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クラウス騎士団総長の死
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それは一瞬の出来事だった。ヘルミーナにはすぐには理解できなかった。自分が身を挺してクラウスをかばったはずなのに、なぜクラウスが自分の足元で、腹に大穴を開けながら地面に倒れているのかが理解できない
何故だ?!何が起こった?!
頭の中をいまだ整理できないヘルミーナの背後でジルの声がする。
「あーあ、そいつ死んじゃったね。まあオレらはあんたさえいればいいけどね。聖女があんたの命を助ける為に時間を止めてくれさえすればいいんだから」
聖女・・時間を止める・・・一体何のことだ?どうして私ではなく、クラウスが死にかけているんだ。
ボォーーーーーーーーン!!!
その時、王城の時計塔が12時を告げる鐘の音が響いた。その鐘の音に反応したギアがジルにいう。
「・・・時間だ、ジル。これであの方も動く。はやくそいつを連れてパーティー会場に行くぞ」
ヘルミーナは震える手でクラウスの手の中にある自分の剣をゆっくりとその指を開かせてとると、それを何とか握りしめた。それを見たギルが静かに、だがその言葉には抗えないほどの圧力を込めていう。
「やめておけ。お前の腕では勝てないことは分かっているだろう。無駄に痛い思いをする必要はない」
だがヘルミーナにはギアのその台詞は、頭に入っていなかった。涙が頬を絶え間なく流れ落ちていく。大事な人を失った絶望が彼女を支配している。
「クラウス・・・・クラウス・・・うぅ・・」
彼女は無言のままその剣を自らの喉元に突き付けた。視線はクラウスに合わせたまま、ギアとジルの方を見向きもせずに、小さな声で絞り出すように声を出す。
「私を連れて行くつもりなら、ここで自害する。貴様らは私の大事な人を奪った。最後に残されたわずかな時間まで奪うつもりなら、私はここで一緒に死んだ方がましだ。我が栄光の騎士団にかけて、我は仲間と永遠に共にある」
ヘルミーナは騎士団の儀式で必ず使われる文言を語って、その意思が揺るがないものだということを彼らに知らしめる。
「クラウス・・・クラウス・・目を開けてくれ・・」
自分の顔を流れているものが血なのか涙なのかわからないまま、横たわったまま身じろぎもしないクラウスを見つめる。その姿を見てジルが大きな溜息をつくと、ギアに向かっていった。
「仕方ない、ギア。こいつは本気らしい。ここは諦めよう。騎士ならまた見つかるさ」
「・・・・・・・」
「ギア?」
「あ・・・ああ・・そうだな。お前の言うとおりだ、ジル。あの方の元に急ごう。そこに聖女がいるはずだ」
ギアは何かに気を取られていたようだ。ジルの声で我に返ったギアは、ジルの考えに同意して、ヘルミーナの事は諦めることにした。鐘の音に合わせてあちこちで仲間が決起したようだ。王城のいたるところで戦闘が開始された音がする。
彼らはクラウスとヘルミーナを残しまま、殆ど破壊しつくされて瓦礫だらけの応接室から出てテラスに向かうと、そこから跳ぶように去っていった。
「ヘル・・・ミー・・ナ・・」
とても懐かしくて、とても愛しくて、とても大事な人の弱々しい声が聞こえる。ヘルミーナは喉元に突き付けていた剣を降ろすと、すぐにクラウスの傷を見た。どんなに優秀な医療魔術が使える者にでも治せないであろう致命傷であることは、すぐに見て取れた。
「クラウス・・・私を置いて逝かないでくれ・・・私を待っていてくれると約束したはずだぞ」
地面に身を横たえたまま、閉じようとする瞼を気力だけで開いて、少しでも長く愛するヘルミーナの姿を脳裏に焼き付けようとするクラウスの顔に、自らの顔を寄せる。
「・・・ヘル・・ミーナ・・。最後にキスを・・してくれないか・・・」
二人の唇の距離は3センチも離れていない。けれどもクラウスにはもう自分の頭を動かす力すら残っていなかった。ヘルミーナは泣きながら叫んだ。
「だめだ!!絶対にダメだ!!お前ならきっと大丈夫だ!だから必ず生きて私と結婚してくれ!お願いだ!」
「・・・我がミューズ・・君が無事でよかった・・・君だけは生きていてほしい・・」
「そんなのできっこない!お前がいないと私は一体誰を殴ったらいいというんだ!」
クラウスは優しく微笑むと、涙でぐちゃぐちゃになった彼女の頬を撫でた。
「私の首に・・・ついているネックレスを、セシリアに・・渡して・・くれ・・」
どうしてこんな時にネックレスなど気にするのか?しかも何故ここにセシリアの名が出てくる!?
