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私とニーチェ様、その後‥
しおりを挟む私とニーチェ様が隣国から帰国した後、バラードが私に謝罪に来ました。これまでの私に対する罪を認め、巷に広がっている私の悪い噂を無くす事を約束してくれました。
それから程なくして、バラードは魔物討伐の功績や農業改革の功績が正式に認められ、一度は剥奪された貴族の身分でしたが、国王から辺境伯の役職を与えられました。
バラードは隣国との国境付近の魔物が発生しやすい地域に住み、国の安全の為にその生涯を捧げました。
バラードのおかげで魔物が侵入してきて暴れる心配もなくなり、国中が落ち着いてきた頃、ニーチェ様は、国王の次期後継者として正式に認められて王太子となりました。
そして、私とニーチェ様は結婚し、結婚式も盛大に行われました。
コンコン、
ニーチェ王太子の執務室に、ゲーテがやって来ました。
「兄さん、ルナールに赤ちゃんが出来たって聞いてお祝いに来たよ。おめでとう。」
「‥ああ、ありがとう。」
王太子の執務室には、いつか見た魔道具がありました。鏡面に映し出されていたのは、ルナールの結婚式の映像や、ルナールの日常の様子でした。
王太子は、ルナールが倒れた日の魔道具の記録を、ゲーテの弾劾裁判に使おうと思っていたのですが、結局使わずじまいでした。ゲーテ自ら改心してしまった為です。
その為、この魔道具の盗撮機をゲーテの部屋から外してルナールの行く先々につけては、盗撮してその映像を楽しんでいました。
「‥兄さんが隠れてルナールを撮ってる事、ルナールは知ってるの?」
「いや、言う訳がない。言ってしまったら、ルナールは嫌がるに決まってる。そうなったら、僕の楽しみが減るじゃないか。」
ゲーテは、驚きました。全てが完璧で非の打ち所がなかったニーチェ兄さんが、ルナールを盗撮して楽しむ変態だったとは、夢にも思わなかったのです。
「‥兄さん、僕は知ってるんだ。ルナールの聖なる力が尽きたなんて、嘘なんだろう?」
「嘘だとしたら、何だと言うんだ。ルナールの聖なる力を使いすぎたら、ルナールの寿命が縮むだろ。そもそも聖なる力なんてルナールが使わなくても、この国の平和は軍事部や警備部が守るべきものなんだ。この国は今までルナールに甘え過ぎていたんだ!」
「‥兄さん。僕は兄さんの事を凄く勘違いしてたみたいだ。清廉潔癖で、正義感が強くて、国に対し忠実な人間だと思ってた。その為にルナールの聖なる力が必要だから、ルナールと結婚したのかと思っていた。あっ、もちろん兄さんがルナールを好きだった事は知ってるけどね。」
「そうかい?僕はルナールがゲーテの婚約者に決まってからはしばらく遠慮してたけど、昔からルナールの事が好きでたまらなかったんだ。だから、ルナールの為になるならなんでもするさ。国の規則だって変えてみせる。それに、ルナールの幸せの為に僕がつく嘘の一つや二つぐらい可愛いもんだろ?」
王太子はそう言うと、時計を見て立ち上がり、窓の下を眺めました。
「フフ、もうじきこの下をルナールが通って、僕に手を振るんだ。‥いつもこの時間なんだ。」
そう言って、王太子は窓からルナールに向かって手を振りました。ルナールが通り過ぎて、その姿が見えなくなるまで‥‥。
「‥兄さん、ほどほどにね。」
「何の事だい?」
ゲーテは、王太子の執務室を退室し、帰り際にルナールの姿を一目だけ見てから帰りました。
「さようなら、「ごん」とルナール。」
「‥あら、今ゲーテ様のお姿が見えたようだけど。」
「奥様、今日ゲーテ様は王太子殿下の執務室にみえたようです。奥様の御懐妊のお祝いの為だと思います。」
「そう、私もご挨拶しなくて良かったのかしら。」
「大丈夫だと思います。」
ルナールは、まだそんなに膨らんでいないお腹を愛おしむようにさすりました。
このお腹の中に私とニーチェ様の赤ちゃんがいるなんて、夢みたい。
ふと、庭の片隅に植えられてるヒマワリに目がとまりました。
ヒマワリ、ニーチェ様が私と婚約した時にプレゼントしてくれたお花だわ。このお庭にも植えられていたのね。そういえば、ヒマワリの花言葉ってなんだったかしら?
そんな事を考えながら、ルナールは護衛と共に、庭をまた歩き出しました。
医師から安定期に入るまでは、ほとんどの動作を禁止されていた為、散歩だけが今のルナールにとっては唯一の楽しみでした。
そして、そんなルナールの姿をお城の窓からずっと眺めていたのは、ニーチェ王太子。
ヒマワリの花言葉は、「私の目はあなただけを見つめる」
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何はともあれ…面白かったです♪
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でもルナールは天然なところがあるので、ニーチェ様の愛を素直に受けとめて、一生幸せでいてくれると思います🌻✨
面白かったとの感想嬉しいです😊✨