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16、知ってしまいました‥
私は図書室を出ると、ダイアン王子を探しました。勿論直接会ってお話をしようなどとは思っていません。
ただ元婚約者として‥‥いえ、一人の女性として冷静になって、もう一度ダイアン王子を見てみたかったのです。
ダイアン王子はお城の庭にいました。いつか見た覚えのあるテラス席で、フラン王国の王女とぴったり寄り添い顔を近づけて愛を囁きあっていました。
テラスには侍女や従者の他にも、何人かの姿が見えました。
目を凝らしてよく見ると、ダイアン王子と王女とは少し離れた席にハインリヒ様が座っていました。
私は、テラス席の様子や話し声がもっと分かるように、生け垣に沿ってそろりそろりとテラスに近づき、身をかがめました。
「ダイアン様、これでやっと私達結婚できますわね。」
「アイシラ王女、ありがとうございます。色々な手続きも済んだ事ですし、これでやっとフラン大国に帰れます。そうしたら、やっとあなたと結ばれます!」
「‥‥おいおい、あまり僕の前でイチャつかないでくれよ。」
「‥ごめん。嬉しくってつい‥。」
「まあ、いいさ。僕も可愛いレミーともうすぐ結ばれる訳だし。」
「‥‥ハインリヒ、その話は‥。」
ダイアン王子は、私の名前が出るとあからさまに嫌そうな顔を見せました。‥きっと王女に気を使っているのでしょう。
それにしても、ハインリヒ様と私が結ばれるとはどういう事でしょう?
「ハインリヒ様の国って、一夫多妻制でしたよね。レミーさんは、何番目の妻になるんですの?」
「レミーは、七番目の妻になるかな。六番目までの妻達はみんな歳上の良い女達だよ。レミーは明るいから、彼女達ときっと上手くやっていってくれると思うよ。
それに‥‥レミーは胸も大きいが、安産型の良いお尻をしている。僕はそれが凄く気に入っているんだ。レミーならきっと沢山の子供を産んでくれるに違いない。僕は絶対にレミーをギリス大国に連れて行くよ。」
なんと、ハインリヒ様はギリス大国の王子でした。
‥‥それに、私がハインリヒ様の七番目の妻になる!?‥‥七番目の妻って何なのでしょう。何となく嫌な感じしかしません。
‥‥私はダイアン王子と王女の仲睦まじいやり取りや、ハインリヒ様の気持ち悪い言葉を聞きたくなくなったので、そっと後退りしながらその場を去りました。
私は早い足取りで図書室に向かいました。そして、「ギリス大国のすべて」と「留学のすすめ」という本を探し、必死に読みました。
本によると、ギリス大国はやはり一夫多妻制で、王様になるとなんと10人まで妻を娶る事ができるんだそうです。
女性の地位は低く、家以外では黒い布で全身を隠していなきゃならないようです。
王族の妻は各邸宅を与えられるが、ただひたすら夫の訪れを待つ日々を過ごすようです。
‥‥ああ、なんて事なの。ハインリヒ様と結婚したら、私もそうなるというの?‥‥出来ることなら、この結婚から逃げ出したい。
そんな事を思っていると、図書室の奥からマキシム様が現れました。私が机に持ってきた二冊の本をじーっと見つめています。
「「留学のすすめ」か。‥‥なるほど、レミーさんそう来たか。
それなら僕にも協力出来る事がありそうだ。」
マキシム様は私にそう言うと、急いで図書室から出て行かれました。
私はマキシム様が急いでどこに行ったのかは知りません。
ですがこの瞬間、私の運命が切り開かれて行くような、そんな予感がしました。
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