ヘルミーナは混乱した頭で考えを巡らせた。答えは一つしかなかった。セシリアが王城で特別待遇を受けてまで、護衛騎士が付いたこと。アルフリード王子がセシリアに特別な感情を持っているみたいであること。襲撃者は聖女の命を狙っている。
「セシリアが・・・彼女が聖女なのか・・・クラウス。セシリアならお前を助けられるのか!そうなのか!このネックレス・・・これさえあれば、お前は助かるんだな!!」
ヘルミーナは最後の望みをかけて、クラウスに聞く。クラウスはそれには答えず、代わりに最後にとても安らかな微笑みを残すと、彼女を見つめたまま最後に息を吸ってすのまま息を止めた。その群青色の双眸には光が消えて、彼がもうこの世にはいないことをはっきりとヘルミーナに知らしめる。
「うぅぅ―――!!!ふぅっ!!クラウスぅぅぅ!!クラウス・・・!クラウス・・・」
彼女は愛する人の名を何度も何度もつぶやきながら、涙を流した。何度も何度も繰り返し、その名が唇から紡ぎだされる。決してもう二度と会うことのできない恋人の名を・・・何度も・・・何度も・・・つぶやいた。
どれくらいの時間が流れたのだろう。気が付くと、いまだ温かみを残しているクラウスの体が自分の涙で湿っているのが分かった。慌ててクラウスの制服のボタンを外し始める。
「あった!これだ!」
騎士団総長の制服の下から出てきたのは、銀のネックレスだった。ヘルミーナはそれを振るえる指でクラウスの首から外すと、未だ傷が癒えずに痛む体を無理やり起こして自らの剣を手に取った。
「クラウス、またすぐに会おう」
そうつぶやいてクラウスの死体の開いたままの目を指で優しく閉じると、最後に彼を振り向いていった。もう涙はとまっていた。
「必ず助ける!必ずこのネックレスを聖女に渡す!だからもう一度私の元に戻ってこい、クラウス!待ってるからな!そうしたらキスでも結婚でもしてやるから、覚悟していろ!!我が栄光の騎士団にかけて、我は仲間と永遠に共にある!!」
ヘルミーナはクラウスを応接室に残して、やるべき事をやる為に大量の血を失って力の入らない両足を、何とか動かして一歩一歩と歩みを進める。もう後ろは振りかえらなかった。頭の中はネックレスをセシリアに渡すことしかない。そうして彼女は全速力で駆け出した。最後の希望に向けて・・・。
何故だ?!何が起こった?!
頭の中をいまだ整理できないヘルミーナの背後でジルの声がする。
「あーあ、そいつ死んじゃったね。まあオレらはあんたさえいればいいけどね。聖女があんたの命を助ける為に時間を止めてくれさえすればいいんだから」
聖女・・時間を止める・・・一体何のことだ?どうして私ではなく、クラウスが死にかけているんだ。
ボォーーーーーーーーン!!!
その時、王城の時計塔が12時を告げる鐘の音が響いた。その鐘の音に反応したギアがジルにいう。
「・・・時間だ、ジル。これであの方も動く。はやくそいつを連れてパーティー会場に行くぞ」
ヘルミーナは震える手でクラウスの手の中にある自分の剣をゆっくりとその指を開かせてとると、それを何とか握りしめた。それを見たギルが静かに、だがその言葉には抗えないほどの圧力を込めていう。
「やめておけ。お前の腕では勝てないことは分かっているだろう。無駄に痛い思いをする必要はない」
だがヘルミーナにはギアのその台詞は、頭に入っていなかった。涙が頬を絶え間なく流れ落ちていく。大事な人を失った絶望が彼女を支配している。
「クラウス・・・・クラウス・・・うぅ・・」
彼女は無言のままその剣を自らの喉元に突き付けた。視線はクラウスに合わせたまま、ギアとジルの方を見向きもせずに、小さな声で絞り出すように声を出す。
「私を連れて行くつもりなら、ここで自害する。貴様らは私の大事な人を奪った。最後に残されたわずかな時間まで奪うつもりなら、私はここで一緒に死んだ方がましだ。我が栄光の騎士団にかけて、我は仲間と永遠に共にある」
ヘルミーナは騎士団の儀式で必ず使われる文言を語って、その意思が揺るがないものだということを彼らに知らしめる。
「クラウス・・・クラウス・・目を開けてくれ・・」
自分の顔を流れているものが血なのか涙なのかわからないまま、横たわったまま身じろぎもしないクラウスを見つめる。その姿を見てジルが大きな溜息をつくと、ギアに向かっていった。
「仕方ない、ギア。こいつは本気らしい。ここは諦めよう。騎士ならまた見つかるさ」
「・・・・・・・」
