってくれ」
「はぁ? 俺も助けに行くに決まってるだろ。女共は此処で待機でいいだろうが!」
「中居の言う事も一理ある。だけど……頼む! 中居だけが頼りなんだ!」

 そう言って俺は深く頭を下げる。

「……ったく、お前にそこまでされたら断れねぇな」
「中居……」
「なんてツラしてんだよ。女共は任せろ。その代わり俺の分も暴れてこい!」
「あ、ああ。暴れまくってくるよ。楓達は任せた」
「おうよ」

 中居の頼もしい返事を受けて俺と水樹は外に飛び出した。
 駐輪場に着き、水樹がバイクに跨りエンジンを掛ける。

「よし! 友也乗れ」
「ああ」

 及川の目撃情報から時間が経っている為、俺も急いで後部座席に乗る。

「なぁ、廃校って此処から遠いのか?」
「少し離れてるな。けどコイツで飛ばせばそんなに時間は掛かんねぇよ」
「ガッチリ捕まっとくから気にせず飛ばしてくれ!」
「オーケー! そんじゃ行くぞ!」

 こうして俺達は柚希と沙月を助けるべく、ファミレスを後にした。



 公道を暫く走った後、細い脇道に入りそして再び暫く走ると周囲には田んぼが広がっていた。
 自動車がやっと一台通れる位の道を進むと、うっすらと廃校らしき物が見えてきた。
 そして廃校がくっきりと見える位置まで来た時、水樹がバイクを止めた。

「どうしたんだ水樹? もうすぐで着くだろ?」
「だからこそ、此処からは徒歩で行こう。エンジン音で気づかれちまうからな」
「なるほどな。オッケ、分かった」

 バイクを落ちていたトタン板で隠し、俺達は最新の注意を払いながら廃校に向かった。
 

 廃校の傍までやって来たが、今のところ話声等は聞こえてこない。
 周囲を警戒しながら正門に行くと車が数台停まっていた。

「水樹、この車って……」
「ああ、店長さんの言った通りだったな」

 正門に停まっている車の何台かには、及川が言っていたステッカーが貼られていた。
 それに、俺が見た車も停まっている事から景山も此処に居るだろう。
 ここで一旦真弓さんに連絡を入れる事にした。

「もしもし佐藤です。真弓さんが言ってた通り廃校に車がありました」
「やはりか。こっちは警察が来て今及川さんから事情を聞いてる所だ」
「そうですか。こっちにはどの位で警察は来るんですか?」
「それが及川さんの話を聞いてからでないと動けないらしい」
「何なんですかそれは! 一刻も早く助け出さないと!」
「はやる気持ちはわかるが、及川さんの証言に信憑性がないと動けないらしい」
「くそ! だったら俺達だけで助けます!」
「待て友也! 早まった行動は……」

 真弓さんがまだ何か言っていたが、それを無視して通話を切った。
 ちくしょう! こういう時に警察が動かなくてどうするんだ!
 こうなったら俺達だけで助け出すしかない。
 
 真弓さんとの会話の内容を水樹に伝えると、水樹も俺に賛同してくれた。
 警察の対応が遅い以上、俺達が助けないと。

「どうする? 校舎の何処に居るか分からない」
「とりあえず一階から順番に見てくしかないな」

 周囲は田んぼに囲まれていて街灯も無い中、廃校には明かり一つ見当たらなかった。
 こうなると何処に隠れているのか分からないので、教室を一つ一つ確認していく事になった。

 俺達が校舎に忍び込んでからどの位の時間が経っただろう。
 今は三階まである教室の一番最後の教室の中に居る。

「全部の教室を見たけど影も形も無いな」
「チッ! あいつら何処に隠れてやがる」
「教室に居ないとなるとあとは体育館とかか?」
「そうだな。かなり時間食っちまったから忙がねぇと!」

