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胡蝶の夢 後編
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「リリアン、リリアン、こんなところで眠ったら風邪をひいてしまうよ。」
「‥‥!」
私は目を開け、あたりを見渡しました。
ついさっきまで自分がいたはずの村の風景はいつのまにか消えていて、かわりに見慣れた庭園の景色が目前に広がっていました。
「リリアン、ぼーっとしてどうしたんだ?」
「‥さっきまで見ていた夢の事を考えていました。」
「どんな夢を見たんだい?」
「‥見知らぬ村に迷い込んでしばらく暮らす夢です。」
「そうか。‥それよりこの虫達をご覧よ。君に見せるためにここまで持って来たんだ。」
夫はそう言って、テーブルの上に大きな虫かごを置きました。中には何匹もの芋虫達が蠢いていました。
「‥あなたが研究室から持ってきた新種の虫達ね。」
「ああ、彼らはとても変わった虫でね。何故か雌が産まれないんだ。雄しかいないんだよ、信じられるかい?
彼らは繁殖期になると、一番体の大きい雄が他の雄達と交尾して卵を孕む。その卵を‥他の昆虫の雌のお腹に産みつけるんだ。変わってるよな。
やがて彼らは成虫になると、その昆虫の雌のお腹を食いちぎって外にでてくるんだよ。ああ、なんてロマンチックなんだ!そんな瞬間に是非たちあってみたいよ!」
「‥‥気持ち悪い。」
「‥まあ、そう言わないで彼らをよくご覧よ。
籠の中にさっき捕まえてきた雌の蝶を入れておいたんだけど‥。ほら、早速一番大きな雄が蝶の上に覆い被さってお腹に生殖管をさし、卵を産みつけているよ。我々はまさしく今、この素晴らしい瞬間に立ち合ってるんだよ!なんて感動的なんだ!」
「‥お願いですから早くその虫かごを片付けて下さい。本当に気持ち悪い!」
私はそう言って虫かごと夫から顔を背けました。
夫は私の嫌がる顔を見ながら、気味の悪い笑顔を浮かべていました。
『‥本当に気持ちの悪い男!』
私は夫のもとに嫁いでからというもの、ずっと夫のこの悪趣味に付き合わされて、いい加減うんざりしていました。それに夫の人格についてもかなりわ嫌悪していました。
夫は実に嫉妬深くて陰気でナルシストな男でした。
夫の私を屋敷の敷地内に閉じ込めて、外へ出る事を許しませんでしたし、私が使用人と話をする事すら禁じていました。
その為、好きな買い物も、友人を作る事すらできなかった私はいつも孤独でした。
そんな私に対し、唯一接する事を許されたのが使用人のドナルドでした。
ドナルドは痩せ細って猫背で陰気な見た目だった為、私が彼と浮気をするような事はないのだと‥夫は油断していたのだと思います。
ですが、私とドナルドは孤児だったところを夫に拾われた‥という同じ境遇もあって、日に日に仲を深めていきました。
そんな日々が何年も続き‥
このまま夫に縛られながらこの屋敷の敷地内に閉じ込められて生き続けていくなんて‥もう耐えられない!と思った私は‥
ドナルドと駆け落ちをする決意をしました。
身につけられるだけの宝石を服の中に隠し持ち、夫が寝静まった頃にそっと屋敷を抜け出せるよう、綿密に計画も立ててて、ついに今晩それを実行することになりました。
『ドナルドはもう先に街外れの宿についてる頃ね。夜になったらドナルドの知り合いが屋敷の外で私の逃亡を助けてくれるって言ってたし‥あと少しの辛抱ね。』
私はその考えを夫に悟られないように、いつも通りの平静を装いました。
夫は相変わらずニヤニヤしながら、また私の興味のない話を始めました。
「胡蝶の夢という話を君は知ってるかい?」
「いいえ、知りません。」
「胡蝶の夢というのは、昔の外国の思想家の話なんだ。
