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古代遺跡の出来事
第18話 邂逅
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月の魔女とよばれるまで
第18話 邂逅
サイクロプスとオーガを倒した後、沙更はまた階段がある部屋を目指して動き出した。
子供とは思えない体力だと気付いてはいたが、疲れを感じないあたりとんでもないことに気付いた。
(かなりの規格外なのかな?セーナちゃんの身体ではあるんだろうけど、私と魂を結合したことと魔力まで増えたことで多分人間辞めちゃってそうな予感がしなくもないかな。人間に、これだけの魔力を扱う能力があるかと言えばなさそうだから)
実際で言うと人間でもセーナの魔力はギリギリ許容だったりはする。が、上手く制御出来なければ魔力の暴走による自壊が免れないため死にかなり近い状態になる。
更に言えば、精神力が強くなければ強い魔力に精神がやられる可能性も否定できない。そういう点でもセーナの魔力と沙更の精神力は人間の枠を越えていた。
疲労を感じずに、通路を子供の足で一定の速度で歩いて行く。そこに、別の足音が聞こえてきた。沙更は、その足音が聞こえたことで一気に警戒することにした。
(今度もモンスターかな?いきなり現れるから、こっちとしても警戒せざるを得ないんだよね)
段々足音が近づいてくる。沙更はそこで、その足音がオーガやサイクロプスのような大きい足音じゃないことに気付いた。人間の足音のような気もする。
(うーん、人間の足音に聞こえるんですけどこんなところに人が来る物なのかなあ?)
疑問に思うのも当たり前、古代遺跡に来る物好きはあまり居ない。冒険者でもなければ、ここに来る人間は考古学者くらいだろう。学者の場合は護衛が必要なので、冒険者も一緒に来る形になるのだが。
セーナに取って、冒険者は縁が遠い人々だったため全然分からない。
足音が更に近づいてきて、途切れた時。そこに現れたのは16歳の少女だった。肩から脇腹まで鋭いもので引っかかれた跡があり、そこから血を流しつつも歩いてきたらしい。姿としては、レザーアーマーを着込んで短剣を腰に二つと盗賊スタイルと言うべきだろう。足はハーフパンツ見たいなキュロットスカートのような感じの物を穿いていた。
「えっ、こんなところに女の子?しかも綺麗な服を着てるし、ワンドって事は魔法士!?」
「お姉さん、ひどい怪我をしていますけど治しましょうか?」
「えっ、治癒魔法を使えるの?」
驚くお姉さんに、沙更はヒールを古代詠唱で唱える。ワンドの先に現れた光が傷ついたお姉さんの傷を癒やしていく。一分ほど傷を光で癒やしたら、跡もなくきっちり治っていた。
「すごい、こんな治癒魔法初めて見た」
「お姉さん、助けを呼びに来たんですか?そんな怪我をしてまで動くなんて、パーティーの方に怪我でもされた方が居たんでしょうか?」
沙更の問いに、お姉さんは頷く。
「ごめん、いきなりなんだけどあたしたちを助けてくれないかな?」
「お姉さんが切羽詰まっているのは分かります。良ければ、怪我の治療をしましょうか?」
「えっ、良いの?そんなに簡単に信用して」
「お姉さんの表情を見ていれば、なんとなくですけど分かります。怪我を押してまで、助けたいって思える人なんでしょう?もしかしたら、モンスターに遭遇していたかもしれません。それでも来たのは、お姉さんの気持ちが助けたいって思ったからだと思いますから」
沙更の言葉に、お姉さんは沙更の手を取った。
「厄介ごとでごめん。だけど、助けて欲しい」
「連れて行ってください。怪我の治療くらいならお安いご用ですよ」
沙更がそう言うとお姉さんは深々と頭を下げた。それに首を振る。別段、気にして欲しいわけじゃなかったのと急ぐ必要性があったからだ。
第18話 邂逅
サイクロプスとオーガを倒した後、沙更はまた階段がある部屋を目指して動き出した。
子供とは思えない体力だと気付いてはいたが、疲れを感じないあたりとんでもないことに気付いた。
(かなりの規格外なのかな?セーナちゃんの身体ではあるんだろうけど、私と魂を結合したことと魔力まで増えたことで多分人間辞めちゃってそうな予感がしなくもないかな。人間に、これだけの魔力を扱う能力があるかと言えばなさそうだから)
実際で言うと人間でもセーナの魔力はギリギリ許容だったりはする。が、上手く制御出来なければ魔力の暴走による自壊が免れないため死にかなり近い状態になる。
更に言えば、精神力が強くなければ強い魔力に精神がやられる可能性も否定できない。そういう点でもセーナの魔力と沙更の精神力は人間の枠を越えていた。
疲労を感じずに、通路を子供の足で一定の速度で歩いて行く。そこに、別の足音が聞こえてきた。沙更は、その足音が聞こえたことで一気に警戒することにした。
(今度もモンスターかな?いきなり現れるから、こっちとしても警戒せざるを得ないんだよね)
段々足音が近づいてくる。沙更はそこで、その足音がオーガやサイクロプスのような大きい足音じゃないことに気付いた。人間の足音のような気もする。
(うーん、人間の足音に聞こえるんですけどこんなところに人が来る物なのかなあ?)
疑問に思うのも当たり前、古代遺跡に来る物好きはあまり居ない。冒険者でもなければ、ここに来る人間は考古学者くらいだろう。学者の場合は護衛が必要なので、冒険者も一緒に来る形になるのだが。
セーナに取って、冒険者は縁が遠い人々だったため全然分からない。
足音が更に近づいてきて、途切れた時。そこに現れたのは16歳の少女だった。肩から脇腹まで鋭いもので引っかかれた跡があり、そこから血を流しつつも歩いてきたらしい。姿としては、レザーアーマーを着込んで短剣を腰に二つと盗賊スタイルと言うべきだろう。足はハーフパンツ見たいなキュロットスカートのような感じの物を穿いていた。
「えっ、こんなところに女の子?しかも綺麗な服を着てるし、ワンドって事は魔法士!?」
「お姉さん、ひどい怪我をしていますけど治しましょうか?」
「えっ、治癒魔法を使えるの?」
驚くお姉さんに、沙更はヒールを古代詠唱で唱える。ワンドの先に現れた光が傷ついたお姉さんの傷を癒やしていく。一分ほど傷を光で癒やしたら、跡もなくきっちり治っていた。
「すごい、こんな治癒魔法初めて見た」
「お姉さん、助けを呼びに来たんですか?そんな怪我をしてまで動くなんて、パーティーの方に怪我でもされた方が居たんでしょうか?」
沙更の問いに、お姉さんは頷く。
「ごめん、いきなりなんだけどあたしたちを助けてくれないかな?」
「お姉さんが切羽詰まっているのは分かります。良ければ、怪我の治療をしましょうか?」
「えっ、良いの?そんなに簡単に信用して」
「お姉さんの表情を見ていれば、なんとなくですけど分かります。怪我を押してまで、助けたいって思える人なんでしょう?もしかしたら、モンスターに遭遇していたかもしれません。それでも来たのは、お姉さんの気持ちが助けたいって思ったからだと思いますから」
沙更の言葉に、お姉さんは沙更の手を取った。
「厄介ごとでごめん。だけど、助けて欲しい」
「連れて行ってください。怪我の治療くらいならお安いご用ですよ」
沙更がそう言うとお姉さんは深々と頭を下げた。それに首を振る。別段、気にして欲しいわけじゃなかったのと急ぐ必要性があったからだ。
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