「ギア?」
「あ・・・ああ・・そうだな。お前の言うとおりだ、ジル。あの方の元に急ごう。そこに聖女がいるはずだ」
ギアは何かに気を取られていたようだ。ジルの声で我に返ったギアは、ジルの考えに同意して、ヘルミーナの事は諦めることにした。鐘の音に合わせてあちこちで仲間が決起したようだ。王城のいたるところで戦闘が開始された音がする。
彼らはクラウスとヘルミーナを残しまま、殆ど破壊しつくされて瓦礫だらけの応接室から出てテラスに向かうと、そこから跳ぶように去っていった。
「ヘル・・・ミー・・ナ・・」
とても懐かしくて、とても愛しくて、とても大事な人の弱々しい声が聞こえる。ヘルミーナは喉元に突き付けていた剣を降ろすと、すぐにクラウスの傷を見た。どんなに優秀な医療魔術が使える者にでも治せないであろう致命傷であることは、すぐに見て取れた。
「クラウス・・・私を置いて逝かないでくれ・・・私を待っていてくれると約束したはずだぞ」
地面に身を横たえたまま、閉じようとする瞼を気力だけで開いて、少しでも長く愛するヘルミーナの姿を脳裏に焼き付けようとするクラウスの顔に、自らの顔を寄せる。
「・・・ヘル・・ミーナ・・。最後にキスを・・してくれないか・・・」
二人の唇の距離は3センチも離れていない。けれどもクラウスにはもう自分の頭を動かす力すら残っていなかった。ヘルミーナは泣きながら叫んだ。
「だめだ!!絶対にダメだ!!お前ならきっと大丈夫だ!だから必ず生きて私と結婚してくれ!お願いだ!」
「・・・我がミューズ・・君が無事でよかった・・・君だけは生きていてほしい・・」
「そんなのできっこない!お前がいないと私は一体誰を殴ったらいいというんだ!」
クラウスは優しく微笑むと、涙でぐちゃぐちゃになった彼女の頬を撫でた。
「私の首に・・・ついているネックレスを、セシリアに・・渡して・・くれ・・」
どうしてこんな時にネックレスなど気にするのか?しかも何故ここにセシリアの名が出てくる!?
ヘルミーナは混乱した頭で考えを巡らせた。答えは一つしかなかった。セシリアが王城で特別待遇を受けてまで、護衛騎士が付いたこと。アルフリード王子がセシリアに特別な感情を持っているみたいであること。襲撃者は聖女の命を狙っている。
「セシリアが・・・彼女が聖女なのか・・・クラウス。セシリアならお前を助けられるのか!そうなのか!このネックレス・・・これさえあれば、お前は助かるんだな!!」
ヘルミーナは最後の望みをかけて、クラウスに聞く。クラウスはそれには答えず、代わりに最後にとても安らかな微笑みを残すと、彼女を見つめたまま最後に息を吸ってすのまま息を止めた。その群青色の双眸には光が消えて、彼がもうこの世にはいないことをはっきりとヘルミーナに知らしめる。
「うぅぅ―――!!!ふぅっ!!クラウスぅぅぅ!!クラウス・・・!クラウス・・・」
彼女は愛する人の名を何度も何度もつぶやきながら、涙を流した。何度も何度も繰り返し、その名が唇から紡ぎだされる。決してもう二度と会うことのできない恋人の名を・・・何度も・・・何度も・・・つぶやいた。
どれくらいの時間が流れたのだろう。気が付くと、いまだ温かみを残しているクラウスの体が自分の涙で湿っているのが分かった。慌ててクラウスの制服のボタンを外し始める。
「あった!これだ!」
騎士団総長の制服の下から出てきたのは、銀のネックレスだった。ヘルミーナはそれを振るえる指でクラウスの首から外すと、未だ傷が癒えずに痛む体を無理やり起こして自らの剣を手に取った。
「クラウス、またすぐに会おう」
そうつぶやいてクラウスの死体の開いたままの目を指で優しく閉じると、最後に彼を振り向いていった。もう涙はとまっていた。
「必ず助ける!必ずこのネックレスを聖女に渡す!だからもう一度私の元に戻ってこい、クラウス!待ってるからな!そうしたらキスでも結婚でもしてやるから、覚悟していろ!!我が栄光の騎士団にかけて、我は仲間と永遠に共にある!!」
ヘルミーナはクラウスを応接室に残して、やるべき事をやる為に大量の血を失って力の入らない両足を、何とか動かして一歩一歩と歩みを進める。もう後ろは振りかえらなかった。頭の中はネックレスをセシリアに渡すことしかない。そうして彼女は全速力で駆け出した。最後の希望に向けて・・・。
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