彼は蝶となった夢をみて目覚めたのち、自分が夢のなかで胡蝶に変身したのか、胡蝶がいま夢のなかで自分になっているのか、と疑ったんだ。」
「‥‥。」
「ところでリリアン。君がいるこの現実は果たして本当に現実なのかな?夢の中の君と、今ここにいる君‥どちらが本当の現実なんだろうな。」
「‥‥何を言っているのですか。今こうして話している私が本当の現実に決まっています。夢はあくまで夢なのですから。」
「‥本当にそう思うかい?」
「はい。」
私が呆れた様子で返答を返すと、夫は満面の笑みを浮かべて言いました。
「‥ところで、ドナルドを見かけなかったかい?君達仲が良かっただろ。‥さっき門の外で銃声を聞いたけど‥うちの使用人が撃たれてなきゃいいが‥。いくら屋敷内の点呼をとっても、何故か彼だけ屋敷内にいないんだ。‥君はその理由っているかい?」
「‥‥!」
『まさか、ドナルド‥あなたが撃たれたんじゃないでしょうね。まさか、そんな事はないわよね。』
私は銃で撃たれたのがドナルドでない事を必死に祈りました。
ですが‥
「旦那様、門の外でドナルドの遺体を発見しました。」
夫の元に執事がドナルドの死を報告に来ました。
「‥‥!」
『ああ、ドナルド!嘘よね。あなたが私を置いて死んでしまうなんて‥。お願い!これが夢ならはやくさめてちょうだい!』
私が必死にそう願ったからでしょうか‥
私はまた再び違う場所で目覚めました。
目の前にはドナルドがいます。
「ドナルド、無事だったのね。私達、あの屋敷から逃げてこられたのね。」
「ああ、そうだ。それよりもこっちにおいでよ。テーブルの上に沢山のご馳走を用意したんだ。」
「まあ、凄い!」
「それに、君の為にドレスや宝石を沢山買ってきたんだよ。今からそれを見せてあげるよ。」
「‥‥えっ?」
ドナルドはそう言って、私に沢山の宝石や服を見せてくれました。
「‥これは夢なのね。こんなご馳走に宝石やドレスなんて‥現実にはあり得ない事だもの。」
「そうだ。リリアンが言う通りこれは夢の中なんだ。」
「ああ、なんて事なの。それなら、またあの辛い現実に戻らなければならないのね。‥嫌よ。この夢から目覚めたくない!」
私がそう言うと、ドナルドは穏やかな笑顔を浮かべて言いました。
「大丈夫だ。僕達がこの夢から目覚める事は決してないよ。何故なら現実の僕達は、屋敷のご主人様に銃で撃たれて殺されているんだから。」
「‥そうなの?ならもう目覚める必要ないのね、嬉しい!」
私はドナルドの手を握り、彼の肩にもたれました。
彼の肩は痩せている割にガッチリとした筋肉がついており、それがとても頼もしく思えました。
‥そういえば、私のお腹にいるドナルドとの赤ちゃんもこの夢の中について来てくれたようです。
お腹にそっと手を当てると、沢山の胎動を感じる事ができました。
「‥ご主人様、医師を連れて来ました。」
屋敷の執事と医師が慌てた様子でリリアンの元にかけよりました。
医師はリリアンの診察をした後、がっくりした様子で首を横に振りました。
「‥妊娠中の過度のストレスからの心筋梗塞です。すでに亡くなられています。双子を妊娠されていたので、元々体の弱かった奥様にとっては、心身共に限界がきていたのでしょう。‥お腹の赤ちゃんも残念ながら‥。」
「‥そうか。」
リリアンがドナルドとの子を妊娠した事を知ったドナルドは、その事が屋敷の主人にバレる事を恐れたのか、屋敷から失踪していました。
それ以来ずっと塞ぎ込みがちになり、とうとう寝たきりになってしまったリリアンでしたが、夫はいつか彼女が目覚める日が来る事を信じて、眠り続ける彼女のそばにずっと付き添っていました。
歳が離れているせいで、彼女に対してうまく愛情を表現できなかった事が彼にとってはとても悔やまれましたが‥
亡くなった彼女の顔がとても穏やかなだった事に、唯一の救いを見出していました。
「リリアン、安らかに眠るといい。‥良い夢を。」
end.