 最後の教室も空振りで、急いで体育館に向かおうとした時、窓の外で光がチラついた。

「待て水樹!」
「どうしたんだ友也。早くしねぇと……」
「あれを見てくれ」
「ん? 窓の外に何……あれは!」

 三階の隅にある教室の窓から見えたのは、体育倉庫らしき場所に数人がたむろしている所だった。

「水樹!」
「ああ、行くぞ!」

 俺達は掃除用具入れから武器になりそうな物を持ち、体育倉庫に向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

迷子を助けたら生徒会長の婚約者兼女の子のパパになったけど別れたはずの彼女もなぜか近づいてくる

九戸政景
恋愛
新年に初詣に来た父川冬矢は、迷子になっていた頼母木茉莉を助け、従姉妹の田母神真夏と知り合う。その後、真夏と再会した冬矢は真夏の婚約者兼茉莉の父親になってほしいと頼まれる。 ※こちらは、カクヨムやエブリスタでも公開している作品です。

【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。

東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」 ──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。 購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。 それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、 いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!? 否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。 気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。 ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ! 最後は笑って、ちょっと泣ける。 #誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。

【本編、番外編完結】血の繋がらない叔父にひたすら片思いしていたいのに、婚約者で幼馴染なアイツが放っておいてくれません

恩田璃星
恋愛
蓮見千歳(はすみちとせ)は、血の繋がりのない叔父、遼平に少しでも女性として見てもらいと、幼い頃から努力を続けてきた。 そして、大学卒業を果たし千歳は、念願叶って遼平の会社で働き始めるが、そこには幼馴染の晴臣(はるおみ)も居た。 千歳が遼平に近づくにつれ、『一途な想い』が複雑に交錯していく。 第14回恋愛小説対象にエントリーしています。 ※別タイトルで他サイト様掲載作品になります。 番外編は現時点でアルファポリス様限定で掲載しております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級の美少女たちの攻防戦〜

沢田美
恋愛
「ごめんね、八杉くん」 中学三年の夏祭り。一途な初恋は、花火と共に儚く散った。 それ以来、八杉裕一(やすぎ・ゆういち)は誓った。「高校では恋愛なんて面倒なものとは無縁の、平穏なオタク生活を送る」と。  だが、入学した紫水高校には《楽園の世代》と呼ばれる四人のSSS級美少女――通称《四皇》が君臨していた。  • 距離感バグり気味の金髪幼馴染・神行胱。  • 圧倒的カリスマで「恋の沼」に突き落とす銀髪美少女・銀咲明日香。  • 無自覚に男たちの初恋を奪う、おっとりした「女神」・足立模。  • オタクにも優しい一万年に一人の最高ギャル・川瀬優里。  恋愛から距離を置きたい裕一の願いも虚しく、彼女たちはなぜか彼にだけ、見え見えな好意を寄せ始める。 教室での「あーん」に、放課後のアニメイトでの遭遇、さらには女神からの「一緒にホラー漫画を買いに行かない?」というお誘いまで。  「俺の身にもなれ! 荷が重すぎるんだよ!」  鋼の意志でスルーしようとする裕一だが、彼女たちの純粋で猛烈なアプローチは止まらない。 恋愛拒否気味な少年と、彼を絶対に攻略したい最強美少女たちの、ちょっと面倒で、でも最高に心地よい「激推し」ラブコメ、開幕!

俺をフッた幼馴染が、トップアイドルになって「もう一度やり直したい」と言ってきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な大学生・藤堂蓮には忘れられない過去がある。高校時代、告白した幼馴染の星宮瑠奈に「アイドルになるから」とこっ酷くフラれたことだ。 数年後、瑠奈は国民的アイドル『LUNA』として輝いていた。遠い世界の住人になった彼女との再会なんて、あるはずもなかった――そう、変装した彼女が俺の前に現れ、「もう一度やり直したい」と泣きつくまでは。 トップアイドルの立場を使い強引に迫る元幼馴染と、過去の傷。揺れ動く俺の日常を照らしてくれたのは、俺の才能を信じてくれる後輩・朝霧陽葵の存在だった。 俺をフッた幼馴染か、俺を支える後輩か。過去の清算と未来の選択を描く、ほろ苦くも甘い、逆転ラブコメディ、開幕。

処理中です...