「‥‥!」
私は目を開け、あたりを見渡しました。
ついさっきまで自分がいたはずの村の風景はいつのまにか消えていて、かわりに見慣れた庭園の景色が目前に広がっていました。
「リリアン、ぼーっとしてどうしたんだ?」
「‥さっきまで見ていた夢の事を考えていました。」
「どんな夢を見たんだい?」
「‥見知らぬ村に迷い込んでしばらく暮らす夢です。」
「そうか。‥それよりこの虫達をご覧よ。君に見せるためにここまで持って来たんだ。」
夫はそう言って、テーブルの上に大きな虫かごを置きました。中には何匹もの芋虫達が蠢いていました。
「‥あなたが研究室から持ってきた新種の虫達ね。」
「ああ、彼らはとても変わった虫でね。何故か雌が産まれないんだ。雄しかいないんだよ、信じられるかい?
彼らは繁殖期になると、一番体の大きい雄が他の雄達と交尾して卵を孕む。その卵を‥他の昆虫の雌のお腹に産みつけるんだ。変わってるよな。
やがて彼らは成虫になると、その昆虫の雌のお腹を食いちぎって外にでてくるんだよ。ああ、なんてロマンチックなんだ!そんな瞬間に是非たちあってみたいよ!」
「‥‥気持ち悪い。」
「‥まあ、そう言わないで彼らをよくご覧よ。
籠の中にさっき捕まえてきた雌の蝶を入れておいたんだけど‥。ほら、早速一番大きな雄が蝶の上に覆い被さってお腹に生殖管をさし、卵を産みつけているよ。我々はまさしく今、この素晴らしい瞬間に立ち合ってるんだよ!なんて感動的なんだ!」
「‥お願いですから早くその虫かごを片付けて下さい。本当に気持ち悪い!」
私はそう言って虫かごと夫から顔を背けました。
夫は私の嫌がる顔を見ながら、気味の悪い笑顔を浮かべていました。
『‥本当に気持ちの悪い男!』
私は夫のもとに嫁いでからというもの、ずっと夫のこの悪趣味に付き合わされて、いい加減うんざりしていました。それに夫の人格についてもかなりわ嫌悪していました。
夫は実に嫉妬深くて陰気でナルシストな男でした。
夫の私を屋敷の敷地内に閉じ込めて、外へ出る事を許しませんでしたし、私が使用人と話をする事すら禁じていました。
その為、好きな買い物も、友人を作る事すらできなかった私はいつも孤独でした。
そんな私に対し、唯一接する事を許されたのが使用人のドナルドでした。
ドナルドは痩せ細って猫背で陰気な見た目だった為、私が彼と浮気をするような事はないのだと‥夫は油断していたのだと思います。
ですが、私とドナルドは孤児だったところを夫に拾われた‥という同じ境遇もあって、日に日に仲を深めていきました。
そんな日々が何年も続き‥
このまま夫に縛られながらこの屋敷の敷地内に閉じ込められて生き続けていくなんて‥もう耐えられない!と思った私は‥
ドナルドと駆け落ちをする決意をしました。
身につけられるだけの宝石を服の中に隠し持ち、夫が寝静まった頃にそっと屋敷を抜け出せるよう、綿密に計画も立ててて、ついに今晩それを実行することになりました。
『ドナルドはもう先に街外れの宿についてる頃ね。夜になったらドナルドの知り合いが屋敷の外で私の逃亡を助けてくれるって言ってたし‥あと少しの辛抱ね。』
私はその考えを夫に悟られないように、いつも通りの平静を装いました。
夫は相変わらずニヤニヤしながら、また私の興味のない話を始めました。
「胡蝶の夢という話を君は知ってるかい?」
「いいえ、知りません。」
「胡蝶の夢というのは、昔の外国の思想家の話なんだ。
彼は蝶となった夢をみて目覚めたのち、自分が夢のなかで胡蝶に変身したのか、胡蝶がいま夢のなかで自分になっているのか、と疑ったんだ。」
「‥‥。」
「ところでリリアン。君がいるこの現実は果たして本当に現実なのかな?夢の中の君と、今ここにいる君‥どちらが本当の現実なんだろうな。」
「‥‥何を言っているのですか。今こうして話している私が本当の現実に決まっています。夢はあくまで夢なのですから。」
「‥本当にそう思うかい?」
「はい。」
私が呆れた様子で返答を返すと、夫は満面の笑みを浮かべて言いました。
「‥ところで、ドナルドを見かけなかったかい?君達仲が良かっただろ。‥さっき門の外で銃声を聞いたけど‥うちの使用人が撃たれてなきゃいいが‥。いくら屋敷内の点呼をとっても、何故か彼だけ屋敷内にいないんだ。‥君はその理由っているかい?」
「‥‥!」
『まさか、ドナルド‥あなたが撃たれたんじゃないでしょうね。まさか、そんな事はないわよね。』
私は銃で撃たれたのがドナルドでない事を必死に祈りました。
ですが‥
「旦那様、門の外でドナルドの遺体を発見しました。」
夫の元に執事がドナルドの死を報告に来ました。
「‥‥!」
『ああ、ドナルド!嘘よね。あなたが私を置いて死んでしまうなんて‥。お願い!これが夢ならはやくさめてちょうだい!』
私が必死にそう願ったからでしょうか‥
私はまた再び違う場所で目覚めました。
目の前にはドナルドがいます。
「ドナルド、無事だったのね。私達、あの屋敷から逃げてこられたのね。」
「ああ、そうだ。それよりもこっちにおいでよ。テーブルの上に沢山のご馳走を用意したんだ。」
「まあ、凄い!」
「それに、君の為にドレスや宝石を沢山買ってきたんだよ。今からそれを見せてあげるよ。」
「‥‥えっ?」
ドナルドはそう言って、私に沢山の宝石や服を見せてくれました。
「‥これは夢なのね。こんなご馳走に宝石やドレスなんて‥現実にはあり得ない事だもの。」
「そうだ。リリアンが言う通りこれは夢の中なんだ。」
「ああ、なんて事なの。それなら、またあの辛い現実に戻らなければならないのね。‥嫌よ。この夢から目覚めたくない!」
私がそう言うと、ドナルドは穏やかな笑顔を浮かべて言いました。
「大丈夫だ。僕達がこの夢から目覚める事は決してないよ。何故なら現実の僕達は、屋敷のご主人様に銃で撃たれて殺されているんだから。」
「‥そうなの?ならもう目覚める必要ないのね、嬉しい!」
私はドナルドの手を握り、彼の肩にもたれました。
彼の肩は痩せている割にガッチリとした筋肉がついており、それがとても頼もしく思えました。
‥そういえば、私のお腹にいるドナルドとの赤ちゃんもこの夢の中について来てくれたようです。
お腹にそっと手を当てると、沢山の胎動を感じる事ができました。
「‥ご主人様、医師を連れて来ました。」
屋敷の執事と医師が慌てた様子でリリアンの元にかけよりました。
医師はリリアンの診察をした後、がっくりした様子で首を横に振りました。
「‥妊娠中の過度のストレスからの心筋梗塞です。すでに亡くなられています。双子を妊娠されていたので、元々体の弱かった奥様にとっては、心身共に限界がきていたのでしょう。‥お腹の赤ちゃんも残念ながら‥。」
「‥そうか。」
リリアンがドナルドとの子を妊娠した事を知ったドナルドは、その事が屋敷の主人にバレる事を恐れたのか、屋敷から失踪していました。
それ以来ずっと塞ぎ込みがちになり、とうとう寝たきりになってしまったリリアンでしたが、夫はいつか彼女が目覚める日が来る事を信じて、眠り続ける彼女のそばにずっと付き添っていました。
歳が離れているせいで、彼女に対してうまく愛情を表現できなかった事が彼にとってはとても悔やまれましたが‥
亡くなった彼女の顔がとても穏やかなだった事に、唯一の救いを見出していました。
「リリアン、安らかに眠るといい。‥良い夢を。」
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